「宿命」「運命」「天命」の違いと使い分けの例文

「宿命」「運命」「天命」は、どれも「人間の意志を越えた超自然的な作用」のことですが、以下のような違いがあります。

  • 宿命:魂に宿された言いつけ
  • 運命:運ばれてくる言いつけ
  • 天命:天に与えられた言いつけ

この違いを図示してみました。

人は「宿命」を持って生まれ、「天命」に向かって生きていき、そこまでの道のりで運ばれてくるのが「運命」ということです。

このページでは「宿命」「運命」「天命」の違いについて、詳しい意味と具体的な使い方とともにわかりやすく解説しています。

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「宿命」「運命」「天命」の意味

「宿命」「運命」「天命」を辞書で調べると、次のように説明されています。

【宿命】
生まれる前からきまっていて、避けることのできない運命。前世からの運命。
出典:学研国語大辞典

【運命】
ものごとのなりゆきや人間の身の上を支配し、人の意志で変えることも予測することもできない神秘的な力。また、それによって定められているものごとのなりゆきや人間の身の上。めぐりあわせ。運。
出典:学研国語大辞典

【天命】
1.天の命令。天から与えられた使命。また、天から受けた運命。
2.天から授けられた寿命。天寿。
出典:明鏡国語辞典

「命」の意味

「宿命」「運命」「天命」には、どれも「命」という言葉が使われていますので、まずこの意味を確認しておきましょう。

「命」は「令」と「口」という漢字からできています。「令」は屋根の下に人がひざまずく姿を表し、「口」は神や君主が口や音声で意向を表明するという意味です。この2つの漢字が組み合わさって、あることを行うように言いつけるという意味になりました。「命令」や「使命」は、この意味で使われていますね。

また「命」は、「生命」「寿命」という言葉に使われているような、人間や生物が生存するためのもとの力となるもの、生きている時間という意味も持っています。これは、神や君主からの言いつけというものは、生きるか死ぬかのまさに命がけのものであったためという説や、生きるということは神からの言いつけだからという説などがあります。

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「宿」「運」「天」の意味

「命」の意味がわかったので、次に「宿命」「運命」「天命」の「命」以外の部分、「宿」「運」「天」の意味を確認しましょう。これらが「宿命」「運命」「天命」の意味の違いを作り出しています。

「宿」は、ウ冠の屋根の下で、四角い布団を使って人が寝る様子から、泊まるとか止まるという意味になりました。また、そこから転じて「子どもを宿る」「物に魂が宿る」のように生命が吹き込まれてそこに留まるという意味も表します。

「運」は、左側はしんにょうですね。これが道を表していることは学校で習ったことがあると思います。右側の「軍」は車で、車の上にある冠は旗を表しています。つまり、「運」は旗をたなびかせながら道を進んで行くこと、またはその車を動かす≒運んでいくことという意味です。「運動」「運行」などは、この意味で使われていますね。

「運」は「運がいい/運が悪い」にも使われています。一見「運ぶ」とはまったく違う意味のようにも思えますね。これは幸せも不幸も運ばれてくるもので、めぐり合わせ次第だという考え方から、このような意味でも使われるようになったようです。

「天」は、大の字にたった人間の頭の上の部分を横棒で示した形です。もともとは頭または頭の一番上という意味でしたが、転じて、頭より高いところ≒空を指すようになり、それが神様のいるところまでも指すようになりました。「雨天」「炎天」は空の意味ですが、「天国」「昇天」は神様のいるところの意味で使われていますね。

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「宿命」「運命」「天命」の意味

このような「宿」「運」「天」と「命」の意味とを組み合わせて考えてみると、「宿命」「運命」「天命」はそれぞれ以下のような意味になります。

  • 宿命:魂に宿された言いつけ
  • 運命:運ばれてくる言いつけ
  • 天命:天に与えられた言いつけ

この意味を踏まえながら、具体的な例文で使い方を確認していきましょう。

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「宿命」「運命」「天命」の使い方と例文

〇宿命の恋
〇運命の恋
✕天命の恋

「宿命の恋」は生まれる前から決まっていた魂に宿されている恋です。「運命の恋」は生きていく中で運ばれてきて巡りあった恋です。「天命の恋」は天に与えられた恋という意味になり、そういったものがないとは言い切れませんが用例としては見当たりません。天は恋の相手までは決めてくれないようです。

✕宿命を左右する出会い。
〇運命を左右する出会い。
✕天命を左右する出会い。

「宿命」も「天命」もすでに定められていることなので、出会いによってそれらが左右されることはありません。そのため「左右する出会い」とともに使うことはできません。「運命」は、どのような出会いが運ばれてくるかによってその後の人生が良くなったり悪くなったりする可能性があります。そのため、「左右される」という表現とともに使うことができます。

✕人事を尽くして宿命を待つ。
✕人事を尽くして運命を待つ。
〇人事を尽くして天命を待つ。

「できるだけのことをやって、あとは天に任せる」という意味のことわざです。神様の命令を待つわけですから「天命」が適切です。「宿命」は生まれた時から定まっているものですから、「待つ」という表現とは合いません。「運命を待つ」とは言えそうですが、「運命」というのは何が運ばれてくるかわからない偶然の巡り合わせのようなものです。人事を尽くしてがんばったのに、偶然の要素の多い運試しを待つというのは不自然です。そのため「運命を待つ」とは言えません。

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「宿命」「運命」「天命」の違い、まとめ

「宿命」「運命」「天命」の違いと正しい使い分け方、このページの解説でおわかりいただけましたでしょうか。

最後にもう一度、正しい使い分けのポイントを以下に記します。頭の中の整理にお役立てください。

  • 宿命:魂に宿された言いつけ
  • 運命:運ばれてくる言いつけ
  • 天命:天に与えられた言いつけ

人は「宿命」を持って生まれ、「天命」に向かって生きていき、そこまでの道のりで運ばれてくるのが「運命」。