「霧(きり)」と「靄(もや)」と「霞(かすみ)」。これら三つの言葉の違いは、以下の通り一覧表示すると一目瞭然です。
霧(きり) | 靄(もや) | 霞(かすみ) |
気象用語 | 気象用語 | 気象用語でない |
水滴になった水蒸気 | 水滴になった水蒸気 | 水滴にチリなどが混ざったもの |
視程:1km未満 | 視程:1km以上 | 視程の定義なし |
遠くまで見通せない | 遠くまで見通せる | かすんで見える |
このページでは、「霧(きり)」と「靄(もや)」と「霞(かすみ)」それぞれの言葉の意味と違いの区別の仕方についてさらに詳しく解説しています。どうぞご覧ください。
【霧:きり】【靄:もや】【霞:かすみ】の違いを解説
「霧(きり)」と「靄(もや)」が同じ気象現象でともに気象用語なのに対して、「霞(かすみ)」だけが異なる現象で気象用語でもありません。
そこで、まずは「霧(きり)」と「靄(もや)」の区別を明確にして、その後に「霞(かすみ)」に違いを知ると、三つの言葉の違いへの理解が深まります。
【霧:きり】【靄:もや】の違い
「霧(きり)」と「靄(もや)」は、気象現象としてはまったく同じものです。
これら二つの言葉はともに、大気中の水蒸気が凝結して水滴となって浮遊し視界が悪くなる気象現象のことを言います。
そして二つの言葉を区別するポイントはただ一つ。視程、すなわち水平方向での見通せる距離の遠近です。
霧(きり) | 靄(もや) | |
視程(水平方向での見通せる距離) | 1km未満 | 1km以上,10km未満 |
見通し | 遠くまで見通せない | 遠くまで見通せる |
また「霧(きり)」の中でも特に、陸上での見通せる距離が100m以下、海上での見通せる距離が500以下の場合を気象庁では「濃霧(のうむ)」と呼んで区別しています。
参考:気象庁ホームページ
さらに「霧(きり)」は、その発生原因によって【放射霧、移流霧、蒸気霧、滑昇霧、前線霧】の5種類に分類されています。
【霧(きり)& 靄(もや)】と【霞:かすみ】の違い
「霧(きり)」と「靄(もや)」は、見通せる距離に違いがあるだけで気象現象としては同じものです。水蒸気が水滴となって浮かんでいる状態を指します。
それに対して「霞(かすみ)」だけは異なる現象で気象庁による定義もありません。
「霞(かすみ)」とは、空気中にちりや煙などが浮かび、空が白っぽくなったりうすぼんやりと見える現象を指す言葉です。
霧 & 靄 | 霞(かすみ) |
気象用語 | 気象用語でない |
水滴になった水蒸気 | 水滴にチリや煙などが混ざったもの |
見通せる距離で区別される | 白っぽく見えるが距離の定義はない |
【季語による区別】「霧(きり)」と「靄(もや)」と「霞(かすみ)」
【霧(きり)】
古くは四季を通じた季語として用いられたものの、平安時代に秋の季語としての用法が確立しました。
【靄(もや)】
「冬靄(ふゆもや)」「寒靄(かんあい)」など、冬の季語として用いられます。
【霞(かすみ)】
平安時代に「霧(きり)」が秋に特化した季語になるのと同時に、「霞(かすみ)」は春の季語となりました。
また「霧(きり)」が昼夜を問わず使われるのに対して「霞(かすみ)」が用いられる時間帯は昼間に限定され、夜間は「朧(おぼろ)」と呼ばれます。
霧(きり) | 靄(もや) | 霞(かすみ) |
秋 | 冬 | 春 |
【霧:きり】【靄:もや】【霞:かすみ】の違い、まとめ
「霧(きり)」「靄(もや)」「霞(かすみ)」の違い、このページの解説でご納得いただけましたでしょうか。
最後にもう一度、三つの言葉を区別するポイントを以下にまとめます。
- 【霧:きり】気象用語。水滴。視程:1km未満で遠くまで見通せない。
- 【靄:もや】気象用語。水滴。視程:1km以上で遠くまで見通せる。
- 【霞:かすみ】気象用語でない。ちりや煙を含む水滴。かすんで見える。