「整理」「整頓」「片づけ」は、どれも「乱れたものを秩序正しい状態にすること」ですが、それぞれ以下のような意味を含んでいます。
整頓 :正しい位置に置く。
片づけ:元の位置に戻す。
「整理」「整頓」「片づけ」の違いと使い分け
「整理」「整頓」「片づけ」の意味と違い
このページでは「整理」「整頓」「片づけ」の違いについて、詳しい意味と具体的な使い方とともにわかりやすく解説しています。
「整理」「整頓」「片づけ」を辞書で調べると、次のように説明されています。
【整理】
1.乱れた状態にあるものをととのえ、秩序正しくすること。
2.不必要なものを取り除くこと。
出典:『広辞苑』【整頓】
乱れ散らかったものを、正しい位置にきちんと置くこと。
出典:『使い方の分かる類語例解辞典』【片づけ(る)】
1.散らかっている場所をきれいに整える。また、散らかっている物やじゃまな物を取り除いて、納まるべき所にきちんと納める。
2.物事をきちんと解決したり済ませたりする。
出典:『明鏡国語辞典』
それぞれの意味をよく比べてみると、以下の共通点が見えてきます。
- 「整理:秩序正しくする」≒「整頓:きちんと置く」≒「片づけ:きれいに整える」
つまり、どれも「乱れのない状態にすること」であることがわかります。
では、次に違いに注目してみましょう。
もう一度、辞書の意味をよく見くらべていくと、それぞれの言葉の次のような特徴が見えてきます。
「整頓 :正しい位置に置く」
「片づけ:納まるべき所に納める」
つまり、「整理」は「取り除く」ことを、「整頓」は「どこに置くとよいか」を、そして、「片づけ」は「もともとあったところに戻す」ことを意識した言葉なのです。
「整理」「整頓」「片づけ」の使い方と例文
では、具体的な例文を見ながら使い方を確認していきましょう。
まずは、「整理」を使うのがよい例です。
✕ 交通の整頓にあたる。
✕ 交通の片づけにあたる。
道路での車の流れをよくするためには、余分な車を取り除く必要があります。そのため「整理」しか使えません。「整頓」だと車を道路に順序良く並べるイメージですし、片づけるだと散らかっている道路を掃除しているかのようです。
✕ 気持ちの整頓をする。
✕ 気持ちを片づける。
複雑な心情をすっきりした状態に整えるためには、不要な感情を捨てる必要があります。そのため、「整理」としか使えません。「整頓」の場合、すべての感情はそのままで並べ方を変えることになり、すっきりするとは言い難いように思います。また、複雑になってしまった感情はもともと収まっていた場所があったわけではないので、「片づける」も使えません。
次に「整頓」を使うのがよい例を見てみましょう。
〇 教室の机を並べて整頓した。
✕ 教室の机を並べて片づけた。
机を秩序正しく並べるという意味ですから、どこに置くのがよいかを意識する「整頓」が適切です。「整理」だと並べてみて余った机を取り除いた状態を作ることになります。また、「片づける」は元の位置に戻すことを意識した言葉なので、「並べる」とは相性が悪く、いっしょに使うと不自然な文になってしまいます。「教室の机を後ろに片づけて、椅子だけを並べて整頓した。」であれば使えます。
〇 余分な物はなにもない整頓された部屋
✕ 余分な物はなにもない片づけられた部屋
「余分なものはない」わけですから、取り除くことを意識した「整理」は使いにくい文です。ただし、余分な物を捨てたことで、今きちんとした状態になっているとも考えられるので、「整理」でまったくの間違いとは言えません。
「片づけられた」は適切ではありません。この文は「余分なものがない」ことが部屋の秩序をよくしているということを伝えているので、物が元の場所に戻っているかどうかに意識がある「片づける」は使えません。例えば、「散らかっているものはなにもない片づけられた部屋」であれば、「片づけ」を使うことができます。
最後に「片づけ」を使うのがよい例を見てみましょう。
✕ 読み終えた本を本棚に整頓する。
〇 読み終えた本を本棚に片づける。
この文では、もとの位置に戻すことを意識した「片づけ」しか使うことができません。「読み終えた本を整理する」であれば、その本を処分して整えるので「整理する」でも使えます。また「整頓する」の場合、「読み終えた本を本棚に戻したあとで、整頓する。」であれば使えるようになります。
「整理」「整頓」「片づけ」の違い、まとめ
「整理」「整頓」「片づけ」の違いと正しい使い分け方、このページの解説でおわかりいただけましたでしょうか。この違いがわかると、どうして「整頓整理」ではなくて「整理整頓」と言うのかもわかりますね。
最後にもう一度、正しい使い分けのポイントを以下に記します。頭の中の整理整頓にお役立てください。
整頓 :正しい位置に置く。
片づけ:元の位置に戻す。