「太る(ふとる)」「肥る(ふとる)」「肥える(こえる)」は、どれもふとったこと、体重が増えたことを表す言葉です。
しかし、体重の増えた原因が筋肉増加によるものか、脂肪増加によるものかによって次のような違いが存在します。
- 【太る(ふとる)】筋肉が増えたとき、脂肪が増えたとき、両方に使える。
- 【肥る(ふとる)】脂肪が増えたときに使う。ただし常用漢字ではない。
- 【肥える(こえる)】脂肪が増えたときに使う。西日本で使用頻度が高い。
このページでは「太る」「肥る」「肥える」の違いについて、さらに詳しい解説を行なっています。
「太る」「肥る」「肥える」の違いを解説
【太る】筋肉が増えたとき、脂肪が増えたとき、両方に使える
常用漢字表で「ふとる」と読む漢字は「太る」だけです。常用漢字表に「肥る」は載っていません。
よって、筋肉が増えたときにも、脂肪が増えたときにも使えるのが「太る」です。
「太る」は常用漢字なので、「太る」と「肥る」の使い分けに迷ったら「太る」を使えば間違いはありません。
なお、公文書や学校のテストの答案用紙などには必ず常用漢字の「太る」を使いましょう。
また「太る」は体重が増えるという意味だけで使われる言葉ではありません。
「太る」の「太」という漢字に「太る」という意味はなく、本来は「大きい」「すぐれて大きい」など、ただ単に大きいことを意味する言葉なのです。
さらに「太る」には「焼け太り」などという使われ方があるように「財産が増える」など広い意味を持つ言葉です。
「生長する」ことを「太る」と言う方言も一部に存在します。
【肥る】脂肪が増えたときに使う。ただし常用漢字ではない
「肥る」の「肥」という漢字には、「体に脂肪がついて太る」という意味があります。
そのため「肥る」は、脂肪が増えたとき、肥満したときなどに使用が特化された当て字です。筋肉が増えたときの健康的な体重の増加には使いません。
ただし、常用漢字表では「ふとる」に当てられた漢字に「肥る」はありません。「肥る」は常用漢字ではないということです。
よって常用漢字の使用が求められる公用文や学校のテストの答案用紙に「肥る」を使うことはできません。くれぐれもご注意ください。
迷った場合は汎用性も高く常用漢字である「太る」を使っていれば間違いありません。
【肥える】脂肪が増えたときに使う。西日本で使用頻度が高い
「肥える」は、体重が増えること以外に、耕作地の土地が豊かになることなどにも使われる広い意味を持った言葉です。
体重が増えることを意味する「肥える」という言葉は、主に西日本で使用頻度が高く、東日本の若年層の人には通じない場合が少なくありません。
そのため「肥える」は方言であると考えている方もいますが、それは勘違いです。「肥える」も標準語です。東日本で使用頻度が低いだけの話です。
なお、肥る(ふとる)」は常用漢字ではありませんが、「肥える(こえる)」は常用漢字です。常用漢字であることからも「肥える」が標準語であると確認ができます。
「太る」「肥る」「肥える」の違い、まとめ
「太る」「肥る」「肥える」の違い、このページの解説でおわかりいただけましたでしょうか。最後にもう一度、「太る」「肥る」「肥える」の違いを区別するポイントをまとめますので頭の中の整理にお役立てください。
- 【太る】筋肉が増えたとき、脂肪が増えたとき、両方に使える。
- 【肥る】脂肪が増えたときに使う。ただし常用漢字ではない。
- 【肥える】脂肪が増えたときに使う。西日本で使用頻度が高い。