「ひょう」と「あられ」は、どちらも空から降ってくる氷のイメージがあり、違いがわかりにくいですが、以下のような定義があります。
- 【ひょう】空から降ってくる直径5ミリ以上の氷
- 【あられ】空から降ってくる直径5ミリ未満の氷、あるいは雪に小さな氷が付着したもの
このページでは、「ひょう」と「あられ」の意味と違いについて、詳しく解説していきます。
「ひょう」「あられ」の意味
「ひょう」の詳しい意味
「ひょう」は「雹」と書きます。辞書と気象庁では、「ひょう」について以下のように説明されています。
強い雷雨に伴って局地的に降る大粒の氷。(直径5ミリ以上のものを指す)短い時間に農作物に害を与える。降雹回数は5・6・10・4月の順に多い。
出典:三省堂「新明解国語辞典第六版」より抜粋
積乱雲から降る直径5mm以上の氷塊。
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/kousui.html
出典:気象庁
冒頭でも解説しましたが、「ひょう」は直径5ミリ以上の氷が定義になります。急激に発達した積乱雲の中で上昇気流によって水蒸気が急激に冷やされると氷となります。ある程度の大きさになると重さに耐えられず地面に落ちてくるのですが、この時直径5ミリ以上になると「ひょう」と識別されます。
「ひょう」は氷ですから、さぞかし寒い時に降ってくるものだと考えるかもしれませんね。しかし、「ひょう」は積乱雲が発達しやすい春~秋にかけて発生するのが特徴です。
「あられ」の詳しい意味
「あられ」は「霰」と書きます。辞書と気象庁では、「あられ」について以下のように説明されています。
空から降る、雪に似た白い小形のかたまり。水蒸気が急に氷結してできる。
出典:三省堂「新明解国語辞典第六版」より抜粋
雲から落下する白色不透明・半透明または透明な氷の粒で、直径が5mm未満のもの。
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/kousui.html
a) 直径5mm以上は「ひょう」とする。
b)「雪あられ」と「氷あられ」とがある。予報文では、「雪あられ」は雪、「氷あられ」は雨に含める。
出典:気象庁
「雪あられ」は雪の結晶に小さな氷の粒が付着したもので脆くてやわらかいあられです。
「氷あられ」は5mm未満の氷の粒で、雪あられとは違い固くなります。
「雪あられ」は雲の中で雪の結晶や凍った水蒸気に、更に水蒸気がぶつかって付着することで生成されます。一方「氷あられ」は「ひょう」と同じで、積乱雲によって生成されます。
どちらも「あられ」と名が付きますが、生成状況が全く違います。「雪あられ」はその名の通り雪の季節に、「氷あられ」は「ひょう」と同じで積乱雲が発生しやすい時期に起こるのです。
「ひょう」「あられ」の違い
「ひょう」と「あられ」の決定的な違いは大きさです。「ひょう」は5ミリ以上、「あられ」は5ミリ未満と、明確にサイズの区切りがあります。
また、災害になるか否かも大きな違いです。気象庁では、「ひょう」が原因によって起こる被害を「ひょう害」と呼んでいます。
「ひょう」の定義は5ミリ以上の氷塊ですが、大きなものだと直径30cm以上にも及びます。もちろん、そこまで大きくなるのは非常に稀ですが、「ひょう」は固いのである程度の大きさになると、屋外に置いてある車やビニールハウスなどを傷つけたり、場合によっては人にぶつかり、負傷者や死傷者を出したりするのです。
一方、「あられ」は「雪あられ」は柔らかく、「氷あられ」も5ミリ未満と小さいので、よほど大量に降らない限り被害の心配はかなり少なくなります。
「ひょう」「あられ」の意味と違いまとめ
「ひょう」と「あられ」は良く似ていますが、明確な定義の違いがあります。最後に、「ひょう」と「あられ」の意味と違いを表にまとめましたので、参考になさってくださいね。
ひょう(雹) | あられ(霰) | |
定義 | 空から降ってくる直径5ミリ以上の氷塊 | 空から降ってくる直径5ミリ未満の氷塊、もしくは白色不透明~半透明の雪に似た塊 |
生成状況 | 積乱雲が発達し強い上昇気流で水蒸気が急激に冷やされ凍結することで生成される | 雪雲の中で雪に水蒸気がぶつかり小さな氷となって付着することで生成、もしくは「ひょう」と同条件の積乱雲でサイズが5ミリ未満となった場合 |
特記事項 | 災害となるケースもある(ひょう害と呼ぶ) | 「あられ」には「雪あられ」と「氷あられ」の2種類があり、「雪あられは雪」「氷あられは雨」として観測される。 |