「意思」「意志」「意向」の違いと使い分けの例文

「意思」「意志」「意向」は、どれも「あることに対する考え、気持ち」ですが、以下のような違いがあります。

  • 意思:頭や心の中に思い浮かべる考えや気持ち
  • 意志:何かを目指して積極的に行おうとする考えや気持ち
  • 意向:考えや気持ちが向かう方向

このページでは「意志」「意思」「意向」の違いについて、詳しい意味と具体的な使い方とともにわかりやすく解説しています。

「意思」「意志」「意向」の意味と例文

「意思」「意志」「意向」の意味

「意思」「意志」「意向」を辞書で調べると、次のように説明されています。

【意思】
心に思うところ。気持ち。考え。特に、ある意図をもって物事を行うとき、その行動のもとになる考えや意見。

【意志】
志に従って物事を成し遂げようとする、積極的な心の働き。また一般に、(ある物事を行いたいという)考え。

【意向】
物事にどう対処するかについての考えや意思。

出典:明鏡国語辞典

「意思」「意志」「意向」には、共通して「意」という漢字が使われています。まず、この「意」の意味を確認しておきましょう。

漢和辞典で「意」を調べてみると、次のように説明されています。

音とは、口の中に物を含むさま。意は「音(含む)+心」で、心中に考えめぐらし、おもいを胸中に含んで外に出さないことを示す。

出典:学研漢和大辞典

つまり、「意」とは「心の中にある考えや気持ち」のことです。この「心の中にある考えや気持ち」がどのようなものなのかが、「意思」「意志」「意向」の二番目の漢字「思」「志」「向」で示されており、それぞれの意味の違いを生み出しています。

まず、「意思」の「思」は、「田≒頭」と「心≒心臓」を合わせた字で、頭脳と心臓で行われる働きのことを意味します。

「意志」の「志」は、「士≒進んで行く足の形」と「心」を合わせた字で、心が目標を目ざして進んで行くことを意味します。

「意向」の「向」は、「宀≒屋根」と「口≒穴」を合わせた字で、家の屋根に開けた穴(通気孔)のことを示しています。そこから空気が出ていく様子から、何かがある方向に進んでいくことを意味します。

このような「思」「志」「向」と「意」の意味を合わせて考えてみると、「意思」「意志」「意向」のそれぞれの意味が見えてきます。

  • 意思:頭や心の中に思い浮かべる考えや気持ち
  • 意志:何かを目指して積極的に行おうとする考えや気持ち
  • 意向:考えや気持ちが向かう方向

この意味を踏まえながら、具体的な例文で使い方を確認していきましょう。

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「意思」「意志」「意向」の使い方と例文

では、まず以下の例でそれぞれの意味の違いを比べてみましょう。

・意思を尋ねる。:考えを聞く。
・意志を尋ねる。:したいかどうかを聞く。
・意向を尋ねる。:考えが向かう方向≒どうするつもりかを聞く。

この場合はどの言い方も可能ですが、上述のように意味は少しずつ違います。

では、次の例文を見てみましょう。

・自分の意思で参加する。:自分で考えて参加する。
・自分の意志で参加する。:自分で参加したいと考えれば参加する。
・自分の意向で参加する。:✕

「意思」と「意志」は気持ちの強さに違いはありますが、どちらも可能な言い方です。

「意向」は「考えが向かう方向」を示す言葉なので、「参加する」というすでに方向性が決まっている表現とは使うことができません。「参加の意向がある。」であれば、「参加するという方向の考えを持っている。」という意味となり、可能な表現になります。

次に、「意思」しか使えない例文を見てみましょう。

・意思の疎通ができない。:お互いの気持ちを理解し合えない。
・意志の疎通ができない。:✕
・意向の疎通ができない。:✕

「意思」の場合、頭や心に浮んだことを理解し合うという意味となり、可能な言い方です。

「意志」は、何かをしたいという明確な考えを示す言葉なので、「疎通ができない」とともに使うと、明確であるにも関わらず通じ合えないという矛盾が生じてしまいます。例えば「こちらの意志が通じた。」であれば、こちらが明確に持っている強い気持ちを相手にも理解してもらえたという意味となり自然な表現になります。

また、「意向」の場合、「意向の疎通≒お互いの方向性を通じ合わせる」という意味になり不自然な表現です。「相手の意向がわからない。」であれば「相手の考え方の方向性が見えない。」という自然な表現です。

次は、「意志」しか使えない例文です。

・意思の強い人:✕
・意志の強い人:何かを目指したいという考えを強く持っている人
・意向の強い人:✕

「意思の強い人。」は可能な言い方のように思えるかもしれませんが、これは✕です。なぜなら「意思」は「頭や心に浮んだ」という程度のぼんやりとした考えや気持ちで、強さはないからです。

「意向」は「考えが向かう方向」を示す言葉ですから、強い/弱いといった程度を表す言葉とは使うことができません。

では、最後に「意向」しか使えない例文を見ておきましょう。

・意思を打診する。:✕
・意志を打診する。:✕
・意向を打診する。:どういう方向性の考えなのかを聞いてみる。

「打診」は、「相手に働きかけて反応をうかがうこと。」ですが、「意思」では考えがあいまいすぎて反応を伺うことはできず、「意志」では考えが明確すぎて反応をうかがう必要もありません。そのため、どちらも✕となります。

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「意思」「意志」「意向」の違い、まとめ

「意思」「意志」「意向」の違いと正しい使い分け方、このページの解説でおわかりいただけましたでしょうか。

最後にもう一度、正しい使い分けのポイントを以下に記します。頭の中の整理にお役立てください。

  • 意思:頭や心の中に思い浮かべる考えや気持ち
  • 意志:何かを目指して積極的に行おうとする考えや気持ち
  • 意向:考えや気持ちが向かう方向