「夜中」「真夜中」「夜半」「深夜」「未明」。いずれも夜を表すこれらの言葉ですが、違いは次の通りです。
- 【夜中】夜の時間帯を広く表す表現。
- 【真夜中】夜中の内でも最も更けた時間。
- 【夜半】文章語として使用することが多い。
- 【深夜】他の言葉と合わせて使用することが多い。
- 【未明】夜の明けきらない時間のこと。
このページでは、「夜中」「真夜中」「夜半」「深夜」「未明」、それぞれの違いと使い分け方についてさらに詳しく解説しています。
「夜中」「真夜中」「夜半」「深夜」「未明」の使い分け
【夜中】夜の時間帯を広く表す表現
「夜中」は、夜の間の広い時間帯を表した表現であり、何時から何時までの間といった明確な時間の定義はありません。
ただし、NHK放送文化研究所による全国一般調査によると、「夜中」は23時頃~翌2時頃と考えている人が多いです。
「夜中」は「午後11時台~午前2時台」
出典: NHK放送文化研究所 「平成15年度(後半)「ことばのゆれ」全国調査から(1)」
季節によって夜の長さが変動することや、人によって活動時間の差もあるため、一概には決めることはできませんが、日の出や日の入り間近の時間帯では無いことが共通認識であるようです。
【真夜中】夜中の内でも最も更けた時間
「真夜中」も「夜中」と同様に何時から何時までといった明確な時間の定義はありませんが、夜中の内でも最も更けた時間を指す言葉としてよく使用されています。
一般調査結果によると「真夜中」は0時頃~翌2時頃と考えている人が多いようです。日付を跨いだ辺り、もしくはそれより後の時間帯を指す言葉として使用されることが一般的です。
上記以外では「夜中」よりも遅い時間を指して使用することもあります。その場合は2時~3時頃を指すと考えられています。
【夜半】文章語として使用することが多い
「夜半」は現代ではあまり口語で使用することがない言葉で、文章の中で使用されることが多くなっています。
小説や俳句などの文学的作品で多く見受けられます。
『やはん』とも『よわ』とも読め、『やはん』と読むほうが馴染みがありますが、文章の中で使用される場合は『よわ』と読むことが多いようです。
「夜半」も基本的には時間の定義はされていませんが、かつて放送用語として天気予報などで使用されていた際は、23時半~24時半ぐらいと定義されていました。
国語辞典による説明によると、意味は「夜中」と同義です。
【夜半】 – よなか。
三省堂「大辞林」
【深夜】他の言葉と合わせて使用することが多い
深夜について、国語辞書で解説されている意味は以下です。
【深夜】よふけ。まよなか。
三省堂 「大辞林」
記載のある通り、意味合いとしては「深夜」は「真夜中」と同義です。
使い分けとしては、「真夜中」はその言葉単体で使用されるのに対して、「深夜」は言葉単体では使用されず、他の言葉と合わせて使用することが多いです。
「深夜」という漢字が含まれる熟語
- 深夜業
- 深夜料金
- 深夜放送
- 深夜アニメ
【未明】夜の明けきらない時間のこと
「未明」は未だ明けきらないと書く通りに夜がまだ明けない時間という意味合いがあります。
口語でも使用されますが、普段の会話というよりは、報道や天気予報などテレビ放送で耳にすることが多い言葉です。
気象庁が定める予報用語では「未明」は午前0時~翌3時頃までと明確に時間が定められています。
「未明」が指す時間は、先にも記載した通り予報用語で午前0時~翌3時頃までと定義されています。しかし、 NHK放送文化研究所による全国一般調査では「未明」を午前2時~午前4時と捉えている人が多いという結果でした。 さらには国語辞典でも一般回答寄りの説明がなされています。 「未明」は報道などでよく耳にする言葉ですが、『自分が考えている「未明」とは少しズレがある』と思う人は少なくないかもしれません。
「未明」は「午前2時台~午前4時台」
出典: NHK放送文化研究所 「平成15年度(後半)「ことばのゆれ」全国調査から(1)」
【未明】夜のあけきらない時分。明け方。
出典:三省堂「大辞林」
「夜中」「真夜中」「夜半」「深夜」「未明」の意味の違い、まとめ
「夜中」「真夜中」「夜半」「深夜」「未明」微妙なニュアンスの差ですが、時間を表す5種類の言葉の違い、おわかりいただけましたでしょうか。
このページの最後にもう一度、それぞれの違いのポイントを以下にまとめますので、おさらいにご活用ください。
- 【夜中】夜の時間帯を広く表す表現。
- 【真夜中】夜中の内でも最も更けた時間。
- 【夜半】文章語として使用することが多い。夜中とほぼ同じ意味
- 【深夜】真夜中とほぼ同じ意味だが、他の言葉と合わせて使用することが多い。
- 【未明】夜の明けきらない時間のこと。放送用語で午前0時~翌3時頃までと決まっている