「表す」「現す」「顕す」「著す」の違いと使い分け方のポイント

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「表す 現す 顕す 著す」はどれも「外に見えるように示す」という意味ですが、違いは何を・どう示すかです。

以下に、その違いをまとめました。

    何をどう
     表す 感情や考え、物事の様子などを何らかの手段を使って
     現す 見えなかったものを外に見るようにはっきりと
     顕す優れた行為などを広く世間に知られるように
     著す自分の思想・経験・研究などを書物などに書いて

このページでは「表す 現す 顕す 著す」の違いについて、詳しい意味と具体的な使い方とともにさらに詳しく解説しています。

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表す 現す 顕す 著す」の違い

「表す」の意味と例文

まず、「表す」の意味を辞書で確認しておきましょう。

1.感情や考えなどをはっきりと見える形にして表に出す。

2.ある手段を使って心や物事のありさまを表現する。

3.あるものが記号として意味・内容を示す。意味する。

出典:明鏡国語辞典

「表す」のポイントは、感情や考え、物事の様子などをある手段を使って示す」という点です。どのような手段かは身振り、言語、記号、音楽、絵画、造形など様々です。

では、ポイントに注目しながら例文を見てみましょう。

  • 自分たちの感謝の気持ちを絵で表すことにした。
  • その態度は話し手の道徳観や価値観を表していた。
  • 下の図のようなセルはC5と表される。

このように、気持ちなどの「感情」、道徳観・価値観という「考え」、下の図といった「物事の様子」を、絵、態度、記号で示すことを伝えるときには「表す」を使います。

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「現す」の意味と例文

「現す」の意味を、辞書で確認しておきましょう。

1.はっきりと見える形をとって、その姿・形を表に出す。出現させる。

2.はっきりと観察できる形をとって、その内容や内面を表に出す。

3.前触れや効果・能力などをはっきりと表に出す。

出典:明鏡国語辞典

「現す」のポイントは、「見えなかったものを外に見えるようにはっきり示すという点です。

では、ポイントに注目しながら例文を見てみましょう。

  • 巨大な男が悠然と姿を現した。
  • 舞の途中に仮面を外して素顔を現して後半部分を舞います。
  • 男は本性を現し、鬼の姿に変わった。

このように、見えていなかった男の姿、仮面の下で見えなかった素顔、見えないように隠していた男の本性という「見えなかったもの」が「外に見えるようになる」ときには「現す」を使います。

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「顕す」の意味と例文

「顕す」の意味は辞書では以下の通りです。

1.すぐれた行為などを人目にはっきりと分かるように示す。

出典:明鏡国語辞典

1.何かの形で、善行などを広く世間に知らせる。

出典:大辞泉

「顕す」のポイントは、優れた行為などを広く世間に知られるように示すという点です。

では、ポイントに注目しながら例文を見てみましょう。

  • 記念碑に刻してその徳を顕す。
  • 若い頃から商才を顕していた。
  • 立身して世に名を顕す。

このように、徳や才能という「優れた一面」が「広く世間の人に知られる」ことを示すときには「顕す」を使います。

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「著す」の意味と例文

「著す」の意味も辞書で確認しておきましょう。

1.自分の思想・経験・研究などを世間に知ってもらうために、本を書いて出す。

出典:新明解国語辞典

1.書物を書いて世に出す。書いて出版する。

出典:大辞林

「著す」のポイントは、「書物などに書いて示すという点です。その他の「表す 現す 顕す」よりも使い分けがわかりやすいと思います。

では、ポイントに注目しながら例文を見てみましょう。

  • 結局、共著の書物を著すには至らなかった。
  • 彼は音楽に関する多くの文章を著したことでも知られている。
  • 様々なペンネームを用いて作品を著している。
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「表す 現す 顕す 著す」と「表わす 現わす 顕わす 著わす」の違い

では、ここで表記の違いも確認しておきましょう。

「表す 現す 顕す 著す」は、「表わす 現わす 顕わす 著わす」と書くこともありますよね。

どちらが正しいのでしょうか。

答えは、「どちらも正しい」です。

文化庁の「送り仮名の付け方」によると、「表す 現す 顕す 著す」が本則「表わす 現わす 顕わす 著わす」は許容するとなっています。

つまり、どちらで書いても間違いではありません。

ただ、「表す」には「ひょうす」と読む使い方もあります。

  • 敬意を表す(ひょうす)。
  • 感謝の意を表した(ひょうした)。

これは態度やことばに気持ちを示す意味で、「表す(あらわす)」の改まった表現です。

遺憾、謝意、哀悼、祝意など使われる場面は限られていますが、この場合は「ひょうす」と読む必要があります。

読み間違いを防ぐために「あらわす」の場合は、あえて「表わす」という送り仮名を振っているものもあります。

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「表す 現す 顕す 著す」の使い分けのヒント

ここまでの説明で「表す 現す 顕す 著す」の違いはおわかりいただけたでしょうか。

わかったけれども、いざ使おうと思うと「どれだっけ?」と迷うことはありますよね。
そんな時のために、「表す 現す 顕す 著す」を使ったいくつかの熟語を覚えておくことをおすすめします。

いくつかの熟語から類推することで、使い分けのポイントが思い出しやすく、わかりやすくなりますよ。

私がおすすめするのは以下の熟語です。

  • 表す:表情(感情を示す)、意志表明(考えを明らかに示す)
  • 現す:超常現象(見えていなかったものが出てくる)
  • 顕す:顕在意識(はっきりわかっている人格)
  • 著す:著書(書いて示す)

「表す 現す 顕す 著す」の違い、まとめ

「表す 現す 顕す 著す」の違いと正しい使い分け方、このページの解説でおわかりいただけましたでしょうか。

最後にもう一度、正しい使い分けのポイントを以下に記します。頭の中の整理にご活用ください。

    何をどう
     表す 感情や考え、物事の様子などを何らかの手段を使って
     現す 見えなかったものを外に見るようにはっきりと
     顕す優れた行為などを広く世間に知られるように
     著す自分の思想・経験・研究などを書物などに書いて
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