「幼稚園」「保育園」「こども園」は、全て未就学児が集団生活を送る場ですが、管轄や役割に以下のような違いがあります。
- 【幼稚園】文部科学省管轄・幼児教育を行う
- 【保育園】厚生労働省管轄・保育が必要な乳幼児を保育する
- 【こども園】内閣府(文部科学省・厚生労働省連携)管轄・幼稚園と保育園の両方の良さを併せ持つ
このページでは、「幼稚園」「保育園」「こども園」の違いを徹底解説します。
「幼稚園」「保育園」「こども園」の違い
「幼稚園」「保育園」の違い
まずは、「幼稚園」「保育園」の違いについて解説します。以下の表をご覧ください。
幼稚園 | 保育園 | |
管轄 | 文部科学省 | 厚生労働省 |
施設の性格 | 学校 | 児童福祉施設 |
教育・保育内容 | 幼稚園教育要領 | 保育所保育指針 |
目的 | 義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとして、幼児を保育し、幼児の健やかな成長のためにt系統な環境を与えて、その心身の発達を助長すること(学校教育法第22条) | 日々保護者の委託を受けて、保育に欠ける乳幼児または幼児を保育すること(児童福祉法第39条) |
対象年齢 | 3~6歳(プレ、4年保育は2歳から) | 保育に欠ける0~6歳 |
申込基準 | 幼稚園による | 家庭外で保育の必要性がある |
申込先 | 幼稚園 | 自治体 |
選考方法 | 幼稚園により異なる | 自治体で保育の必要性を考慮し決定 |
費用 | 公立は自治体、私立は幼稚園が設定 | 自治体が設定。所得状況により負担金額が変わる |
保育時間 | 幼稚園により異なるが標準4時間 | 原則8時間 |
開設日数 | 39週以上 | 約300日 |
預かり制度 | 幼稚園による | 保育園による |
給食の有無 | 任意 | 義務 |
「幼稚園」「保育園」の決定的な違いは、「家庭外での保育の必要性の有無」です。保育園に入りたくても、親が健康且つ専業主婦(主夫)だったり、時短勤務だったりした場合、家庭で充分保育ができると自治体が判断すれば、入園権利がありません。「入りたいから入れるわけではない」というのが、「幼稚園」と「保育園」の決定的な違いになります。
しかし、保育の必要性が認められていても、保育園の定員オーバーになれば、優先順位の高い人から入園が決まります。数年前に「保育園落ちた日本死ね」のツイートがバズりましたが、「預けて働きたいのに、順番待ちで入園できない」という人も存在するのです。このような子供は「待機児童」と言われます。平成31年4月時点での待機児童を含む保育園の状況は以下の通りです。
○保育所等利用定員は289万人(前年比8万8千人の増加)
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000176137_00009.html
○保育所等を利用する児童の数は268万人(前年比6万5千人の増加)
○待機児童数は16,772人で前年比3,123人の減少
出典:厚生労働省
一方、「幼稚園」の保育環境による入園資格はありません。しかし、子供の数に対して幼稚園が少ない激戦区では、定員オーバーによる幼稚園難民が存在します。地域差や人気差が激しいのも幼稚園の特徴です。
慢性的に定員割れする幼稚園もあれば、激戦で前日の夜から保護者が並んで願書を獲得しようとする幼稚園もあります。どちらにしても、入園を希望する場合は、早い内からの情報収集が必要です。
「こども園」とは?「幼稚園」「保育園」と何が違う?
最初に解説した通り、「こども園」とは、「幼稚園」と「保育園」の両方の目的を併せ持っているのが特徴です。
認定こども園制度は2006年に施行された新しい制度です。現行の幼稚園、保育園がこども園の条件を満たし、自治体から認定されて「こども園」となる形が多数派になります。
例えば、幼稚園がこども園の認定を受けた場合は、幼稚園型認定こども園となります。幼稚園の教育要領を満たした上で、こども園として必要な保育環境を整えます。
保育園がこども園の認定を受けた場合は、保育園型認定こども園となり、保育所保育指針に基づきつつ、家庭外の保育を必要としない子供も受け入れる形になります。
この他、こども園には「幼保連携型(幼稚園、保育園の両機能を併せ持つ単一の施設)」と、「地方裁量型(認可外の教育、保育施設がこども園として必要な機能を満たし認定される)」があります。
どのタイプのこども園でも、「小学校教育との円滑な接続」「認定こども園として特に配慮すべき事項を考慮」する点は共通です。
「幼稚園」「保育園」「こども園」の利用区分の違い
「幼稚園」「保育園」「こども園」は、「子供・子育て支援新制度」で分けられた3つの認定区分によって、入園資格の有無が変わります。
区分内容 | 対象 | |
1号認定 | 2号認定を除く満3歳以上の未就学児 | 幼稚園 こども園 |
2号認定 | 「保育を必要とする事由」に該当する満3歳以上の未就学児 | 保育園 こども園 |
3号認定 | 「保育を必要とする事由」に該当する満3歳未満の子供 | 保育園 こども園 地域型保育(※) |
※地域型保育とは、2015年に施行された「子ども・子育て支援新制度」に則り、満3歳未満の乳幼児の保育のために設立され、自治体から認可を受けた小規模保育事業のこと。
認定こども園制度が施行される以前は、1号認定と2~3号認定の子供は幼稚園と保育園で分けられていました。しかし、こども園の設立により、さまざまな環境下の子供たちに対応できる園が増えました。これは、地域にも家庭にも大きなメリットをもたらしたと言えるでしょう。
「幼稚園」「保育園」「こども園」の違いとまとめ
「幼稚園」「保育園」「こども園」には、それぞれ管轄や役割に明確な違いがあります。
しかし、今は「預かり保育を充実させ、共働きフルタイムの家庭にも対応できる幼稚園」や「子供の学習や運動に力を入れる保育園」など、さまざまな特色を持つ園が増えています。子供を取り巻く環境や家庭の変化に対応する努力が盛んに行われているのです。
「どこに入園させるのが親子にとって最も良い選択か」は、情報を収集してじっくり考えた方が良いでしょう。
最後に、「幼稚園」「保育園」「こども園」の違いをまとめますので、参考になさってください。
- 【幼稚園】文部科学省管轄・幼児教育を行う・基本1号認定が対象
- 【保育園】厚生労働省管轄・保育が必要な乳幼児を保育する・2~3号認定が対象
- 【こども園】内閣府(文部科学省・厚生労働省連携)管轄・幼稚園と保育園の両方の良さを併せ持つ・1~3号認定が対象