「哀れ」と「憐れ」。ともに「あわれ」と読む、二つの言葉の間にある微妙な意味の違いは次の通りです。
- 【哀れ】物悲しい様。
- 【憐れ】同情すべき様子。
- 【注意】常用漢字は「哀れ」だけ。
このページでは「哀れ」と「憐れ」の意味の違いと使い分け方について、さらに詳しく解説しています。
【同訓異字辞典】「哀れ」と「憐れ」の違い
「哀れ」と「憐れ」の意味の違いを「哀れ:かなしい様子」「憐れ:同情すべき様子」と区別した根拠を以下に解説します。
「哀れ」と「憐れ」の意味の違い
大半の国語辞典が「哀れ」と「憐れ」を同じ意味の言葉として。あるいは「哀れ」だけを紙面上で解説している中にあって、東京堂出版の『同訓異字辞典』だけが次のような使い分け方を解説していました。以下、引用です。
【哀れ・哀れむ】は悲哀の場合に。
【憐れ・憐れむ】は憐憫の場合に。
出典:東京堂出版『同訓異字辞典』
- 【哀れ】=【悲哀】
- 【憐れ】=【憐憫】
では「悲哀」と「憐憫」には、それぞれどのような意味があるのでしょうか。これら二つの言葉の意味は『日本國語大辞典』で確認しました。
【日本國語大辞典】「悲哀」と「憐憫」の意味
「悲哀」と「憐憫」。それぞれの言葉の意味は次の通りです。以下は『広辞苑』からの引用です。
【悲哀】物悲しい様。寂しい様。
【憐憫】気の毒な様。同情すべき様。
出典:小学館『日本國語大辞典』
「悲哀」に含まれる「物悲しい様」「寂しい様」。「憐憫」に含まれる「気の毒な様」。これら三つの意味はほぼ同じ意味です。
- 「物悲しい様」≒「寂しい様」≒「気の毒な様」
しかし「憐憫」に含まれるもう一つの意味「同情すべき様」。これだけが他の三つの意味とは異なっています。
よって、他の三つの意味とは異なる「同情すべき様」が、「悲哀」と「憐憫」の違いを区別するポイントであり、「哀れ」と「憐れ」の違いを区別するポイントとなります。
- 【哀れ】=【悲哀】=物悲しい様
- 【憐れ】=【憐憫】=同情すべき様子
【注意】常用漢字は「哀れ」だけ/「哀れ」と「憐れ」の違い、まとめ
「哀れ」と「憐れ」の違いは上に述べた通りですが、最後に注意すべき点を付け加えます。
注意すべき点とは、「哀れ」は常用漢字ですが「憐れ」は常用漢字ではないという点です。
公用文や学校のテストの解答用紙など、常用漢字の使用が求められる場面では「哀れ」を使ってください。
また「哀れ」と「憐れ」の使い分けに迷う場合は、常用漢字である「哀れ」を使っていれば間違いありません。
- 【哀れ】=【悲哀】=物悲しい様
- 【憐れ】=【憐憫】=同情すべき様子
- 【注意】使い分けに迷ったら常用漢字の「哀れ」を使えば間違いない