「早い」「速い」の違いと使い分けの例文

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「早い」「速い」は、どちらも「はやい」と読み、「動作・進行などがすみやかである」ことを表すときに使われますが、以下のような違いがあります。

早い速い
物事の時点が基準より前である動作や作用にかかる時間が少なく、スピードがはやい
物事がまだ適当な時期に至っていない
物事を手間ひまかけずに簡単にできる

このページでは「早い」「速い」の違いについて、詳しい意味と具体的な使い方とともにわかりやすく解説しています。

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「早い」「速い」の意味と例文

まず、「早い」「速い」の辞書での意味を確認しておきましょう。

【早い・速い】
1.すみやかである。速力が大である。
2.ある動作を完了するのに要する時間が短い。
3.夜があけて間もない。時間的に初めの方である。
4.年月が短い。
5.時間的に前である。先である。
6.まだその時期ではない
7.短い時間ですむ。手っとりばやい。
◇1・2は、ふつう「速」を使い、また「疾」「捷」も使う。他は「早」を使う。

出典:『広辞苑』

多くの辞書で「早い」「速い」は一つの項目にまとめて説明されています。使い分けの補足説明が少しだけありますが、これだけでは「早い」「速い」を使い分けられそうにはありません。より詳しい意味や例文を見ながら、それぞれの違いと使い分け方を確認していきましょう。

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「早い」「速い」の意味

言葉の意味を知るときには、漢字の意味を知るとよりわかりやすくなりますので一つ一つ見ていきたいと思います。

まず、「早」です。上にある「日」は太陽を、下にある「十」は人の頭を表しています。人の頭の上に太陽が昇り始める朝の様子を形にしたものですが、そこから「時刻がはやい」や「物事に先立って」という意味で使われるようになりました。

次に「速」ですが、左側の「辶」は足の動きを表す記号で「行く」という意味を持っています。右側の「束」は、丸い枠で薪をまとめて束ねる様子です。この二つを合わせた「速」は、行く時間を束ねるように縮めるという意味を持っており、そこから「間が縮まっている」「テンポやスピードがはやい」「急いで」のような意味で使われるようになりました。 

「早」「速」が持つこのような意味から、「早い」は主に時点や時期が前であることを表すときに、「速い」は物理的なスピードに言及するときに用いられます。

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「早い」「速い」の例文

では、「早い」「速い」の例文を見ながら使い分けを確認していきましょう。

「速い」はスピードを表す場合に用いると覚えておけばいいのですが、「早い」は時点や時期を表すと言ってもいくつかの意味がありやや複雑です。まず、わかりやすい例から始めます。

・一日も早く退院したい。
・夏は夜明けが早い。

「退院する」「夜明け」の時点が基準より前であることを表しています。「時点」のことなので「早い」を使います。

・出かけるにはまだ早い。
・喜ぶのはまだ早い。

こちらは「出かける」「喜ぶ」という時期にまだ至っていないことを表しています。これも「時期」のことなので、やはり「早い」です。

・山田君は足が速い。
・時が経つのは速い。

こちらはどれもスピードのことを言っています。なので「速い」です。

では、次に「早い」「速い」のどちらでも使えるけれど、意味が違う例文を見てみましょう。

早い電車に乗った。:始発電車のような発車の時刻が前の電車に乗った。
速い電車に乗った。:特急電車のようなスピードを出す電車に乗った。

早く走れ!:スタートせずに止まっているのではなく、走りだせ!
速く走れ!:スピードを出して、タイムが縮むように走れ!

このように「早い」「速い」では、どちらを使うかによって表す意味が変わってしまいます。時点が早いのか、スピードが速いのかを意識して使い分ける必要があります。

次は、もう少しややこしい例です。以下の例文では、「速い」を使ってしまいそうになりますが「早い」が適切です。

・直接会って話すほうが早い。
・バスを待つより歩くほうが早い。
・彼のことを知っているのなら話が早い。

スピードも速いのではないかとも思ってしまいますが、これらの例文で言いたいことは手間ひまかけずに簡単にできるということです。その場合には、「早い」を使います。 また、以下のようなものにも「早い」が使われます。

・素早い対応だった。
・手早く片付ける。
・手っ取り早く言えば、無理と言うことだ。

・早い所、仕事を終わらせてしまおう。
・早い者勝ちの勝負だ。
・早いばかりが能ではない。

これらは意味の違いというよりも慣用的に「早い」が使われます。「素」や「手」のような接頭辞とともに一語になっているような場合は、「早い」と思っておくといいと思います。また、「手っ取り早い」「早い者勝ち」のようなまとまりになっている表現も「早い」が使われることが多いです。

「早い」「速い」の違い、まとめ

「早い」「速い」の違いと正しい使い分け方、このページの解説でおわかりいただけましたでしょうか。最後にもう一度、正しい使い分けのポイントを以下に記します。頭の中の整理にお役立てください。

早い速い
物事の時点が基準より前である動作や作用にかかる時間が少なく、スピードがはやい
物事がまだ適当な時期に至っていない
物事を手間ひまかけずに簡単にできる
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