「許可」「認可」の違いと使い分けの例文

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「許可」「認可」は、どちらも「ある行為についての願いを聞き入れて、その通りにすること」です。「許可」と「認可」は一般的な場面でも使われますが、法律用語としても使われています。それぞれの場面での違いをまとめると以下のようになります。

 一般用語として法律用語として
許可そうしてもよいと判断すること「してはいけない行為」を許すこと
認可そうしてもよいと判断して確定すること「こうあったらいいという行為」に同意して有効にすること

このページでは「許可」「認可」の違いについて、詳しい意味と具体的な使い方とともにわかりやすく解説しています。

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「許可」「認可」の意味と例文

まず、「許可」「認可」の辞書での意味を確認しておきましょう。

【許可】
許すこと。願いごとなどを聞きとどけること。
法令で一般的には禁止されている行為について、特定の場合にこれを解除し、適法にその行為ができるようにする行政行為。

【認可】
よしと認めて許すこと。
公の機関が、法人・私人のした行為に同意を与えて、その法律上の効力を完成させる行政処分。

出典:『日本国語大辞典』

一般用語としての違い

まず、「許可」と「認可」の一般用語としての違いから見ていきましょう。

辞書の意味を見ると、「許可:許すこと。願いごとなどを聞きとどけること。」「認可:よしと認めて許すこと。」となっており、この部分の意味は重なっていることがわかります。しかし、以下の例文を見ると「許可」を使うことはできるのに「認可」を使うことはできません。なぜでしょうか。

〇相手のご両親に同棲することを許可してもらった。
✕相手のご両親に同棲することを認可してもらった。

「許」と「認」の違いを詳しく

「許可」と「認可」の意味の違いを生み出しているのは「許」と「認」の部分です。「許」は「許す」、「認」は「認める」という意味ですが、この違いもわかりにくいので漢字の成り立ちからもう少し掘り下げてみましょう。

「許」の「午」の部分は、上下に動かしてつく杵(きね)を表しています。杵を動かすときに上下のふり幅には多少のずれが出ますが、ある程度の範囲内であればよしとするということを「許」の漢字は表しています。

「認」には「忍」という漢字が使われています。これは刀の刃のように鍛えられたねばり強い心を表しています。そして、「認」はねばり強く心に印象づけたり刻みづけたりするという意味を表します。

上記のことから「許」はある事柄に対してそうしてもよいと判断するという意味ですが、「認」は刻みつける、つまり確定するといった更に一歩踏み込んだ意味を持っていることがわかります。そのため、「認可」は「許可」よりも手続きや形式が重んじられる場面で使われます。

「許可」と「認可」の使い分け

では、先ほどの例文に戻って考えてみましょう。

〇相手のご両親に同棲することを許可してもらった。
✕相手のご両親に同棲することを認可してもらった。

この例文では「同棲」が取り上げられています。「同棲」には手続きや届け出が必要なわけではありません。そのため「認可」を使うのは不自然ということになるのです。

では、「結婚を認可する」ならどうでしょうか。「結婚」は届け出が必要なので「認可」でも良さそうです。しかし、上記の例文では「両親」とあります。婚姻届は役所が受理するものであり、両親が受け付けるわけではありません。そのため、やはり「認可」では不適切ということになります。

では、以下の例文はどうでしょうか。

△自分たちが作ったダンス部が学校に許可された。
〇自分たちが作ったダンス部が学校に認可された。

この場合には、「認可」がより適切です。なぜなら学校がよしと判断し、かつそれが確定されることで学校内の部活動として成立するからです。「許可された」の場合、部室が与えられたり部費が出たりするわけではないけれども、ダンス部が活動を行うことを学校側として否定はしないという状況が想像されます。

法律用語としての違い

では次に、「許可」と「認可」の法律用語としての違いを見てみましょう。

「許可」について詳しく

辞書の説明にもあるように「許可」は、「法令で一般的には禁止されている行為について、特定の場合にこれを解除し、適法にその行為ができるようにする行政行為。」のことです。

例えば、飲食店を営業する場合に必要な「営業許可」について考えてみましょう。飲食物を提供する店は誰が開いてもよいものではありません。お金をもらって飲食物を提供することは原則的には法律で禁止されているからです。そのため、飲食店を営業したい場合には、必ず保健所に営業許可を申請する必要があります。法律で定められた基準に従って営業するので、禁止を解除してくださいというお願いです。申請を受けると保健所が人員や設備等について確認をします。そして、問題がなければ営業許可が下ります。

このように「許可」というのは、「禁止されている行為を許すこと」です。もし許可を得ずに飲食店の営業を行った場合には、違法となり処罰の対象になります。

「認可」について詳しく

「認可」は「公の機関が、法人・私人のした行為に同意を与えて、その法律上の効力を完成させる行政処分。」のことです。

例えば、「認可保育園」を例にして考えてみましょう。待機児童の問題が言われるようになって以来、「認可保育園」や「無認可保育園(認可外保育園)」という言葉を聞くようになりました。

認可保育園は、施設の広さや保育士の数などが児童福祉法の設置基準を満たしていて、国が条件に確かに合っていると認めた保育所です。一方で「無認可保育園(認可外保育園)」は一部の設置基準を満たしていない保育園ですが、だからといって運営禁止や処罰の対象になるわけではありません。ここが「許可」とは違うところです。

「許可」は「してはいけないこと」を前提としていますが、「認可」は「こうあったらいい」ということを前提としています。こうあったらいいという条件を満たしていれば、「満たしていますよ」と認めてお墨付きを与える、これが「認可」なのです。なので、「認可」されていなくても保育園の運営はできますし、基準に縛られない独自の特色を出した「無認可保育園(認可外保育園)」もあります。

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「許可」「認定」の違い、まとめ

「許可」「認定」の違いと正しい使い分け方、このページの解説でおわかりいただけましたでしょうか。

最後にもう一度、正しい使い分けのポイントを以下に記します。頭の中の整理にお役立てください。

 一般用語として法律用語として
許可そうしてもよいと判断すること「してはいけない行為」を許すこと
認可そうしてもよいと判断して確定すること「こうあったらいいという行為」に同意して有効にすること
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