「習得」と「修得」という二つの言葉は、両者ともに「学問・技術を習い覚えて身につけること」という意味を持っています。
しかし、一般的には次のように使い分けがなされています。
- 【習得】技術・技芸を習い覚えて身につける場合。
- 【修得】学問・学業を習い覚えて身につける場合。
当サイトでは「習得」と「修得」が上記のように使い分けられる根拠を調査。調べた結果を以下にまとめました。
【習得と修得】意味の違いと使い分け方
【習得】技術・技芸を習い覚えて身につける場合
上にも述べたとおり「習得」と「修得」は、ほとんどの国語辞典ではほぼ同じ意味を持つ言葉として解説されています。
よって「習得」と「修得」を対比しただけでは違いが見えてきません。
そこで「習得」と「修得」、それぞれの熟語を分解し「習」と「修」すなわち「習う」と「修める」でそれぞれの言葉の意味を確かめると違いが明瞭になってきます。
広辞苑で解説されている「習う」と「修める」の意味は次のとおりです。
【習う】繰り返して修め行う。稽古する。教えられて自分の身につける。
【修める】学問や技芸などを身につける。
出典:岩波書店『広辞苑』
「習う」の意味にある繰り返して身につけるものといえば技術・技芸。稽古によって身につけるもの、教えられて身につけるものも技術・技芸です。学問ではありません。
よって「習う」には学問を身につけるという要素はないか、あったとしても希薄です。
それ故に「習う」は技術・技芸を身につけること。その「習う」が含まれている「習得」もまた技術・技芸を身につけること、ということになります。
【修得】学問・学業を習い覚えて身につける場合
国語辞典では最大級の語彙収録数を誇る『日本國語大辞典』では、「習得」と「修得」はそれぞれ次のように解説されています。以下、引用です。
【習得】学問、技芸などを習い身につけること。習い覚えること。
【修得】①学問、技術などを習い覚えて身につけること。②学業の課程を履修し終わること。
出典:小学館『日本國語大辞典』
『日本國語大辞典』では、「習得」の意味と「修得」の①の意味はまったく同じです。
しかし「修得」の②が、「習得」との違いを際立たせています。
「学問」という抽象度の高いことがらについては「習得」と「修得」の両方が使えますが、「学業の課程」という具体的なことがらは「修得」に限定されています。
よって技術・技芸を身につけるのが「習得」であるのに対して「修得」は学業・学問を身につける言葉として使い分けられていることが考えられます。
【習得と修得】意味の違い、まとめ
「習得」と「修得」の違いと使い分け方を区別するポイントは、身につける対象となることがらが「技術・技芸」なのか「学問・学業」なのか、この一点です。
- 【習得】技術・技芸を習い覚えて身につける場合。
- 【修得】学問・学業を習い覚えて身につける場合。