飲食店に入ると、いろいろな種類があり名前だけでは想像がしにくいものもありますね。
そんな中でも昔からなじみ深いメニューであるにもかかわらず「ざるそば」と「もりそば」の違いを知らず、とりあえず頼んでしまっている人は多いのではないでしょうか。
この記事では、そばの知識の基本となる「ざるそば」と「もりそば」の違いを歴史的観点・栄養素やカロリー・価格から詳しく解説します。
2つの違いが分かればもうお店で迷うことなく注文できるでしょう。
このページの目次
そばの歴史
そもそも「もりそば」と「ざるそば」メニューはどのようにして生まれたのでしょうか。
起源は「そばがき」
そばの歴史は非常に古く、紀元前7000年頃までさかのぼります。
日本では縄文時代の遺跡からそば属の花粉が見つかっており、栽培はこの頃に始まったと考えられています。
鎌倉時代に中国から伝わった石うすでそばの実を挽き、そば粉ができるようになってからは水でそば粉をこねて団子状にした「そばがき」と呼ばれるものを鍋の中に入れて食していました。
現在の麺の原点「そば切り」の誕生
麺状になったそばが登場したのは、中世後期(戦国時代)に入ってからだと言われています。
この時代のそばは「そば切り」と呼ばれ、小麦粉などのつなぎを使用せずに作られていたためボソボソとして切れやすくその対策として麺は太くしっかりしたものでした。
現在一般的に「そば」というとき、この「そば切り」を指します。また、当時はそばつゆに浸けて食べるスタイルで、これが「もりそば」の起源だと言われています。
「もりそば」とは?
「もりそば」は「盛りそば」とも書き、熱湯で茹でた麺をすぐに冷水でしめ、お椀や皿などに盛り付けた料理のことをさします。そばだけが器の中に入っており、別の器に入ったつゆをつけて食べます。
江戸時代(元禄時代のころ)せっかちな江戸っ子は麺と汁を一緒にしたそばを好むようになり、「ぶっかけそば」が流行しました。 ぶっかけそばと区別するために漬け麺タイプのそばには「もりそば」という名前が付けられたのです。
なお、「もりそば」の名前の由来は「器に盛った」や「高く盛った」など諸説ありますがはっきりとは分かっていません。
「ざるそば」とは?
「ざるそば」とは、江戸時代に現在の東京都江東区にある「伊勢屋」というお店が「ざるそば」を初めて提供したのが始まりだと言われています。
もりそばだと、水でしめた麺をそのまま器に盛りつけるので水も一緒に入ってしまっていましたが、ざるに盛って提供する「ざるそば」を販売したところ、麺が水っぽくならずに最後まで美味しく食べられることが人気を呼び、ほかの店でも提供するようになりました。
「もりそば」と「ざるそば」の言葉の違いについて
「もりそば」と「ざるそば」の違いの基準は歴史の経過とともに変わってきています。
どのような移り変わりがあったのか見ていきましょう。
かつて「もりそば」と「ざるそば」の違いは、竹ざるに盛りつけるかどうかのみでした。
明治時代ざるそばをより高級なそばとして位置付けるために、そばつゆにみりんを加えてコクを出す、そばの中心のみ使って上品なスタイルに仕上げるなどの工夫が加えられたのです。
さらに見た目でもすぐに区別できるように、海苔をかけて提供するなどされましたが、これに関しては関連性はないと指摘する声も聞き逃せません。
こうして、「もりそば」と「ざるそば」という違いが生まれたと言われています。
現代では、つゆを分けているお店も少なくなり、その区別があいまいになっていますが「ざるそば」が「もりそば」より高値で販売される訳には、このような歴史的経緯があるのでしょう。
よって、「もりそば」と「ざるそば」の違いを海苔があるかないかだけとするならば、カロリーの違いはほとんど変わりありません。海苔の中には豊富な食物繊維やミネラルが含まれていますが、ざるそばにはわずか1gにも満たないほどしか入っていませんので栄養素の効果による期待はあまりできないでしょう。
つけ汁の中身で高カロリーになることも
そばは同じ主食である白米に比べてカロリーが低くダイエット向きですが、それはそばだけを食べたときの話。最近はつけ汁の中に天かすや脂身たっぷりのカモ肉・背油でとった出汁などが入っていることも珍しくありません。これらを飲み干せば当然カロリーが上がってしまいます。
そばだけを食べるのであれば炭水化物が主成分なので、たんぱく質や脂質をほかの食材で摂ることでバランスがとれますが、摂りすぎは体に悪影響を与えかねません。
さらに、つけ汁を飲むことは、塩分を摂りがちになるので控えるようにしましょう。
まとめ
現代において「もりそば」の「ざるそば」の違いはほとんどありません。
しかし値段には差が多少なりともあるので、少しでも節約したい人はもりそばを、少し贅沢な気分を味わいたい人はざるそばを選んでみてはいかがですか。
そばは環境の変化に強く痩せた土地でも育ちやすい作物です。
温暖化が進む中、将来は暑い気温に弱い米よりそばが主食として主流になるかもしれませんね。