理由や原因を表す接続助詞「ので」「から」「ため」。
「道が混んでいるので遅れます」
「道が混んでいるから遅れます」
「道が混んでいるため遅れます」
違いを区別するのは難しそうですが、以下のポイントさえおさえてしまえば違いと使い分けは簡単です。
- 【ので】話し手の意思表示を弱め丁寧に伝える場合
- 【から】話し手の意思表示を強調して伝える場合
- 【ため】主に文書などでかしこまった表現をする場合
このページでは、「ので」「から」「ため」の違いを区別するポイントについてのさらに詳しい解説を、具体的な用例を用いながら行なっています。
「ので」「から」「ため」の違いと使い分け方を解説
【道が混んでいる「ので,から,ため」遅れます】
「道が混んでいるから遅れます」
「道が混んでいるため遅れます」
こんな場面を想像してみてください。仕事で取引先の担当者と駅で待ち合わせることになりました。その人とは初対面です。
さて、待ち合わせの時間になってもその人は姿を現しませんでした。すると、あなたの携帯電話に着信が。電話の相手はこれから会う取引先の担当者でした。
取引先の担当者は電話の向こうでこう言いました。
「道が混んでいるので遅れます」
この言葉を聞いたあなたは、先方の言い分をすんなりと受け止めることができるはずです。しかし、もし取引先の担当者が次のように言ってきたらどうですか?
「道が混んでいるから遅れます」
違和感を感じませんか?初対面の人に言い訳するのかと。
「ので」は客観的な事実をそのまま伝え、話し手の意思表示をやわらげる丁寧な言葉なので、初対面の人から言われても違和感を感じることはありませんでした。
「から」は意思表示を強調する言葉のため、「から」を使う相手を間違ってしまうと相手には言い訳と受け取られてしまうのです。
一方で「ため」はかしこまった言い方が必要とされる場面や文書の中などで使われる言葉です。
文書の中で書き表すには「道が混んでいるため遅れます」というよりも「道路が混雑しているため遅延します」の方が表現の仕方として適切でしょう。
【危ない「ので,から,ため」前の人を押さないでください】
「危ないから前の人を押さないでください」
「危ないため前の人を押さないでください」
ラッシュアワーの時間帯など、人であふれた駅のホームなどでは前の人を押す行為は極めて危険です。そんな状況下、駅員さんが次のようなアナウンスをしているのを聞いたことがありませんか?
「危ないので前の人を押さないでください」
駅員さんはお客様である乗客に対する言葉を選び抜き、角が立たない「ので」を使って注意を促したものの乗客たちには耳を傾ける様子はありません。
この状態を放置していては危険だ。そう考えた駅員さんは、先ほどよりも語気を強めて次のように言いました。
「危ないから前の人を押さないでください」
語気を強めることに加えて「ので」を「から」に差し替えることで、言葉そのものもより強い表現を選びました。
「ので」は意思表示をやわらげてしまうため、駅員さんは危険であるという意思表示を強調するために「から」を使ったのです。
ところで、この駅の混乱の原因を作っている最大の原因がこの駅の近くにある大学の学生たちの振る舞いだったとしましょう。
駅員さんは、こんな書面を大学に送りつけるかも知れませんね。
「危険なため前の人を押す行為は慎んでください」
「ので」「から」「ため」の違いと使い分け方、まとめ
「ので」「から」「ため」の違いと使い分け方のポイントを、二つの具体的な用例によって解説しましたが、ご納得いただけましたでしょうか。
最後にもう一度、「ので」「から」「ため」の違いを区別するポイントを以下にまとめます。頭の中の整理に下記するまとめをご活用ください。
- 【ので】話し手の意思表示を弱め丁寧に伝える場合
- 【から】話し手の意思表示を強調して伝える場合
- 【ため】主に文書などでかしこまった表現をする場合