「尻」と「臀部」に違いはありません。同じ意味です。また「殿部」という漢字の使い方も間違いではありません。しかし、以下のように使い分けましょう。
尻 | 話し言葉として最も広く使われる。日常会話の中などで使う。 |
臀部 | 医学用語。改まった言い方が求めらる文書の中などで使う。 |
殿部 | 医療・介護現場での慣用表現。この分野内では間違いではない。 |
以上が「尻」「臀部」「殿部」の違いと使い分けポイントですが、このページでは「尻」「臀部」「殿部」という言葉についてさらに詳しく解説しています。
【尻】【臀部】【殿部】
【尻】【臀部】【殿部】はいずれも、胴体の後ろ・腰の下にある肉が左右に盛り上がっている箇所のことを指します。
ただし「尻」だけは人体のパーツを指す以外にも様々な意味を持っています。
【尻】話し言葉
腰の後下部の肉の盛り上がった箇所を指す言葉として「尻」は子供から大人まで最も広く使われている言葉です。
広く使われる「尻」は、話し言葉としても書き言葉としても使うことができますが、改まった言葉づかいが求められる文書などでは「尻」は持ちいないのが無難です。
また「尻」は人体のパーツ以外に「器物などの下部・底面。(徳利の尻)」「最後のところ。(尻から三番目の成績)」など様々な意味を用法を持っています。
また「尻」という言葉を用いた慣用表現も数多く存在します。
- 【尻が重い】無精なさま
- 【尻に敷く】妻が夫を軽んじるさま
- 【尻に火が付く】切羽詰まったさま
- 【尻を上げる】立ち上がる
- 【尻を落ち着ける】長い間とどまる
- 【尻を据える】一箇所に居座る
- 【尻を叩く】行動に駆り立てる
- 【尻を拭う】他人の失敗の後始末をする
お尻を表す言葉は「尻」や「臀部」だけではありません。俗語の「けつ」。関西弁の「おいど」など。ちなみに「おいど」は「居処」と書き、女性用の丁寧語です。
【臀部】医学用語
「臀部」は医学用語で、あくまでも腰の後下部だけを意味する言葉です。「尻」のような慣用表現はなく、腰の後下部以外の意味もありません。
「臀部」は医学用語ですが、実際の医療・介護現場では「臀部」と書かず「「臀」の下半分の「月」を省略した「殿」が使われています。
解剖学の教科書でも「殿部」「殿筋」などと表記され、医療・介護の分野に限って「殿部」と書くのは間違いではありません。
しかし、医療・介護の分野の外で「殿部」と書くのは間違いとなります。くれぐれも注意してください。
【尻】【臀部】【殿部】の場所
「尻」「臀部」「殿部」のだいたいの場所は小さな子供でも知っていますが、厳密にどの部分を指すのかは意外に知られていません。
解剖学において「臀部」とされているのは、骨盤背後の一番上の部分・腸骨稜(ちょうこつりょう)から、太ももとの間の溝・臀溝(でんこう)までの間です。
図で示すと次のようになります。
ちなみに、左右の臀部の間の溝は解剖学では「臀裂(でんれつ)」と呼ばれています。
【尻】【臀部】【殿部】の違い、まとめ
「尻」「臀部」「殿部」の違い、このページの解説でおわかりいただけましたでしょうか。最後にもう一度、「尻」「臀部」「殿部」を区別するポイントをまとめますので頭の中の整理にお役立てください。
- 【尻】話し言葉として最も広く使われる。
- 【臀部】医学用語。改まった言い方。
- 【殿部】医療・介護現場での慣用表現。