「思う」「考える」の違いと使い分け方のポイント

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「思う」と「考える」は、どちらも「物事を理解したり、感受したりする精神的な活動をする」ことですが、違いには以下の3つのポイントがあります。

思う心を使って漠然と短い時間で
考える頭を使って具体的に長い時間で

このページでは「思う」と「考える」の違いについて、詳しい意味と具体的な使い方とともにさらに詳しく解説しています。

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「思う」「考える」の意味

まず、それぞれの意味を辞書で確認しておきたいと思います。

【思う】
1.ある物事について考えをもつ。考える。
2.眼前にない物事について、心を働かせる。
3.願う。希望する。
4.心にかける。心配する。気にする。
5.慕う。愛する。恋する。
6.ある感じを心にもつ。感じる。

【考える】
1.知識や経験などに基づいて、筋道を立てて頭を働かせる。
2.関係する事柄や事情について、あれこれと思いをめぐらす。
3.工夫する。工夫してつくり出す。

出典:大辞泉
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「思う」「考える」の使い分けのポイント

「思う=心を使って」「考える=頭を使って」

辞書を見ると「思う」にはたくさんの意味がありますが、その多くに「心」という言葉が使われているのがわかると思います。また、「心」が使われていないものでも「3.願う。希望する。」「5.慕う。愛する。恋する。」などは、心を使った活動だということは感覚的にわかるのではないかと思います。

「思う」は、「悲しいと思う」「母のことを思う」「お金持ちだったらと思う」のように、感情や感覚を働かせた心の活動の時に使われます。

「考える」の説明では、「1.知識や経験などに基づいて、筋道を立てて頭を働かせる。」で「頭」という言葉が使われていますね。「3.工夫する」には、「頭」と直接的には書かれていませんが、よい方法や手段をみつけようとする工夫の過程には「頭の働き」が必要であることはわかるのではないかと思います。

「考える」は、「数学の問題を考える」「新しいデザインを考える」のように頭を使った活動の時に使われます。

でも、ここで困ってしまうのが、「思う」の説明に「考える」が使われている「1.ある物事について考えをもつ。考える。」や、「考える」の説明に「思う」が使われている「2.関係する事柄や事情について、あれこれと思いをめぐらす。」ですね。

ここを理解することが「思う」と「考える」の使い分けを知るためのポイントになるので、例文と使い分け方を見ながら確認していきましょう。

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「思う=漠然と」「考える=具体的に」

以下の例文を見てください。

〇子どもの将来のことを思う。
〇子どもの将来のことを考える。

「思う」と「考える」のどちらでも使うことができますが、伝わってくる様子に違いが感じられないでしょうか。

「思う」からは、子どもは将来幸せだろうか、どんなことをしているだろうかといった漠然としたイメージを膨らませている様子が感じられます。「考える」からは、子どもの将来のために習い事に行かせようかとか、学費のために貯金しなければといった現実的で具体的なことの方策や計画を立てている様子が見えてきます。

〇自分の思っていた通りになった。
〇自分の考えていた通りになった。

この場合も、「思っていた通り」は想像していた通り、「考えていた通り」は計画していた通りというニュアンスの違いがあります。

このように、「思う」はある物事について漠然とした思考や想像をしている場合に、「考える」は具体性や計画性のある思考をしている場合に使います。

そのため、以下の例文のように漠然とした感じが強くなると、「考える」は使えなくなります。

〇その話は何か変だと思った。
✕その話は何か変だと考えた。

一方で、具体性が強くなると、「思う」は使えなくなります。

✕解決の方法を思う。
〇解決の方法を考える。

「思う」と「考える」の使い分けのポイントの一つは、「思う=漠然と」「考える」=「具体的に」という点なのです。

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「思う=短い時間で」「考える=長い時間で」

では、二つ目のポイントです。まずは、以下の例文を見てください。

〇おばけかと思った。
✕おばけかと考えた。

おばけのような人影を見て、おばけだ!と認知するのは一瞬のことです。このような短い思考の場合は、「思う」を使います。以下の例文の場合も同様です。

〇泣いたと思ったら笑った。
✕泣いたと考えたら笑った。

ころころと変わる様子の変化を表現した文ですが、これも短い時間に変化が起きているので「思う」しか使えません。

一方で、以下のような場合は使い方が逆転します。

✕よく思ってから返事をする。
〇よく考えてから返事をする。

返事をする前にしっかり時間を取ることを伝える文ですから、短い時間の思考を表現する「思う」は使えません。ある程度の時間を使って様々な事情を勘案するという意味を持つ「考える」が適切です。

△くよくよ思っても仕方がない。
〇くよくよ考えても仕方がない。

「くよくよする」とは、心を悩ませても仕方のないことにいつまでもこだわり続けることなので、心の活動です。そのため「思う」が使えるように思いますが、何か違和感があります。これは「くよくよ」の特徴が、こだわり続けている時間の長さだからです。長い時間をかけて悩む様子を表すには「思う」よりも「考える」がより適切です。

このように「思う」と「考える」の使い分けのポイントの二つ目は、「思う=短い時間で」「考える」=「長い時間で」という点です。

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「思う」「考える」、まとめ

「思う」と「考える」の違いと正しい使い分け方、このページの解説でおわかりいただけましたでしょうか。最後にもう一度、正しい使い分けのポイントを以下に記します。頭の中の整理にご活用ください。

思う心を使って漠然と短い時間で
考える頭を使って具体的に長い時間で
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