「もりそば」「ざるそば」「せいろ」の違い

「もりそば」「ざるそば」「せいろ」の違いは次の通りです。

  • 【もりそば】せいろや皿に盛られていて、海苔が載っていない。
  • 【ざるそば】ざるに盛られていて、海苔が載っている。
  • 【せいろ】せいろに盛られていて、海苔が載っていない。もりそばに同じ。

このページでは、「もりそば」「ざるそば」「せいろ」、それぞれの違いについてさらに詳しく解説しています。

Advertisement(広告)

「もりそば」「ざるそば」「せいろ」の違い

「もりそば」「ざるそば」「せいろ」は現代では明確な違いはなく、海苔の有無や、盛りつけ方法、あるいは提供するお店の考え次第で区別されています。

「もりそば」「ざるそば」「せいろ」の一般的な違いは以下の通りです。

  • 「もりそば」せいろや皿に盛られていて、海苔が載っていない。
  • 「ざるそば」ざるに盛られていて、海苔が載っている。
  • 「せいろ」せいろに盛られていて、海苔が載っていない。もりそばに同じ。

はっきりとした定義がないため、区別しないケースもあり、NHKでは特別な理由がない限り呼称を「ざるそば」に統一していますし、関西では「もりそば」「ざるそば」を区別しない人の割合が多いそうです。

「もりそば」と「せいろ」に関しても、現代では内容が同じもののため、「もりそば」「せいろ」を同時にメニューに並べているお店はほぼありません。

【盛り蕎麦】ゆでて蒸籠に盛ったそば。そばつゆをつけて食べる。もり。

三省堂「大辞林」

【ざる蕎麦】ざるに盛った盛りそばに刻み焼き海苔を振りかけたもの。もとは、一番だしを用いみりんなどを加えた、盛りそばよりも濃いつゆで食べた。

三省堂「大辞林」

【蒸籠】釜の上に載せて、もち米やまんじゅうなどを蒸す用具。木製の円形または方形の枠があり、底にすを張り、釜から上る湯気で蒸す。せいろ。

三省堂「大辞林」
Advertisement(広告)
Advertisement(広告)

「もりそば」「ざるそば」「せいろ」の発祥や歴史

現代では違いがあいまいな「もりそば」「ざるそば」「せいろ」ですが、どれも江戸時代に誕生し、今よりも明確に区別されていました。

以下では、「もりそば」「ざるそば」「せいろ」それぞれの発祥や歴史をまとめています。

「もりそば」の発祥や歴史

江戸時代中期、当時のそばは「そばきり」と呼ばれ、そばとつゆを分けて出すことが主流でした。

しかし次第に、そばを盛ったお椀に最初から直接つゆを注ぐ「ぶっかけ」という食べ方が流行していきます。

人気が出たのは、麺を汁につける手間を省けて手軽といった理由からです。

その人気により、お店は「そばきり」を従来通り麺・つゆに分けて出すか、または一緒に浸けて出すか、注文時に区別する必要が出てきました。

そこで、従来の麺とつゆに分けた食べ方につけられた名称が「もりそば」です。

「もりそば」の由来は文字通り「盛りつけたそば」から来ています。

このように、「もりそば」は「ぶっかけそば」と区別するための名称として生まれました。

Advertisement(広告)

「ざるそば」の発祥や歴史

江戸時代中期、「もりそば」に続き「ざるそば」が誕生します。

先に「ぶっかけそば」と、それを区別するために名付けられた「もりそば」が広まりましたが、さらにその「もりそば」と差別化を図るという趣旨で生まれたのが「ざるそば」です。

「ざるそば」を最初に提供したのは、江戸時代の深川にあった伊勢屋というお店です。

当時の「ざるそば」は、麺がそばの実の中心部分のみを使って作られていて、竹ざるの器に盛って提供されました。

竹ざるに載った高級なそばとして評判になった「ざるそば」は、他のお店でも提供されるようになります。

明治以降は、当時高級品であったみりんがつゆに加えられました。

海苔や薬味を載せるようになったのもこの頃です。

現代では海苔があれば「ざるそば」、海苔がなければ「もりそば」という違いだけが残り、つゆの差別化をしているお店もほとんどありませんが、「ざるそば」はこのように、かつては高級なそばとして広まり、「もりそば」とは異なる点が多く存在していました。

Advertisement(広告)

「せいろ」の発祥や歴史

「せいろ」の起源は2つのタイミングに分けられます。

1つめは、江戸時代初期、「もりそば」が誕生した頃に、蒸し器であるせいろで蒸したそばが、そのまま出来たての温かい状態でせいろに盛って提供されたことです。

これが「せいろそば」の始まりです。

2つめは、江戸時代末期、そば屋が幕府にそばの値上げを求めたところ、値上げは叶いませんでしたが、すのこで底上げをしたせいろに盛って量を減らすという、実質の値上げが許可されたことです。

これが「盛りせいろ」と呼ばれ、現在の「せいろそば」の起源はこれに当たります。

現代では蒸しそばや値段の対策という意味合いはなくなり、単にせいろに盛られていて、海苔が載っていなければ「せいろ」と区別されますが、その違いも明確なものではなく、内容が「もりそば」と同一のため、提供するお店によっては、せいろに盛られた「もりそば」も存在します。

Advertisement(広告)

「もりそば」「ざるそば」「せいろ」の違い、まとめ

「もりそば」「ざるそば」「せいろ」の言葉の違い、おわかりいただけましたでしょうか。

このページの最後にもう一度、それぞれの違いのポイントを以下にまとめますので、おさらいにご活用ください。

  • 【もりそば】せいろや皿に盛られていて、海苔が載っていない。
  • 【ざるそば】ざるに盛られていて、海苔が載っている。
  • 【せいろ】せいろに盛られていて、海苔が載っていない。もりそばに同じ。