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「教えてください」とは?
子どものころから使う言葉「教えてください」困ったときや分からないことがあったとき、何かを知りたいときに使う言葉です。
ここでは「教えてください」について考えていきます。「教えてください」を口語にしたらどうなるか、また上下関係によって言い方は変わるのでしょうか。
さらに「教えてください」のビジネスでの使い方や例文、「教えてください」の類語との違い、言い換えはどんな言葉があるかなどを紹介します。
まず「教える」を広辞苑で引いてみました。
最初に「①注意を与え導くこと。」と書いてありました。続いて「②知っていることを告げ、示す。」「③学問や芸などを身につけるように導く。」ともありました。
では「教え」はどうでしょう。「教えること。教育。」とあります。「教える事柄・教訓・教示」と続きます。「教え」を使った例として「教え子」が書かれていました。
確かに、「教える」「教えてください」という表現は、小さなころから慣れ親しみます。小学生が学校で何かわからないときには先生に「教えてください」と言いますね。小学校入学前の子どもでも、保育園や幼稚園などで先生から「こまったときは、おしえてください、と言うんだよ。」と教えてもらいます。
ですが、この「教えてください」という表現、どのような場面でも使えるのでしょうか。ビジネスのシーンや、目上の方に、また文書などで「教えてください。」と使うことはちょっと悩んでしまいます。「教えてください。」でも間違いではないものの、さらに相手に失礼のない表現はないのでしょうか。
次の項目では、「教えてください」のビジネスシーンでの使い方や例文を紹介します。
「教えてください」のビジネスでの使い方や例文を紹介
まず、「教えてください」は敬語です。動詞の「教える」と「くれる」の尊敬語である「ください」を組み合わせていますので、相手に失礼のない表現です。
一方で、「教えてください」という言葉を少しぶしつけな表現だと捉える人もいるように感じます。どうしても口語表現としての印象が強いからでしょうか。
確かに口頭で「教えていただけませんでしょうか」と言われても違和感はありません。しかし、相手が取引先や重役、はじめて会った人であれば「教えてください」とは言いにくいもの。さらに文面で「教えてください」と書かれていた場合は、ずいぶんとくだけた印象となってしまいます。
使い方は間違っていませんし、関係性の近い人とのやり取りでしたらかまいませんが、相手選ぶ表現だともいえます。
こんなときに一番使いやすい表現は「教えてください」です。何かを教えてほしいとき、「教えてください」のかわりに使え、相手にも失礼のない伝え方です。
さらに「ご教示くださいませ」「ご教示くださいませんか」という言い方も使われます。さらにへりくだって、「ご教示くださいますよう、お願い申し上げます。」と表現される場合もあります。
「教えてください」の類語との違いを解説
「教えてください」の類語にはどのようなものがあるでしょうか。いくつかあげてみました。
- 「お教えください」
「教えてください」の文頭に「お」をつけます。「〇〇の件について、お教えください。」といった具合です。「教えてください」よりは丁寧な印象を相手に与えることができます。直属の親しい上司、何度もやりとりをしてどんな人かわかっている場合なら「お教えてください」を使うこともあります。
自分よりかなり目上の方やはじめてのメールでやりとりをする場合には使わない方が無難でしょう。 - 「ご教示ください」
先に挙げた表現です。何かを尋ねたいときに使いやすい表現です。ビジネスメールやチャットなど、文章にして先方にお伝えするときにも失礼な印象を与えることはありません。文末を変えて「ご教示くださいませ」、文頭に「どうぞ」をつけて「どうぞ、ご教示ください。」など、幅広く使うことができます。
- 「ご指導ください」
言葉の通り、教えていただきたいとき、指導を仰ぎたいときのどちらにも使いやすい表現です。少し複雑な内容を詳しく知りたいとき、何かをレクチャーしてほしいとき、言葉通り指導してほしいときにも使えます。「ご教示ください」よりもやわらかな印象を受けますので、重要な文書や公的文書等にはあまり使われません。
口頭でのやりとりで使うこともできます。 - 「ご教授ください」
大学で教鞭をとる人を「教授」と言います。教授はより専門的な知識を有し、その知識を活かして相手に何かを教える、専門的な分野を研究して新たな研究発表をする役割を担っています。
その教授という言葉を使って「ご教授ください」といった表現があります。より詳しく何かを教えてほしい場合、「ご指導ください」「ご教示ください」よりさらに一歩深く教えてほしい場面で使いやすいです。
「ご教示ください」より使われる頻度は少ないため相手は「おっ」と思うかもしれませんが、よりあなたを敬っていますという気持ちを伝えられる言葉といえるでしょう。
「教えてください」の言い換え例文とニュアンスについて
次に「教えてください」の言い換えを使った例文をみてみましょう。今までに挙げた言い換え以外にもさまざまな言い換えをすることができます。
- 「本案件につきまして、期日までにご回答をいただきますようお願いします。」
→何かの回答を期日までに教えてほしい場合です。回答の連絡のみですので、この表現が使えます。
- 「本案件につきまして、期日までにご連絡いただきますようお願いします。」
→①と同じです。「回答」は返事がより明確な場合に使えますが、「ご連絡」は返事の選択肢がより多い場合に使えます。
- 「本案件につきまして、お教えください。」
案件について、もう少し詳しく知りたいな、といったニュアンスです。案件の内容で一部わからないことがあるので教えて、という気持ちが見えます。
- 「本案件につきまして、ご教示ください。」
→案件の内容について、より詳しく教えてほしい場合です。案件の内容は先方が提案したことが想像できます。「ご教示ください」の前に「より詳しく」や「申し訳ございませんが」という文言を加えたり、「ご教示いただけませんでしょうか」とたずねる書き方にしたりするなどの方法もあります。
- 「本案件につきまして、ご教授ください。」
→「ご教示」よりさらに専門的に、さらに詳しく教えてほしい場合に使われるでしょう。案件の内容がより複雑、またより専門的な内容であると想像できます。自分だけでは判断できない、相談をしたいという意味合いも感じられます。
まとめ
繰り返しになりますが、「教えてください」は決して失礼な表現ではありませんし、立派な敬語です。
ビジネスシーンの多様化にともない、使う相手や場面によっての言い換えや表現が増えたのではないでしょうか。
また、「教えてください」の言い換え文の前に、「申し訳ございませんが」「大変お忙しいところ」「ご多用とは存じますが」「お時間をいただき申し訳ございません」などの言葉を付け加えたり、文末を変化させたりすることで相手を気遣う気持ちを伝えられます。
文章の場合、書き手のイメージよりもきつく感じられる場合があるため、くどくならないよう気遣いつつも伝えたいことの文頭や文末表現を工夫することが大切です。
場面によって、相手によって使い分ける必要があるのが「教えてください」です。
なぜこんなに意味が増えたのでしょうか。筆者は「ビジネスの発展やメール文化の発達」が、多くの表現を生んだのではないかと考えます。昔のようにすべて相手と対面で会話をし、商談をしていた時代にはなかった表現の数々です。それが電話でのやりとりを経て、ファクスの利用がはじまります。
メールでのやりとりが日常的になってきた今、顔が見えない相手とのやりとりを考え、より失礼のない表現方法がうみだされてきたのではないでしょうか。
言葉は日々変化します。「教えてください」も相手の年齢や場面によって使いわけることが求められます。友だちと、上司と、年配の人と。家で、職場で、祖父母に。TPOに応じて言葉を使い分けて、会話や人とのやりとりを楽しんでいきましょう!