「心配」「不安」「気がかり」の違いと使い分けの例文

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「心配」「不安」「気がかり」は、どれも「何か悪いことが起こらないかと考え、心が落ち着かないこと」ですが、以下のような違いがあります。

  • 心配:原因がある程度わかっているが心が落ち着かない。
  • 不安:原因がわかっていないために心が落ち着かない。
  • 気がかり:心配や不安なことがどうなるのか気にし続けている。

このページでは「心配」「不安」「気がかり」の違いについて、詳しい意味と具体的な使い方とともにわかりやすく解説しています。

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「心配」「不安」「気がかり」の意味と例文

まず、「心配」「不安」「気がかり」の意味を辞書で確認しておきましょう。

【心配】
1.心を配ること。心づかい。気づかい。配慮。
2.斡旋(あっせん)すること。奔走して世話する。
3.これからどうなるか、何か起こりはしないかなどと気にすること。不安がること。また、そのさま。気がかり。うれえ。
出典:日本国語大辞典

【不安】
悪いことが起こるのではないかと心配して気持ちが落ち着かないこと。何か危険なことがありそうなので、気がかりで安心できないこと。また、その気持ち。
出典:学研国語大辞典

【気がかり】
〔物事の結果・なりゆきなどが〕(よくないのではないかと)心配で心からはなれないようす。心にかかって不安なようす。
出典:学研国語大辞典

「心配」の意味と例文

では、まず、「心配」について詳しく見ていきましょう。

「心配」は、一つ目の意味に「心を配ること。心づかい。気づかい。」と書かれています。これは「心が落ち着かない」という意味とは少し違うように感じるかもしれません。でも、この二つの意味はちゃんと繋がっています。「心配」というのは、「何かに心を配るから心が落ち着かなくなり、心が悩まされる状態になる」という意味なのです。

例えば、「子どもの将来が心配だ。」と言った時、親として子どもに対して心を配り、そのために自分の心が落ち着かなくなります。そして、子どもは将来大丈夫だろうかと心が悩まされる状態=心配になるのです。

また、「試験の結果が心配だ。」も、試験のことに心を配るから心が落ち着かなくなり、どんな点数が返ってくるのだろうかと心が悩まされる状態=心配になります。

このような流れを踏まえて、「近くに住む娘が食事の心配をしてくれる。」という文の意味を考えてみましょう。これは、娘が親の食事のことを気づかってくれるという意味で、さきほどの辞書で言えば一つ目の意味で解釈するものですね。でも、「心を配ること」と「心が落ち着かなくなること」は根底では繋がっているのですから、そう考えると「娘は親はきちんと食事をしているだろうかと心が悩まされ、気持ちが落ち着かなくなる。そして、親の食事を気づかう」という状態になるということになります。

ここまで3つの例文を見ましたが、どれも「子どもの将来」「試験の結果」「食事」という心を配る対象がはっきりしていることがわかると思います。このように、「心配」は「心が落ち着かない状態」の原因がはっきりしてる場合に使われます。

この点が「心配」と「不安」との大きな違いですので、次の「不安」についてのところでより詳しく見てみましょう。

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「不安」の意味と例文

「不安」の辞書での意味のポイントは、「悪いことが起こるのではないかと」「何か危険なことがありそうなので」の部分です。「不安」はその漢字からもわかるように、「安定、安心していない状態」を意味しますが、その原因は「何かが起こりそう」という漠然としたものです。

また、不安は「不結果(最悪の事態)に対する恐れに支配されて、落ち着かない様子。出典:新明解国語辞典」という説明にあるように、漠然としているからこその恐れを伴う感情です。

では、以下の例文で「心配」と「不安」の違いを確認してみましょう。

〇台風の行方が心配だ。
✕台風の行方が不安だ。

「台風の行方」という具体的に気になる事柄があるので「心配」を使えますが、逆に「不安」は具体的過ぎて使うことができません。「台風のことが不安だ。」のように漠然とした言い方にすると、台風は直撃しないだろうか、川は氾濫しないだろうか、家は大丈夫だろうかなどといった漠然とした恐怖に囚われた気持ちを表すことになり、「不安」を使うことができます。

✕一人になるとなんとなく心配だ。
〇一人になるとなんとなく不安だ。

原因ははっきりしないが、嫌なことや怖いことが起こるのではないかと心が落ち着かない状態を示す文なので、「不安」という言葉を使うのが適切です。「一人になるとお化けが出そうでなんとなく心配だ。」のように、心配に思うことの対象を明示すれば「心配」も使うことができるようになります。

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「気がかり」の意味と例文

では、最後に「気がかり」の意味と使い方を確認しておきましょう。

「気+かかる」という言葉の成り立ちからもわかるように、「気がかり」は心から何かが離れないとか、ふっきれないという意味を持っています。心から離れないものは、原因の明確な心配事である場合もあれば、原因が漠然としている不安である場合もあります。

そのため、「心配」「不安」のところで上げた例文では、「気がかり」を使うこともできます。

〇子どもの将来が気がかりだ。
〇試験の結果が気がかりだ。
〇台風の行方が気がかりだ。
〇台風のことが気がかりだ。

ただ、以下の場合は置き換えることができません。

✕一人になるとなんとなく気がかりだ。
✕一人になるとお化けが出そうでなんとなく気がかりだ。

「気がかり」の辞書の意味をもう一度確認してほしいのですが、「気がかり」の意味の特徴に「物事の結果・なりゆきなど」が心から離れないという点があります。

「一人になるとなんとなく不安」「一人になるとお化けが出そうでなんとなく心配」は、一人になった時点の気持ちを表しており、その後のなりゆきには焦点が当てられていない文です。そのため、「気がかり」と置き換えることはできません。

「心配」「不安」「気がかり」の違い、まとめ

「心配」「不安」「気がかり」の違いと正しい使い分け方、このページの解説でおわかりいただけましたでしょうか。

最後にもう一度、正しい使い分けのポイントを以下に記します。頭の中の整理にお役立てください。

  • 心配:原因がある程度わかっているが心が落ち着かない。
  • 不安:原因がわかっていないために心が落ち着かない。
  • 気がかり:心配や不安なことがどうなるのか気にし続けている。
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