「探す」「捜す」の違いと使い分けの例文

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「探す」「捜す」は、どちらも「人・物・場所を見つけようとして行動する」ことですが、意外と複雑な違いがあります。以下に、①どんなものを、②なぜ、③どのようにさがすのかという観点から違いを整理してみました。

     ①どんなものを②なぜ③どのように
    探す見たことがないものを欲しいから奥深くまで
    捜す 見えなくなったものを
    (失った、隠れたものを)

    見つける必要があるから細かくすみずみまで

このページでは「探す」「捜す」の違いについて、詳しい意味と具体的な使い方とともにわかりやすく解説しています。

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「探す」「捜す」の意味と例文

まず、「探す」「捜す」の意味を辞書で確認します。多くの辞書で、「探す」「捜す」は「さがす」の項目でまとめて説明されています。

【探す・捜す】

  • あちこちをたずねて、見えなくなったものや欲しいものを見つけだそうとする。
  • 自分の求めるものを見つけるために、ある場所を調べる。

表記一般に、見えなくなったものの場合は「捜」、欲しいものの場合は「探」と使い分けるが、混用されることも多い。

出典:『明鏡国語辞典』

「見えなくなったものの場合は「捜」、欲しいものの場合は「探」」であるという使い分けについての補足説明がわずかにありますが、これだけではわかりにくいと思います。「混用されることも多い」のは当然のことでしょう。

①どんなものを、②なぜ、③どのようにさがすのかという観点ごとにたくさんの例文を見ながらしっかりその使い分けを確認していきたいと思います。

①どんなものをさがすのか

まず何をさがすのかという観点から使い分けを見てみましょう。

・宝物を探す。
・自分の夢を探し続ける。

・カバンの中の切符を捜す。
・迷子になった子どもを捜す。

まだ見たことはないけれどあると思っているものをさがすときには「探す」を用います。「宝物」や「夢」はこれまで見つけたことがなく、どこにあるのか、どんなものかを知りたくてさがしているので「探す」といっしょに使います。一方で、もともと持っていた、存在していたのになくなってしまったものをさがすときには「捜す」を用います。

この違いを踏まえて、次の言葉の意味を考えてみましょう。どちらも「ひとさがし」ですが、意味は異なることがわかります。

人探し:雇用するために人をさがすこと。求人。
人捜し:行方不明者になった人をさがすこと。

「人探し」は、まだ見ぬ優れた人材を求めるためにさがすことですが、「人捜し」は、かつては存在したいのにいなくなってしまった人をさがすことです。同じ「ひとさがし」でも漢字の使い分けで意味は大きく異なります。

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②なぜさがすのか

次に、なぜさがすのかという観点から使い分けを見てみます。

・デパートでデートに来ていく服を探す。
・ずっと理想の相手を探している。

・犯人を捜す。
・冬山で遭難者を捜す。

それがあると嬉しくなるような手に入れたいものをさがすときには、「探す」を用います。デートのための服や理想の相手をさがすことはわくわくしますし、自分が望むことなので「探す」を用います。

一方で「捜す」は、欲しているものというよりも、見つける必要性があるものをさがす場合に使われます。犯人、遭難者、落とし物など、それが見つからなくては困るものを「さがす」場合には「捜す」を用いるのが適切です。

では、このような意味の違いを踏まえて、以下の例文の意味を見てみましょう。

・財布を探す。:財布を新調しようとお気に入りのものをさがす場合
・財布を捜す。:紛失してしまった財布をさがす場合
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③どのようにさがすのか

・この作品の良い点を探そう。
・事件の動機を探し出す必要があった。

・容疑者の家に踏み込んで証拠品を捜す。
・ずっとあなたのことを捜し回っていたのよ。

「探す」は奥深くまで、「捜す」は細かくすみずみまでさがす場合に用いられます。作品の「良い点」や「動機」をさがすときには、その作品や人のことを深く知る必要があります。そのため「探す」を用います。

「証拠品」をさがす場合には、その場所をくまなく調べる必要があるので「捜す」を用います。また、あちこちを移動してさがしていたという状況の場合にも「捜す」を使うのが適切です。

では、この違いを踏まえて、次の言葉の意味を考えてみましょう。

家探し(いえさがし):住むべき家をさがすこと。
家捜し(やさがし) :家じゅうをすみずみまでさがすこと。

「家探し」は、引っ越し先となる家を見つけるためにさがすことです。「家捜し」は、「家捜ししても、なくした本が出てこない」のように、家の中を残らずさがすという意味の言葉です。この場合には「捜す」のほうを用います。

「探す」「捜す」の違い、まとめ

「探す」「捜す」の違いと正しい使い分け方、このページの解説でおわかりいただけましたでしょうか。最後にもう一度、正しい使い分けのポイントを以下に記します。頭の中の整理にお役立てください。

     ①どんなものを②なぜ③どのように
    探す見たことがないものを欲しいから奥深くまで
    捜す 見えなくなったものを
    (失った、隠れたものを)

    見つける必要があるから細かくすみずみまで
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