「測定」「計測」は、どちらも「器具や装置を使って、重さや長さなどを調べる」という意味ですが、以下のような違いがあります。
測定 | 器具や装置を使って長さ・重さ・深さ・速さなどを調べ、 | 基準や規格と照らし合わせて判定する。 |
計測 | 様々な観点や方法から得た数値を総合して見当をつける。 |
このページでは「計測「測定」の違いについて、詳しい意味と具体的な使い方とともにわかりやすく解説しています。
「測定」「計測」の意味と例文
まず、「測定」「計測」の辞書での意味を確認しておきましょう。
【測定】
はかり定めること。ある量の大きさを、装置・器械を用い、ある単位を基準として直接はかること。また、理論を媒介として間接的に決定すること。【計測】
種々の器械を使って、長さ・重さ・容積などをはかること。出典:『広辞苑』
辞書の説明では、「測定」ははかって定めること、「計測」は単にはかることとなっています。しかし、詳しく調べてみるとより深い意味の違いがあります。詳しい意味や例文を見ながら、それぞれの違いを確認していきましょう。
「測」「定」「計」の漢字の意味
言葉の意味を知るときには、漢字の意味を知るとよりわかりやすくなりますので一つ一つ見ていきたいと思います。
まず、「測定」「計測」のどちらにも使われている「測」からです。「測」の右側の「則」は、「鼎(かなえ)+刀」からなり、食器のそばにナイフをくっつけて置いた様子を表しています。「そばにくっついて離れない」という意味を示していましたが、のちにそばにくっついて離れえない基準や法則という意味で用いられるようになりました。
「測」は、ある単位を基準にして水の深さをはかるという意味でしたが、徐々に長さや温度など様々なものをはかるときにも用いられるようになりました。また、「推測」でも使われているように「あれこれ考えて見当をつける」という意味合いも含んでいます。
では、次に「定」です。「定」は「宀(やね)」の下に立ち止まる足がある様子を表していて、足をまっすぐ家の中に立てて止まること、一ヶ所に落ち着いて動かないことを示しています。ここから「物事を一つに決める/決まる」という意味を持つようになりました。
続いて「計」の意味も見てみましょう。「計」の左側は「言う」で、右側は「針」を集めた様子です。この二つを合わせた「計」は「口に出して数える」という意味を持っています。「計算」「計画」でも使われているように、数や時間をはかって数えたり、その結果をもとに見通しを立てるという意味合いも含んでいます。
それぞれの漢字の意味がわかったので、「測定」「計測」について詳しく見ていきましょう。
「測定」の意味と例文
「測定」は、それぞれの漢字の意味を組み合わせると「ある単位を基準にしてはかる+物事を一つに決める/決まる」となります。「測定」は、器具や装置を使って長さ・重さ・深さ・速さなどをはかり、基準や規格と照らし合わせて、問題はないか、適合しているかなどを判定するという意味です。例文を見てみましょう。
・降雨量を測定した。
「身体測定」は、身長計や体重計のような器具を用いてはかり、基準に照らし合わせて体格や発育を確認・判定します。そのため「測定」を用います。また、「降雨量の測定」も雨量計を用いて雨の量をはかり、過去の観測データから出された基準をもとに「弱い雨」「やや強い雨」のように判定をするので「測定」が用いられます。
「計測」の意味と例文
次に、「計測」の意味を見てみましょう。
「計測」は、それぞれの漢字の意味を組み合わせると「数える+はかってあれこれ考えて見当をつける」となります。「計測」も器具や装置を使って数・量・長さ・重さなどをはかるところまでは「測定」と同じなのですが、様々な観点や方法を用いてはかり、その結果を総合して考えて大体の見当をつけるという点で違いがあります。例文を見てみましょう。
・BMIを計測する。
「脳内活動」はある一つの方法だけでははかることができず、様々な観点からはかった結果をもとにして大体こういうことだろうと見当をつける必要があるため「計測」を用います。また、BMIも一つの数値だけからでは求めることができません。そのため「計測」を用います。以下の例文を見ると「測定」と「計測」の違いがよりわかりやすくなると思います。
身長や体重の値を出す作業は、「はかって→判定する」というシンプルな作業です。そのため「測定」を用います。一方でBMIの値を求めるのはそれほどシンプルではありません。身長と体重の数値を出し、それらを組み合わせたり計算したりして求める必要があります。そのため「計測」を使うのです。計測にはどのような数値を測定し、どのように計算して算出すればいいかを考えるところまでも含まれていて、「測定」よりも広い概念を含んでいます。
「測定」「計測」の違い、まとめ
「測定」「計測」の違いと正しい使い分け方、このページの解説でおわかりいただけましたでしょうか。最後にもう一度、正しい使い分けのポイントを以下に記します。頭の中の整理にお役立てください。
測定 | 器具や装置を使って長さ・重さ・深さ・速さなどを調べ、 | 基準や規格と照らし合わせて判定する。 |
計測 | 様々な観点や方法から得た数値を総合して見当をつける。 |