「料理」「調理」の違いと使い分けの例文

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「料理」「調理」は、どちらも「食物として口に合うように材料を調え加工すること」です。「料理」のほうが「調理」より広い意味を持っており、より一般的・日常的に使われます。以下に、意味の広さの違いを①どんなことを、②どんな人が、③どんな場面でという3つの観点から整理してみました。

 ①どんなことを②どんな人が③どんな場面で
料理食材を加工して更に盛り付けるまでのことを初心者からプロまでが家庭から仕事場面まで
調理食材を加工するまでのことを主にプロが仕事場面で

このページでは「料理」「調理」の違いについて、詳しい意味と具体的な使い方とともにわかりやすく解説しています。

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「料理」「調理」の意味と例文

まず、「料理」「調理」の意味を辞書で確認します。

【料理】
1.材料を切り整えて味付けをし,煮たり焼いたりして食べ物をこしらえること。また,その食べ物。調理。
2.物事をじょうずに処理すること。
出典:『大辞林』

【調理】
(おおぜいの人のために)食物を料理すること。
出典:『新明解国語辞典』

残念ながら、辞書の説明からだけでは「料理」と「調理」の意味の違いはあまり見えてきません。①どんなことを、②どんな人が、③どんな場面でという観点ごとにたくさんの例文を見ながらその使い分けを確認していきたいと思います。

①どんなことを

まず「どんなことを」するのかという観点から使い分けを見てみましょう。

結論から言うと、料理は食材を加工して皿に盛り付けるまでの広範囲の作業をすることを指し、調理は食材を加工する作業までのことを指します。「食材を加工する」というのは、材料を切ったり、焼いたり、味をつけたりするということです。この過程は「料理」「調理」のどちらにも含まれます。そのため、以下のような例文の場合には、「料理」「調理」のどちらも使うことができます。

〇新鮮な魚を料理する。
〇新鮮な魚を調理する。

〇注文を受けてから料理を始める。
〇注文を受けてから調理を始める。

「料理」は「調理」よりも広い範囲の意味を持っており、食材を加工したあとの盛り付け、さらには出来上がった料理までを含みます。そのため、以下のような例文の場合には「料理」は使うことができますが、「調理」は使うことができません。

〇涼しげな見た目の料理
✕涼しげな見た目の調理

〇フランス料理を堪能する。
✕フランス調理を堪能する。

一方で、「調理」は「料理」よりも「食材の加工」という狭い範囲に焦点を当てた言葉なので、そこで使われる場所や道具、方法には「調理」という言葉のほうが多く用いられます。

調理室  > 料理室
調理器具 > 料理器具
加熱調理 > 加熱料理
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どんな人が

では次に、「どんな人が」するのかという観点から使い分けを見てみましょう。以下のような言葉の意味を考えると、違いが見えてきます。

料理人:
料理をする人。料理をすることを職業とする人。免許や資格がなくてもなることができる。

調理師:
調理師法により都道府県知事の免許を受けて、調理の業務を行う人。
料理教室:
家庭料理から本格的な料理までさまざまなジャンルの料理方法が学べるところ。講師は、料理の上手い人から専門家まで。

調理専門学校:
主に調理師免許を取得するために、食品、衛生、調理技術などさまざまな専門知識と技術を学ぶところ。講師は専門家。

「料理」は、初心者からプロまで誰でもできる作業です。「料理」を極めることで、飲食店などで料理を提供する「料理人」になることもできますし、「料理教室」を開くこともできます。しかし、免許や資格が必須なわけではありません。

一方で「調理」は主にプロが行う作業を指します。食品、衛生、調理技術などさまざまな専門的な知識を学び、調理師免許という国家資格を取得した人たちがする作業には「調理」という言葉が使われます。調理専門学校で教える講師も、その道の専門家たちです。

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③どんな場面で

最後に、「どんな場面で」するのかという観点から使い分けを見てみます。

「料理」は、家庭から仕事まで幅広い場面で使われますが、「調理」は仕事の場面で多く使われます。以下の例文では、「料理」「調理」のどちらも間違いではありませんが、★のほうがよりしっくりきます。

★母は毎日家族のために料理をしてくれる。
・母は毎日家族のために調理をしてくれる。

・一流ホテルで料理の現場に携わることが夢だ。
★一流ホテルで調理の現場に携わることが夢だ。

このことは「料理」はプロ・アマ問わず誰でもできるが、「調理」は主にプロがするという点とも関係しているのでしょう。飲食に関わる事業において、食のプロが食事を作る場合には「調理」という言葉を使った方が収まりのよい文になります。

「料理」「調理」の違い、まとめ

「料理」「調理」の違いと正しい使い分け方、このページの解説でおわかりいただけましたでしょうか。

最後にもう一度、正しい使い分けのポイントを以下に記します。頭の中の整理にお役立てください。

 ①どんなことを②どんな人が③どんな場面で
料理食材を加工して更に盛り付けるまでのことを初心者からプロまでが家庭から仕事場面まで
調理食材を加工するまでのことを主にプロが仕事場面で
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