「慣れる」「馴れる」の違いと使い分けの例文

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「慣れる」「馴れる」は、どちらも「たびたび経験して、特別なもの(こと)と思わなくなる」ことですが、①何に対してなれるのか、また②なれてどうなるのかという点で違いがあります。その違いを簡潔に表すと以下のようになります。

 ①何に対して②どうなるのか
慣れる状況や状態、道具に対して違和感がなくなる、習慣になる、習熟する
馴れる人や動物に対して警戒心を失くす、親しみを持つ

このページでは「慣れる」「馴れる」の違いについて、詳しい意味と具体的な使い方とともにわかりやすく解説しています。

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「慣れる」「馴れる」の意味と例文

まず、「慣れる」「馴れる」の辞書での意味を確認しておきましょう。

【慣れる・馴れる】

1.長くその状態にあるうちに(また、たびたび経験するうちに)、当たり前のこととして受けとめるようになる。
2.何度も経験するうちに、そのことがうまくできるようになる。習熟する。
3.道具などが体になじむ。
4.その人に対して親しみの気持ちをもつようになる。なじむ。なつく。
5.動物が人間に対する警戒心などをもたなくなる。

出典:『明鏡国語大辞典』

辞書では「慣れる・馴れる」は同じ項目で説明されています。これは「馴」が常用漢字ではないためです。

常用漢字とは文化庁によって定められた、一般の社会生活において、現代の国語を書き表す場合の漢字使用の目安を示すものです。常用漢字ではないものは法令、公用文書、新聞、雑誌、放送などでは使われません。

そのため、あとで説明するように「慣れる・馴れる」には意味の違いがあるのですが、「馴れる」の意味の場合にも「慣れる」が使われたり「なれる」とひらがなで書かれることがあります。このため「慣れる・馴れる」は一般的な使い方を見ただけでは区別がつきにくくなっています。以下で詳しい意味や例文を見ながら違いを確認していきましょう。

「慣」と「馴」の意味

「慣れる」「馴れる」の違いは「慣」と「馴」の意味の違いと関係しているので、まずそれぞれの漢字の意味を確認しておきましょう。

「慣」の右側の「貫」の字は、丸い貝を二つのひもで抜き通した様子を表したもので、つらぬくことや変化しないという意味です。左側の部首は心を表しています。「心+貫」からなる「慣」は、「一貫したやり方に沿った気持ち」や「ひとつの物事に心の働きを通して慣れる」という意味を持っています。

「馴」は「馬+川」から出来ていて、川が一定の筋道に従って流れるように、馬が従いなれることを表しており、「言うことをきくようになる。素直に従う」という意味を持っています。

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「慣れる」の意味と例文

まず、「慣れる」の意味と例文を見てみましょう。

「慣」の漢字の意味からもわかるように、「慣れる」はある物事に対して一貫した態度や行動を取り続けることによって違和感がなくなる場合に用いられます。また、継続や積み重ねによって習慣になったり、習熟したりする場合にも用いられます。例文を見てみましょう。

・異国の風習に慣れるのには時間がかかった。
・ようやく早起きにも慣れてきた。
・経理の仕事にもだいぶ慣れた。

また、「慣れる」は以下の例文のように道具に身体がなじむ場合にも用いられます。

・履き慣れた靴を履く。
・通い慣れた店へ行く。
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「馴れる」の意味と例文

では次に「馴れる」の意味と例文を見てみましょう。

「馴」が「馬が従いなれる」ことを表していることからもわかるように「馴れる」の代表的な意味は、馬をはじめとした「動物が人間に対する警戒心などを持たなくなる」というものです。以下のように用いることができます。

・野生の動物はなかなか人に馴れない。
・よく人に馴れた象だ。

また、動物だけでなく人が他人に対して警戒心を持たなくなり親しみを覚える場合にも「馴れる」が用いられます。

・園児が新しい先生に馴れるのに時間は必要なかった。
・新しい上司にもようやく馴れてきた。
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「慣れる」「馴れる」の練習問題

ここまでの説明で「慣れる」「馴れる」の違いがわかったと思いますので、最後に練習問題をしてより理解を深めておきましょう。

以下の例文の場合、「慣れる」と「馴れる」のどちらがより適切でしょうか。答えは、この記事の最後にあります(「馴」は常用漢字ではないことから、以下のいずれに場合にも「慣」が使われる場合がありますが、ここでは本来の意味の違いから「より適切なものはどれか」を考えてください)。

1.内気だがなれている人となら話せる。
2.目が暗闇になれてくる
3.子どもの扱いは手なれたものだ。
4.手なれた鳥でも逃げることはある。
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「慣れる」「馴れる」の違い、まとめ

「慣れる」「馴れる」の違いと正しい使い分け方、このページの解説でおわかりいただけましたでしょうか。最後にもう一度、正しい使い分けのポイントを以下に記します。何度も見直して使い分けに慣れてください。

 ①何に対して②どうなるのか
慣れる状況や状態、道具に対して違和感がなくなる、習慣になる、習熟する
馴れる人や動物に対して警戒心を失くす、親しみを持つ

<練習問題の答え>
1.馴れている 2.慣れてくる 3.手慣れた 4.手馴れた
-解説―
3番と4番はどちらも「てなれた」ですが、「3.手慣れた」は「習熟する」、「4.手馴れた」は「飼い馴らされた」という意味の違いがあります。

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