「体」「身体」「身心」「心身」の違いと使い分けのポイント

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「体」「身体」「身心」「心身」は、どれも頭、胴、手足などの肉体やそれに伴う精神を表しますが、違いは2つ。①動物の肉体か人の肉体か、②精神・心への焦点の強さの違いはどうかです。

以下に、その違いをまとめました。

    動物の肉体 人の肉体 精神・心 人の状況
    身体
    身心 ◎◎
    心身 ◎◎◎

    ※〇◎は精神・心への焦点の強さを表しています。〇<◎で◎のほうが強く、また、◎<◎◎<◎◎◎で◎が多いほうが強く焦点が当たっていることを示しています。

 

このページでは「体」「身体」「身心」「心身」の違いについて、詳しい意味と具体的な使い方とともにさらに詳しく解説しています。

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「体」「身体」「身心」「心身」の違い

「体」「身体」「身心」「心身」の違い1:動物の肉体か人の肉体か

まず、それぞれの意味を辞書で確認しておきましょう。

【体】

1.人や動物の,頭・胴・手足など肉体全部。また,特に胴を主とした部分。

2.健康。体力。

3.行動の主体としての肉体。

4.性的行為から見た肉体。

5.死体。むくろ。しかばね。

【身体】

・人の体。肉体。体躯(たいく)。

【身心・心身】

・心とからだ。

出典:大辞林

「動物の」と明記されているのは「体」しかありません。「身体」は「人の」と書かれていますし、「身心・心身」は「人の」とは書いていませんが、心は「人間の体の中に宿り、意志や感情など精神活動のもとになるもの。出典:明鏡国語辞典」であるように、「人間」のものですから、これもまた「人」を対象にして使われる言葉だということがわかります。

つまり、「体」は人と動物の両方に使えるが、「身体」「身心」「心身」は人にしか使えないということです。

例文でも確認してみましょう。

    ・博士の 〇体 〇身体 は疲れ切っていた。

    ・犬の  〇体 X身体 をなでる。

    ・X猫は 〇私は 身心・心身が疲れ切っていた。

「博士=人間」には、「体」「身体」のどちらも使うことができます。「犬=動物」の場合には、「身体」を使うことはできません。

そして、「身心・心身」は、猫を家族のように感じているような文脈では使えなくはないですが、単なる「動物」と考えると違和感のある文です。やはり「身心・心身」は「人間」にだけ使える言葉と言えます。

「体」「身体」「身心」「心身」の違い2:精神・心への焦点の強さの違い

もう一度、冒頭の表を確認しておきます。

  人の肉体 精神・心
身体
身心 ◎◎
心身 ◎◎◎

※〇<◎ ◎<◎◎<◎◎◎

「体」「身体」「身心」「心身」はどれも、「(人の)精神・心」を表す言葉として使うことができますが、焦点の当たり方の強さが違います。

やや複雑なので、まず「体」と「身体」の違い、次に「身体」「身心」「心身」の違いを見ていきたいと思います。

「体」「身体」の焦点の強さの違い

精神・心
身体

※〇<◎ ◎<◎◎<◎◎◎

「身体」のほうが「体」より、「精神・心」に強く焦点が当たります。

例文で確認してみましょう。

〇俊敏な動きで体をかわした。

△俊敏な動きで身体をかわした。

どちらも間違いではありませんが、運動能力を表しているので「体」がより適切です。

〇タバコは体に害がある。

△タバコは身体に害がある。

これもどちらも間違いではありませんが、「タバコの害」というのは精神面よりも肉体面での病気を指すことから「体」のほうがより適切です。

    △肉体的にも精神的にも疲れて体が重い。

    〇肉体的にも精神的にも疲れて身体が重い。

肉体と精神の両方が疲れていると言っているので、そのどちらも含む「身体」を使う方が適切と言えます。

    △どうぞお体にお気を付けください。

    〇どうぞお身体にお気を付けください。

手紙やメールの最後によく使われる挨拶表現ですが、この場合も「身体」のほうが適切でしょう。怪我や病気などの肉体面だけではなく、心の健康も含めたトータルでの健康を願う表現だからです。

「身体」と「身心」「心身」の焦点の強さの違い

精神・心
身体
身心 ◎◎
心身 ◎◎◎

※〇<◎ ◎<◎◎<◎◎◎

 

「精神・心」への焦点の当たり方は、「身体」<「身心」<「心身」と強くなります。

例文で確認してみましょう。

    X修行をして身体を鍛える。

    〇修行をして身心を鍛える。

    〇修行をして心身を鍛える。

修行は、悟りを開くために仏道に励むことや、学問や技芸などに励んでそれを磨くことです。もともと仏教での精神鍛錬の用語であることから、精神を鍛えたり浄化したりすることが重要とされています。そのため、「身体」よりもより「心」に焦点の当たった「身心」「心身」のほうがしっくりします。

心よりも肉体を鍛えるイメージのある「トレーニング」であれば、「トレーニングをして身体を鍛える。」としてもさほど違和感を覚えません。

「身心」と「心身」の焦点の強さの違い

では、「身心」と「心身」の違いはなんでしょうか。

漢字の並び順からもわかるように「身心」は肉体に、「心身」は精神により焦点が強く当たります。

もともとは「身心」で肉体と精神が表されていましたが、より精神に焦点を当てる必要のある状況がでてきた際に「心身」が使われるようになったようです。

例えば、「心身症」は心理的な影響により肉体に不具合が生じる病気なので「心身症」と書かれることは納得がいきやすいですね。

一方で、「身心/心身ともに疲れた。」のような場合は、どちらの言葉を使っても問題ありません。

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「人の状況」を表す「体」「身体」

人の状況
身体
身心
心身

 

「体」は、「人の状況」も表すときにも使われます。

    夕方になってようやく体が空いた。

    普通の体ではないのだから、大事にしなさい。

「体が空いた」は忙しくないという状況を、「普通の体ではない」は妊娠や病気であるという状況を表しています。

その他にも、「体を粉にする」「体を惜しむ」など「人の状況」を表す慣用句として「からだ」が使われる場合、「体」が使われます。

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「体」「身体」「身心」「心身」の違い、まとめ

「体」「身体」「身心」「心身」の違いと正しい使い分け方、このページの解説でおわかりいただけましたでしょうか。

最後にもう一度、正しい使い分けのポイントを以下に記します。頭の中の整理にご活用ください。

 
  動物の肉体 人の肉体 精神・心 人の状況
身体    
身心   ◎◎  
心身   ◎◎◎  
 
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