「朝っぱらから」と「朝から」は違う意味を持つ言葉なのか。「朝っぱら」とは言っても「昼っぱら」や「夕っぱら」と言わないのは何故なのか。
それらの疑問は「ぱら」の意味を知ることですべて解決します。「ぱら」が意味していることは以下の通りです。
- 【ぱら】腹のこと
- 【朝っぱら】朝腹、朝食前の空腹のときを指す
- 【朝腹】朝食前であることから朝早い時刻
このページでは「朝っぱらから」のさらに詳しい解説と「朝腹」から生まれたもう一つの言葉との意外なつながり。そして「朝っぱらから」と「朝から」の違いについて解説しています。
【ぱら】の意味を理解すると分かる【朝っぱら】の意味
「朝っぱら」とは「朝腹(あさはら)」の発音が変化した言葉です。よって謎の言葉である「ぱら」とは「腹」を意味します。
ではそもそも「朝っぱら」の語源である「朝腹(あさはら)」という言葉にはどのような意味があるのでしょうか。
「朝腹(あさはら)」とは、朝食前の空腹の状態を意味しています。
そして、朝食前の空腹の時間帯すなわち朝早い時刻・時間帯を言い表す言葉として「朝腹(あさはら)」が使われるようになり、発音が変化して「朝っぱら」になりました。
「昼っぱら」や「夕っぱら」と言わないのは、前の食事との時間が最長となり一日の中で最も空腹になる時間帯が早朝であることを強調するための言葉だからです。
【朝っぱら】=【朝腹(あさはら)】から生まれたもう一つの言葉
物事を行うのが簡単・容易であることを「朝飯前(あさめしまえ)」という言葉で表現しますが、この「朝飯前(あさめしまえ)」も由来は「朝腹(あさはら)」にあります。
早朝の空腹時には、普段なら食べにくい茶漬けも簡単に食べてしまうことが出来ることから、物事が容易であることを表す「朝腹の茶漬」という言葉が生まれ、それが転じて「朝飯前(あさめしまえ)」となりました。
つまり「朝飯前(あさめしまえ)」と「朝っぱら」はルーツが同じ「早朝、朝食前の空腹の状態」なのです。
江戸末期の戯作者・河竹黙阿弥(かわたけもくあみ)の初期の名作歌舞伎『曽我綉侠御所染(そがもよう たてしのごしょぞめ)』には次のようなセリフが残されています。
「何の何の、この位な荷物は朝っぱらの茶漬けだよ」
【朝っぱら】と【朝】の違い
以上のことからわかるように「朝っぱら」とは、朝食前の早朝でしかも空腹という限定されたタイミング且つ状況を意味する言葉です。
一方で単なる「朝」は特殊な状況や時間帯という要素がない一般的な「朝」。夜明けから昼前くらいまでの時間帯を指す言葉です。
よって早朝の時間帯・極めて早い時間帯であることを強調する場合には「朝っぱら」を使い、特異な時間帯・状況であることを強調する必要がない場面では「朝」を使います。
- 【朝っぱら】早朝であることを強調する場合に使う
- 【朝】早朝でない時間帯や「早朝」を強調する必要がない場合に使う
「ぱら」の意味、そして「朝っぱらから」と「朝から」の違い。このページの解説でご納得いただけましたでしょうか。
最後に、このページの解説のポイントをまとめます。頭の中の整理にご活用ください。
- 【ぱら】腹のこと
- 【朝っぱら】朝腹、朝食前の空腹のときを指す
- 【朝腹】朝食前であることから朝早い時刻
- 【使い分け:朝っぱら】早朝であることを強調する場合に使う
- 【使い分け:朝】早朝でない時間帯や「早朝」を強調する必要がない場合に使う