「寝る」「眠る」の違いと使い分けの例文

「寝る」「眠る」は、どちらも「目を閉じて一時的に意識的な活動がない状態」のことで、「睡眠」の意味で用いられます。しかし、実は本当に意識がなくなるのは「眠る」で、「寝る」は意識がある場合にも使うことができます。「寝る」は体の姿勢がどうなっているかが重要であり、「眠る」は意識がどうなっているかが重要なのです。その違いを簡潔に表すと以下のようになります。

  • 寝る:目を閉じて体を横たえること
  • 眠る:目を閉じて無意識の状態になること

このページでは「寝る」「眠る」の違いについて、詳しい意味と具体的な使い方とともにわかりやすく解説しています。

このページの目次

「寝る」「眠る」の意味と例文

まず、「寝る」「眠る」の意味を辞書で確認しておきましょう。

【寝る】
1.眠りにつく。寝床に入る。睡眠をとる。眠る。
2.病気で床につく。寝込む。
3.からだを横たえる。また、そのような状態で休む。
4.本来立っているもの、縦のものが横になる。
5.共寝をする。同衾(どうきん)する。
6.商品が売れずに残っている。また、資金が動かない状態にある。
7.味噌や酒などが仕込まれた状態である。また、麹が熟成する。

【眠る】
1.心身の動きが一時的に低下し、目を閉じて無意識の状態になる。
2.一時的に活動をやめた状態になる。利用されない状態のままである。
3.死ぬ。永眠する。
4.まぶたを閉じる。目をつぶる。

出典:『大辞泉』

「寝る」「眠る」の両方が使える場合

辞書の意味を見ると、「寝る」の一つ目の意味は「眠る」となっていますね。「寝る」と「眠る」に共通する部分で、その意味は「眠る」の一つ目にある「心身の動きが一時的に低下し、目を閉じて無意識の状態になる。」です。いわゆる「睡眠」の状態のことです。

では、この意味の例文を見てみましょう。

〇子どもたちはぐっすり寝ている。
〇子どもたちはぐっすり眠っている。

〇気が付いたら12時間も寝ていた。
〇気が付いたら12時間も眠っていた。

どちらも一時的に意識がなく睡眠をしている状態を表しています。このような場合には「寝る」「眠る」のどちらでも使うことができます。

「寝る」しか使えない場合

では、次に「寝る」しか使えない場合の例文を見てみましょう。

〇寝たままテレビを見る。
✕眠ったままテレビを見る。

〇身体の調子が悪くて2週間寝ていました。
✕身体の調子が悪くて2週間眠っていました。

「テレビを見る」ことは意識がなくなった状態ではできません。そのため「眠る」を使うことはできず、体を横にしている様子を表す「寝る」を使います。

また、「2週間眠っていた」は昏睡状態であればこのような言い方もできますが、「体の調子が悪くて」に続く文としては違和感があります。起き上がることができず横になっていた様子を表す「寝る」を使うのが適切です。例えば、「大きな事故にあい2週間眠っていました。」とすれば、「寝る」よりもむしろ「眠る」を使う方が適切になります。

〇髪の毛が寝ている。
✕髪の毛が眠っている。

〇台風で稲が寝てしまった。
✕台風で稲が眠ってしまった。

「寝る」は体を横にするだけでなく、何かが横になっている状態を表すときにも使うことができます。しかし、「眠る」は意識の状態がどうかということが意味のポイントである言葉なので、「髪の毛」や「稲」のような意識を持たない物とともに使うことはできません。

「眠る」しか使えない場合

では、次に「眠る」しか使えない場合の例を見てみましょう。

✕父が寝る墓
〇父が眠る墓

「眠る」には一時的に意識がない状態だけではなく、永遠に意識がなくなった状態=死ぬという意味もあります。そのため、亡くなったことを表す場合には「眠る」を使います。「寝る」は意識の状態よりも体の姿勢がどうであるかに重きが置かれた言葉なので、それだけで「死」を表すことはできず、「その死体はまるで寝ているかのようだった。」のようにする必要があります。

ちなみに、『眠り姫』という童話のタイトルを聞いたことがあるのではないでしょうか。英語のタイトルは『Sleeping Beauty』ですが、これは「寝る」ではなく「眠る」と訳されています。仮死状態になっていることを一語ですっきりと表すために「眠る」という言葉が選ばれているのです。

✕草木も寝る丑三つ時
〇草木も眠る丑三つ時

これは、気味が悪いほど静かな真夜中のことを表すときに使われることわざです。ここには「眠る」が使われています。「丑三つ時」とは現在の午前二時から二時半ごろのことですが、そんな時間帯には、人だけではなく草や木までがまるで一切の意識的な活動を止めているように静まり返っています。そのような様子を表すために、姿勢を横にしているという意味の「寝る」ではなく、意識がなくなった状態を表す「眠る」という言葉が使われています。

「寝る」「眠る」の違い、まとめ

「寝る」「眠る」の違いと正しい使い分け方、このページの解説でおわかりいただけましたでしょうか。

最後にもう一度、正しい使い分けのポイントを以下に記します。頭の中の整理にお役立てください。

  • 寝る:目を閉じて体を横たえること
  • 眠る:目を閉じて無意識の状態になること