「戦略」「戦術」「戦法」「作戦」の違いと使い分けの例文

「戦略」「戦術」「戦法」「作戦」は、どれも「戦いに勝つために実行する具体的な技術や方法」のことです。もともとは軍事用語ですが、「マーケティング戦略」のようにビジネス場面でもよく使われます。「戦略」「戦術」「戦法」「作戦」は、対象とする範囲や具体性に違いがあります。職場の会議で間違えて使って恥をかかないように、ここでしっかり確認しておいてください。

「戦略」「戦術」「戦法」「作戦」の違いを、流れととともに簡潔に表すと以下のようになります。

  1. 戦うための総合的なシナリオ(戦略)を決める。
  2. シナリオ (戦略)の運用に必要な手段(戦術)を考える。
  3. 手段(戦術)をどのように使って戦うか(戦法)を考える。
  4. シナリオ(戦略)を遂行するために戦術と戦法を踏まえたプロジェクト(作戦)を立てる。

このページでは「戦略」「戦術」「戦法」「作戦」の違いについて、詳しい意味と具体的な使い方とともにわかりやすく解説しています。

「戦略」「戦術」「戦法」「作戦」の意味と例文

まず、「戦略」「戦術」「戦法」「作戦」の辞書での意味を確認しておきましょう。

【戦略】
1.戦争・闘争などに勝つための大局的・長期的な計略。
2.政治・社会運動・企業競争などを行う上での総合的・長期的な計画。

【戦術】
1.戦闘や試合に勝つための方法・手段。◇大局的・長期的な「戦略」に対して、具体的・短期的なものをいう。
2.ある目的を達成するための具体的な方法・手段。

【戦法】
戦闘・競技・試合などの戦い方。

【作戦】
戦闘や試合をうまく運ぶための方法・策略。また、ある目的を達成するための方法・策略。軍隊が計画に沿って一定期間行う一連の対敵戦闘行動。表現比喩的に戦闘以外にも使う。

出典:『明鏡国語辞典』

「戦略」と「戦術」の意味と例文

では、「戦略」と「戦術」のより詳しい意味と例文を確認してきましょう。この二つは比較するとよりわかりやすくなります。

「戦略」は、「戦略」「戦術」「戦法」「作戦」の中で最も広い範囲を対象としています。戦う時に必要な総合的で長期的な計画のことで、勝つための準備・計画・運用の方法までのすべてが含まれます。戦いの「シナリオ」のようなものだと思えばわかりやすいかもしれません。

シナリオには、ドラマや映画の場面の順序やセリフ、動作が書かれているように、戦略には戦いの順序や展開、兵士の動き方などの計画が盛り込まれています。ビジネスの場合であれば、どのように企業を成長せるか、利益を上げるかといったことに向けた大局的な経営計画が「戦略」ということになります。

「戦術」は、「戦略」よりも対象とする範囲が狭く、短期的でかつ具体的です。「戦略」がドラマ全体のシナリオだとすれば、「戦術」は一話分で、ストーリーよりも具体的なセリフや動きに焦点が当てられたものです。戦いの場面で言えば、最終的な勝利を得るために、現時点の局面ではどう戦うか、どのような兵器を使って、どのように兵士を動かすかが「戦術」ということになります。ビジネスの場面であれば、企業の方向性を実現させるために具体的に何をするのか、何を作ってどのように売るのかといった具体策が「戦術」です。

では、「戦略」と「戦術」の例文を比較しながら見てみましょう。以下の例文では、「戦略」と「戦術」を入れ替えることはできません。それぞれの意味の特徴である、長期的vs短期的、総合的vs具体的という観点から考えると納得できるのではないかと思います。

・経営戦略を練る。
・ストライキ戦術で抗議する。

・天下統一を果たした戦略家。
・戦術だけでは天下は取れない。

「戦法」の意味と例文

では、次に「戦法」についてより詳しく見てみましょう。

「戦法」は、「戦略」「戦術」「戦法」「作戦」の中で最も具体的で実践的なものを指しています。戦う時の方法や手段のことで、「戦術」よりも更に具体的です。「戦術」がある局面での戦い方だとすれば、「戦法」は敵を前にした時に、どの技で倒すかといったようなものです。盤上の戦いである将棋や囲碁では、「四間飛車」「中飛車」といった名前の付いた「戦法」があるそうです。名前がつくほど個別具体的なものを表すので、ビジネス場面で使われることはあまり多くなく、「戦法」の代わりに「手法」が使われることが多いようです。

「戦法」の例文には以下のようなものがあります。

・捨て身の戦法に出る。
・ゲリラ戦法に苦戦した。

「作戦」の意味と例文

では、最後に「作戦」について見てみましょう。

「作戦」は、漢字からもわかるように「戦いを作る」という意味です。「戦略」「戦術」「戦法」との大きな違いは、「作る」の部分です。「戦略」「戦術」「戦法」は、計画や方法といった言わば「静的」なものですが、「作戦」は「動的」です。「戦略」がうまく進むにはどうすべきか、どのような戦術や戦法を取るべきかを考えていく過程のことで、企画・開発部門と言ってもいいかもしれません。「戦略」と「戦術」「戦法」をつなぐという重要な役割を持つのが「作戦」です。

「作戦」の例文には以下のようなものがあります。

・幹部で作戦会議を開く。
・人質を救出する作戦を練る。

「戦略」「戦術」「戦法」「作戦」の違い、まとめ

「戦略」「戦術」「戦法」「作戦」の違いと正しい使い分け方、このページの解説でおわかりいただけましたでしょうか。

最後にもう一度、正しい使い分けのポイントを以下に記します。頭の中の整理にお役立てください。

  1. 戦うための総合的なシナリオ(戦略)を決める。
  2. シナリオ (戦略)の運用に必要な手段(戦術)を考える。
  3. 手段(戦術)をどのように使って戦うか(戦法)を考える。
  4. シナリオ(戦略)を遂行するために戦術と戦法を踏まえたプロジェクト(作戦)を立てる。


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