「夏日」「真夏日」「猛暑日」「酷暑日」「熱帯夜」は、天気予報で良く聞く言葉ですが、以下のような気温の基準が定められています。
- 【夏日】最高気温が25度以上
- 【真夏日】最高気温が30度以上
- 【猛暑日】最高気温が35度以上
- 【酷暑日】最高気温が35度以上
- 【熱帯夜】最低気温が25度以上
このページでは、「夏日」「真夏日」「猛暑日」「酷暑日」「熱帯夜」について詳しく解説していきます。
【夏日、真夏日、猛暑日、酷暑日、熱帯夜】の意味と違い
【夏日、真夏日、猛暑日、酷暑日、熱帯夜】の意味
気象庁の公式ホームページでは、「夏日」「真夏日」「猛暑日」「熱帯夜」の意味について、以下のように説明しています。
【夏日】
最高気温が25度以上の日。【真夏日】
最高気温が30度以上の日。【猛暑日】
最高気温が35度以上の日。【熱帯夜】
夜間の最低気温が25度以上のこと。出典:気象庁
引用:https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/kion.html
夏日、真夏日、猛暑日は最高気温を基準にした言葉で、熱帯夜のみが最低気温を基準にしています。ちなみに、熱帯夜は気象庁の統計種目ではありません。
着目すべきは、気象庁公式ホームページに掲載されている「気温に関する用語」には「酷暑日」がない点です。前述のとおり、猛暑日と酷暑日は「最高気温が35度以上」と、同じ意味を持っています。なぜ、同じ意味を含む言葉が2つあり、酷暑日は気象庁の気温に関する用語に含まれていないのでしょうか。
【猛暑日、酷暑日】の違い
酷暑日が気象庁の「気温に関する用語」に含まれないのは、酷暑日が猛暑日の俗語という位置づけだからです。
今や最高気温が35度以上になるのは珍しくありませんが、過去は非常に稀なケースで、猛暑日、酷暑日という表現は使われていませんでした。例として、東京都の最高気温の推移を見てみましょう。

上記のグラフは、気象庁が発表している「東京 年ごとの値 詳細(気温・蒸気圧・湿度)」の直近100年間のデータをグラフ化したものです。過去東京で最高気温が35度以上になる年もあったのですが、非常に稀なことでした。そのため、最高気温35度以上の日数を観測しているものの、それを表す気温に関する言葉はなかったのです。
しかし、グラフが示す通り、最高気温が35度以上になる日数は増加傾向です。ニュースやワイドショーなどでは、最高気温が35度以上になると「酷暑日」という表現を使い始めます。この時、「酷暑日」という言葉の認知が広がっていきました。
その後、最高気温35度の日数増加を受けて、気象庁は2007年に予報用語を改正。最高気温35度以上の日を「猛暑日」とし、「酷暑日」は俗語の扱いになったのです。
では、「猛暑」と「酷暑」に意味の違いはあるのでしょうか。新明解国語辞典第六班では、それぞれの言葉について以下のように説明されています。
【猛暑】
(真夏の)厳しい暑さ【酷暑】
耐えがたいほどの(真夏の)きびしい暑さ⇔酷寒出典:三省堂「新明解国語辞典第六班」より抜粋
2つの言葉を比較すると、暑さの厳しさは「猛暑<酷暑」であることがわかります。そのため、猛暑日と酷暑日が表す最高気温は同じですが、体感的には猛暑日より酷暑日の方が暑いイメージです。
酷暑日は俗語なので天気予報では使われなくなりましたが、今でも「命の危険を感じるくらい暑い日」「尋常ではなく暑い日」を表す言葉として使われています。
【夏日、真夏日、猛暑日、酷暑日、熱帯夜】の使い方
夏日、真夏日、猛暑日、熱帯夜は気象庁が定める気温に関する用語なので、使う時には「実際には何度を意味するのか」を意識すると良いでしょう。
例えば、「夏日」と聞くと「夏=暑い夏=今日はとても暑い日」というイメージがありますが、実際には最高気温が25度以上30度未満です。30度を超える日が少なかった時代は「充分暑い」という認識ですが、今や「暑さの序の口」「湿度が低ければとても過ごしやすい温度」と感じる人が多いでしょう。
これらの言葉を使う際は、言葉の厳密な意味と時代の流れによる感覚の変化を踏まえながら使うのがポイントです。
また、酷暑日は猛暑日の俗語なので、最高気温を表したい時は「猛暑日」を使うのが正解です。「辛いほど暑い」といったように、極端な暑さを表現したい時などに「酷暑日」を使うと良いでしょう。 いくつか例文を挙げましょう。
- 今日は夏日だが、湿度が低くて快適だ
- 梅雨の夏日はじめじめしていて不快指数が高い
- 今日は真夏日になるから熱中症対策をしよう
- 猛暑日が続きクーラーが欠かせない
- 最高気温は猛暑日だったが午後になると気温が下がり熱帯夜にはならなかった
- 熱帯夜は寝苦しい
- ついに最高気温が40度を超えた。今日は酷暑日だ。
【夏日、真夏日、猛暑日、酷暑日、熱帯夜】のまとめ
夏日、真夏日、猛暑日、熱帯夜は気象庁が定める気温を表す言葉で、酷暑日は猛暑日の造語です。それぞれ最高気温、あるいは最低気温に明確な基準がありますが、気温の感じ方は人それぞれであることを踏まえながら使うと良いでしょう。
最後にもう一度、それぞれの言葉をまとめますので、マメ知識としてお役立てください。
- 【夏日】最高気温が25度以上(気象庁が定める気温を表す言葉)
- 【真夏日】最高気温が30度以上(気象庁が定める気温を表す言葉)
- 【猛暑日】最高気温が35度以上(気象庁が定める気温を表す言葉)
- 【酷暑日】最高気温が35度以上(猛暑日の俗語)
- 【熱帯夜】最低気温が25度以上(気象庁が定める気温を表す言葉)