「首」「頸部」「頚部」「項部」。これら四つの言葉は同じ部位を指していると思われがちですが、以下のような違いがあります。
- 【共通する意味】頭と胴をつなぐ細くなっている部分
- 【首】頭と胴をつなぐ部分を含め、そこから上の部分
- 【頸部】頭と胴を繋ぐ細くなっている部分だけを指す
- 【頚部】上の「頸部」の俗字。意味は「頸部」と同じ
- 【項部】うなじ。「頸部」の後方。前方は「前喉部」

このページでは、「首」「頸部」「頚部」「項部」の違いとそれぞれの言葉の意味について詳しく解説しています。
【首、頸部、頚部、項部】の違いを解説
【首】頭と胴をつなぐ部分を含め、そこから上の部分
「くび」という言葉は主に頭と胴をつなぎ頭を支える細くなっている部分を指しますが、「首」という漢字は本来は頭を意味していました。
ただし「くび」は「なまくび」などの用例があるように、頭も含めた部分を意味しています。
よって「首」という漢字は、頭と胴をつなぐ部分とそこから上の部分を指すことになります。
なお江戸時代、「首」は「美貌」や「美人」を表す言葉としても使われていました。江戸中期の洒落本で外山翁の『浪花色八卦』に以下のような記述が確認できます。
かかる所には看板の首(くび)といふものありて、よい顔を門口のきっぱしへ出してまねかすれば・・。
出典:外山翁『浪花色八卦』
【頸部、頚部】頭と胴を繋ぐ細くなっている部分だけを指す
「頸部」は、頭と胴を繋ぐ細くなっている部分に限定された言葉です。また「くび」という日本語に「頸」という漢字を当てた場合も、頭と胴を繋ぐ部分に限定されます。
なお「頚部」という言葉の「頚」という漢字は「頸」の俗字です。
正字か俗字の違いだけで「頚」と「頸」は同じ漢字なので、自ずと「頸部」「頚部」は同じ意味を持つ言葉ということになります。
【項部】うなじ。「頸部」の後方。前方は「前喉部」
「項部」の「項」という漢字は「うなじ」を意味し、「項部」は頸部のうち背面、後頭部の下あたり、すなわち「うなじ」を指す言葉です。
一方、「項部」に対して頸部の前面に当たる箇所は「前喉部」と呼ばれています。
【首、頸部、頚部、項部】の違い、まとめ
「首」「頸部」「頚部」「項部」の違いと使い分け方、このページの解説でおわかりいただけましたでしょうか。
最後にもう一度、「首」「頸部」「頚部」「項部」それぞれの意味を一覧形式にまとめますので、頭の中の整理にお役立てください。
共通する意味 | 頭と胴をつなぐ細くなっている部分 |
首 | 頭と胴をつなぐ部分を含め、そこから上の部分 |
頸部 | 頭と胴を繋ぐ細くなっている部分だけを指す |
頚部 | 上の「頸部」の俗字。意味は「頸部」と同じ |
項部 | うなじ。「頸部」の後方。前方は「前喉部」 |
なお、首付近を意味する似た言葉として「うなじ」「首筋」「襟」「襟首」「襟足」があります。よろしければ記事「うなじ」「首筋」「襟」「襟首」「襟足」の違いと使い分け方をご参照ください。