「修行」「修業」の違いと使い分けの例文

「修行」「修業」は、どちらも「学問、芸術、武術などを身に着けるように努力し、学ぶこと」という意味ですが、①何を重視するのか、②終わりはあるのかという点で違いがあります。その違いを簡潔にまとめると以下のようになります。

 ①何を重視するのか②終わりはあるのか
修行仏道や武道に励み、精神面を鍛えることを重視終わりのない研鑽を続ける
修業学ぶことが大変な学問や技芸の技術面を鍛えることを重視一定期間・レベルの技術を身に着けて終える

このページでは「修行」「修業」の違いについて、詳しい意味と具体的な使い方とともにわかりやすく解説しています。

「修行」「修業」の意味と例文

まず、「修行」「修業」の辞書での意味を確認しておきましょう。

【修行】
1.学問や技芸などに励み,それをみがくこと。
2.〔仏〕悟りを開くため,戒律を守り仏道に励むこと。
3.生理的欲求を禁じ精神や肉体を訓練して,精神の浄化や神的存在との合一を得ようとすること。

【修業】
学問や技芸などを習いおさめること。

出典:『ハイブリッド新辞林』

「修行」には三種類の意味がありますが、一つ目の意味が「修業」の意味と重なっています。これが「修行」と「修業」の使い分けで悩む部分ですが、基本的な違いを理解すればここもわかるようになります。以下で詳しい意味や例文を見ながら、確認していきましょう。

「修」の意味

言葉の意味を知るときには、漢字の意味を知るとよりわかりやすくなりますので一つ一つ見ていきたいと思います。

まず、「修行」「修業」のどちらにも使われている「修」からです。

「修」は、修は「彡(飾り)+攸(細長く水を注いでいる様子)」からできている漢字で、でこぼこや切れ目がなくすらりと細長く姿が整ったことを表しています。ここから「修」は「性質や品行のかどだった点をとり去り、すらりとした人柄にする」「欠けた点を補い繕ってすらりとした形にまとめる」のような意味で用いられるようになりました。

「修める(おさめる)」の一語では、「(でこぼこした)行いや心を正しくする。(欠けた部分を補って)身につける」という意味で用いられます。

「修行」「修業」は、それぞれ「行を修める」「業を修める」ということになりますが、「行」「業」とはなんでしょうか。

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「修行」の意味と例文

「行」は、十字路を描いたもので、道そのものや道を動くという行為を表しています。これは、仏教の世界において仏の教えを理解し、悟りを求めて実践するという行為も示しています。

このことから「修行」は、もともとは仏教用語として「悟りを開くために、戒律を守って仏道に励むこと。また、そのために托鉢や巡礼をして歩くこと」という意味で用いられていました。そのため以下のような例文で用いられます。

・仏道を修行する。
・出家して修行僧になる。

しかし、それが徐々に幅広く用いられるようになり、精神を鍛えるために学問や技芸などに励む場合にも使われるようになりました。

・弓道を修行する。
・経営者としての資質を高めようと海外修行に赴いた。

精神を鍛えることに重きが置かれている弓道や柔道のような武道では、「修行」が使われます。また、「資質を高める」のような終わりのない自己研鑽の場合にも「修行」を使います。

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「修業」の意味と例文

では、次は「修業」です。

「業」は、のこぎり状のぎざぎざの装飾を施した楽器を掛けるための台を描いたものです。でこぼこがあってつかえてしまい、すんなりとはいかない大変な仕事という意味を持っています。

このことから「修業」は、大変な仕事や技術、学問を習い、それを身に着けるという意味で使われます。

「修行」は精神面の鍛錬に重きを置く言葉であるのに対し、「修業」は技術面の習得に重きを置いた言葉です。

・住み込みで板前の修業をする。
・法科大学院の修業年限は一律であるべきだ。

「板前」になるためには技術の習得が欠かせませんし、「法科大学院」でも知識を身に着ける必要があります。そのため「修業」を用います。

また、ゴールがあることも「修業」の特徴です。

・高校の課程を修業する。
・法修業中のまだ見習いの身分だ。

「修業」には規定される課程や年限を学んで終わらせるという意味もあるので「修業証書」と言うことができます。しかし、「修行証書」とは言えません。

また、一定期間の技術を身に着けると見習いが終わって一人前になるような分野では「修業」を使うのが適切です。

なお、「修業」には「しゅぎょう・しゅうぎょう」の二通りの読み方があり、どちらを使っても間違いではありません。しかし、「修行」の読み方は「しゅぎょう」のみです。

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「修行」「修業」の違い、まとめ

「修行」「修業」の違いと正しい使い分け方、このページの解説でおわかりいただけましたでしょうか。最後にもう一度、正しい使い分けのポイントを以下に記します。頭の中の整理にお役立てください。

 ①何を重視するのか②終わりはあるのか
修行仏道や武道に励み、精神面を鍛えることを重視終わりのない研鑽を続ける
修業学ぶことが大変な学問や技芸の技術面を鍛えることを重視一定期間・レベルの技術を身に着けて終える