「床屋」と「美容室」の違いは?「美容院/理容院/理容室/理容店/理髪店」との違いも解説

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「床屋」と「美容室」は、どちらも「髪を切ったり整えたりするところ」ですが、それぞれ理容師法と美容師法の定めに基づいて設けられた施設で、その主な目的や業務範囲には違いがあります。また「床屋」と「美容室」のほかにも「美容院」「理容院」「理容室」「理容店」「理髪店」など様々な呼び方がありますが、それらを整理すると以下のようになります。

 法律上の違いその他の言葉との違い
床屋

・理容師法における「理髪所」のこと
・主目的は頭髪の刈込、顔剃り等の方法により、容姿を整えること
・まつ毛エクステンションは不可

・「理容店」「理髪店」が正式
・「床屋」は俗称
・「理容室」「理容院」は屋号

美容室

・美容師法における「美容所」のこと
・主目的はパーマ、結髪、化粧等の方法により容姿を美しくすること
・顔剃り、髭剃りは不可

・「美容院」が正式
・「美容室」は屋号

このページでは「床屋」と「美容室」の違いを中心に「美容院」「理容室」「理容院」「理髪店」の違いについて、詳しい意味と使い分けをわかりやすく解説しています。

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「床屋」と「美容室」の意味の違い

「床屋」と「美容室」の違いを二つの観点から考えていきたいと思います。一つは、辞書での取り扱い方と意味、もう一つは「理容師法」「美容師法」という法律の観点からです。

「床屋」と「美容室」の辞書での違い

まずは、「床屋」と「美容室」の辞書での意味から確認しましょう。

【床屋】
1.〔江戸時代,男の髪を結う髪結いが床店(トコミセ)で仕事をしていたことから〕髪結い床。
2.理髪店・理容店の俗称。

【美容院】
パーマ・結髪・化粧その他の美容術を施し,主に女性の容貌を美しく整えることを業とする施設。美粧院。ビューティー-パーラー。ビューティー-サロン。

出典:『大辞林』

「床屋」はもともと男性を対象としている店であったこと、また「理髪店」「理容店」が正式な名称であることがわかります。

「美容室」ですが、実は辞書には収録されていません。辞書に載っているのは「美容院」だけです。そのため、ここでは「美容院」の意味を載せておきましたが、その意味を見ると、主に女性を対象としていて、髪に関することだけではなく化粧等も含んだ女性を美しくするための施設だということがわかります。

「床屋」は男性向けの理容業施設、「美容室」は女性向けの美容業施設であることがわりましたが、では「理容」と「美容」の違いはなんなのでしょうか。

これは「理容法」と「美容法」という法律に定められていますので、次は「床屋」と「美容室」の違いを法律上の観点からみてみましょう。

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「床屋」と「美容室」の法律上の違い

理容業である「床屋」と美容業である「美容室」は、法律上の主な目的は違うものの技術面ではほとんど違いがありません。これは、「理容師法」と「美容師法」という法律に関わる変遷を知るとわかります。

以下は、厚生労働省の「理容師法概要」と「美容師法概要」です。

理容とは「頭髪の刈込、顔そり等の方法により容姿を整えること」とされており、刈り込み等の行為に伴う理容行為の一環として男子に対し仕上げを目的とするコールドパーマネントウェーブを行うことは理容の範囲に含まれる。染毛も理容・美容行為に含まれる。

出典:「理容師法概要」厚生労働省健康局生活衛生課

美容とは「パーマネントウェーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすること」とされている。美容師がコールドパーマネントウェーブ等の行為に伴う美容行為の一環としてカッティングを行うことは美容の範囲に含まれる。

また、女性に対するカッティングはコールドパーマネントウェーブ等の行為との関連を問わず、美容行為の範囲に含まれる。染毛も理容・美容行為に含まれる。

出典:「美容師法概要」厚生労働省健康局生活衛生課

「理容」「美容」ともに髪を切ったりパーマをかけたり、また髪を染めたりすることが業務の範囲であることがわかります。でも、同じようなことを言っているのに少し書き方が違いますよね。

パーマについての記述を見ると、「美容法」のほうでは基本業務とされていますが、「理容法」のほうでは刈込の一環としてのパーマなら範囲内と書かれています。また、カットの記述を見ると「理容法」では基本業務、「美容法」ではパーマなどの一環としてのカットなら範囲内となっています。これは、「理容」と「美容」に求められるものが時代とともに変わっていったことが関わっています。

江戸時代の頃から「髪結い」という髪を整える職業がありましたが、その頃は、男性は「切る・刈る・剃る」で髪を整え、女性は「結う」ことで整えていました。

そのため昭和23年に「理容師法」や「美容師法」が施行される時にも、基本的には男性用の理容業では「切る・刈る・剃る」を、女性用の美容業では結ったりパーマをかけたりという方法が基本業務とされていました。

しかし、徐々にヘアスタイルが多様化し、男性が長髪にしてパーマをかけたり女性がショートカットにして刈り込んだりすることもでてきました。それに合わせて「理容師法」「美容師法」も何度か改正され、今のような記述になったのです。

そのため、現在では「理容師法」と「美容師法」における主な目的は違うものの、実際の技術面での違いはほとんどなく、「理容師」「美容師」のどちらも「切る・刈る・染める・パーマをかける」ことができます。唯一、理容師ができないのはまつ毛エクステンション、美容師ができないのは髭剃りと顔剃り(眉カットは可)です。

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床屋」「美容室」とその他の言葉との違い

では最後に、「床屋」「美容室」「美容院」「理容院」「理容室」「理容店」「理髪店」と様々にある言葉の違いを整理しておきたいと思います。

理容業においては、「理容店」「理髪店」という言い方が正式です。「床屋」は辞書には載っていますが俗称です。「理容」は「容姿」を整える、「理髪」は「髪」を整えることに焦点が当たっていますが、その業務に大きな違いはありません。

「理容院」「理容室」は辞書には掲載されておらず、屋号として使われているものです。「病院」「病室」の違いからもわかるように「院」は囲いのある大きな建物を、「室」は部屋を表すことから大きさの違いがある場合があるかもしれません。

美容業においては、辞書に収録されているのは「美容院」だけであることから、こちらが正式な名称です。「理容院」「理容室」と同様、「美容院」と「美容室」では大きさに違いがあるかもしれませんが業務内容が違うわけではありません。

「美容室」という言い方はよく聞きますが、「美容院」は「病院」と聞き間違えやすいことから「美容室」が好んで使われるようになったのではないかという説もあります。

なお、理容師法では「理容所」、美容師法では「美容所」という名称が使われています。

「床屋」と「美容室」の違い、まとめ

「床屋」と「美容室」の意味の違いや「美容院」「理容院」「理容室」「理容店」「理髪店」との違いについて、このページの解説でおわかりいただけましたでしょうか。最後にもう一度、正しい使い分けのポイントを以下に記します。頭の中の整理にお役立てください。

 法律上の違いその他の言葉との違い
床屋

・理容師法における「理髪所」のこと
・主目的は頭髪の刈込、顔剃り等の方法により、容姿を整えること
・まつ毛エクステンションは不可

・「理容店」「理髪店」が正式
・「床屋」は俗称
・「理容室」「理容院」は屋号

美容室

・美容師法における「美容所」のこと
・主目的はパーマ、結髪、化粧等の方法により容姿を美しくすること
・顔剃り、髭剃りは不可

・「美容院」が正式
・「美容室」は屋号

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