「留意」「注意」「用心」の違いと使い分けの例文

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「留意」「注意」「用心」は、どれも「気を付けること」という意味です。でも、「落石注意」とは言えても「落石留意」とは言えませんし、「用心深い人」と「注意深い人」は同じ性格を表しているのではありません。
「留意」「注意」「用心」の使い分けのポイントは、①何に、②いつ・どのくらい、③どのように気を付けるかです。その違いをまとめると以下のようになります。

 ①何に②いつ・どのくらい③どのように
留意危険性が低いことに比較的長い時間心に留めて
注意危険性が高いことに比較的短い時間意識を集中させて
用心災害や犯罪に事前に心を配って警戒して

このページでは「留意」「注意」「用心」の違いについて、詳しい意味と具体的な使い方とともにわかりやすく解説しています。

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「留意」「注意」「用心」の意味と例文

まず、「留意」「注意」「用心」の辞書での意味を確認しておきましょう。

【留意】
ある物事を心にとどめて常に気をつけること。

【注意】
1.気持ちを集中させること。気を配ること。
2.悪い事態にならないように用心すること。気を付けること。
3.言い聞かせること。忠告。

【用心】
悪いことの起こらないように気をつけること。注意。警戒。

出典:『明鏡国語辞典』

どの説明にも「気を付ける」が使われていますが、少しずつ違いますね。それぞれの詳しい意味を例文とともにより詳しく見ていきましょう。

「留意」と「注意」の意味と違い

では、まず「留意」と「注意」の意味の違いを見てみましょう。この二つは比べることで違いがよりわかりやすくなります。

「留」は「とどめる」と読み、「動こうとするものを止める」や「その状態のまま残す」という意味を持っています。「留める」という状態には、ある程度の時間が必要です。そのため、「留意」は比較的長い時間気を付けておく必要があるときに使われます。

「注」は「そそぐ、つぐ」と読み、「水が柱のように立って流れ込む」様子を表しています。そこから「一ヶ所に集中する」という意味を持つようになりました。集中を長い時間続けるのは難しいことです。そのため、「注意」は比較的短い時間で一点に意識を向けて気を付ける必要があるときに使われます。

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「留意」と「注意」の比較と例文

では、例文を見てみましょう。

〇 日ごろから健康に留意している。
△ 日ごろから健康に注意している。

常に健康に気を付けている状態なので「留意」が適切です。「注意」も間違いではありませんが、より一時的、具体的な場合の方がよりしっくりきます。例えば、「飲みすぎ注意」のような場合です。飲み会という場で、「飲みすぎない」という具体的な事項に、一時的に気を付けることなので「注意」がより適切です。

✕ ここからは留意して聞いてください。
〇 ここからは注意して聞いてください。

今から意識をこちらに集中させてくださいという呼びかけの言葉ですから、「注意」が適切です。「先ほど説明した点に留意しながら聞いてください。」のように、しばらく心に留めておく事項があるのであれば「留意」を使うこともできます。

このように「留意」は継続的、「注意」は一時的に気を付けるという特徴がありますが、そのことが気を付けるべき事柄の危険度の高さの違いにも関係してきます。以下の例文のように、危険度の高い事柄や強く意識を向けさせたい事柄の場合には「注意」が使われ、「留意」は使われません。

・子どもの飛び出し注意
・足元注意
・取り扱い注意

冒頭で取り上げた「落石注意」は言えるけれど「落石留意」は言えないことの理由もここにあります。

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「用心」の意味と例文

では次に、「用心」の意味と例文を見てみましょう。

「用心」は「心を用いる」という漢字からできており、「心を配る、心を行き届かせる」ことを表しています。そこから「備える、警戒する」という意味を持つようになりました。そのため「用心」は、準備や予防が必要な事柄とともに用いられます。例文を見てみましょう。

・火の用心
・台風にご用心ください。
・夏場は食中毒に用心したほうがいい。

火事、台風、食中毒の被害に遭うことがないよう事前に備えておくことを表す文です。このような場合は「用心」が最も適切です。「用心」は「警戒する」という意味を持っていることから、災害や犯罪に気を付ける場合に用いられます。

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「注意」「用心」の比較と例文

では、ここで冒頭で取り上げた「用心深い人」と「注意深い人」の違いを考えてみましょう。

・注意深い人:細かいことに意識を集中させてミスをしない人
・用心深い人:警戒心が強くて危険を冒さない人

「気を付ける」という意味を持つ「注意」と「用心」ですが、その意味は大きく異なることがわかると思います。

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「留意」「注意」「用心」の使い分け練習問題

以下の練習問題で「留意」「注意」「用心」の総復習をしておきましょう。

(   )に当てはまる最も適切な言葉を①~③から選んでください。

1.(    )に留意して歩く。
2.(    )に注意して歩く。
3.(    )に用心して歩く。

①雪崩 ②登山のエチケット ③熊

答えは、最後にあります。

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「留意」「注意」「用心」の違い、まとめ

「留意」「注意」「用心」の違いと正しい使い分け方、このページの解説でおわかりいただけましたでしょうか。それぞれの違いに留意して使い分けてください(この場合は「留意」ですね)。最後にもう一度、正しい使い分けのポイントを以下に記します。頭の中の整理にお役立てください。

 ①何に②いつ・どのくらい③どのように
留意危険性が低いことに比較的長い時間心に留めて
注意危険性が高いことに比較的短い時間意識を集中させて
用心災害や犯罪に事前に心を配って警戒して
<練習問題の答え>
1.②登山のエチケット 2.③熊 3.①雪崩
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