【湖,沼,池,泉,潟,浦】の違い/国土交通省,環境省の定義は?

【湖、沼、池、泉、潟、浦】はすべて水が溜まっている場所に関する言葉です。【浦】は海岸・湖岸の地形を指します。【潟】は海と密接な関わりを持ちます。
【泉】は地中から水が湧き出ているところです。【湖】【沼】【池】は、水深や沈水植物の有無などで区別します。

難しそうですが、以下の順番にふるい分けてゆくとそれぞれの違いをよく理解できます。

  1. 【湖、沼、池、泉、潟】 と 【浦】
  2. 【湖、沼、池、泉】 と 【潟】
  3. 【湖、沼、池】 と 【泉】
  4. 【湖】と【沼】と【池】

このページでは【湖、沼、池、泉、潟、浦】の違いを区別するための手順と視点をご紹介しています。

【湖、沼、池、泉、潟、浦】の違いを区別する手順

【湖、沼、池、泉、潟、浦】は、下記する手順で一つ一つふるい分けをかけながら区別を進めてゆくことで、それぞれの違いがわかりやすくなります。

【湖、沼、池、泉、潟】 と 【浦(うら)】を区別する

【湖、沼、池、泉、潟】【浦】の間には決定的に異なる点が一つだけあります。

【浦】とは、「浜」や「磯」と同じように湖岸・海岸の地形を表している言葉です。水が溜まっているところではなく、水面と陸地の境界線を表す言葉です。

【湖、沼、池、泉、潟】がいずれも水が溜まっている場所であるのに対して、【浦】は湖岸・海岸の地形の名称という点で区別がつきます。

ちなみに湖海が陸地の中に入り込んだ湾曲した地形、それが【浦】です。

【湖、沼、池、泉】 と 【潟】を区別する

【湖、沼、池、泉】 【潟】の間にも決定的に異なる点が一つだけあります。

【湖、沼、池、泉】はいずれも、四方を陸地に囲まれていること。海とは離れた場所にあることが条件です。

それに対して【潟】は、海と切り離されてできた場所、または潮の干満によって水面が現れたり消えたりする場所のこと。

海と密接に繋がっているのが【潟】です。

この一点で、【湖、沼、池、泉】 と 【潟】を区別することができます。

【湖、沼、池】 と 【泉】を区別する

【湖、沼、池】 【泉】の違いはいたってシンプルです。

【湖、沼、池】がいずれも、単に水が溜まっている場所を指すのに対して、【泉】だけは地中から水が湧き出している場所を意味します。

泉から流れ出たばかりの小川を【泉】と呼ぶ場合もあります。

【湖】と【沼】と【池】を区別する

【湖】【沼】【池】の違いは水深で区別することができます。

水深5メートル以上の場合は【湖】。【池、沼】と比べて水深が深く、湖底の最深部に植物が生息していないことも【湖】の条件の一つです。

一方、水深が5メートルより浅い場合は【池、沼】です。水深が浅いため最深部にクロモ・フサモなどの沈水沿岸植物が生育しているものを【沼】と呼びますが、【池】には沈水植物が生育の有無の条件はありません。

また水面の面積でも区別でき【池、沼】と比較して【湖】の方が広いと言う特徴もありますが、数値による区別の基準はありません。

なお、ダムなどの人工湖は「地学」では河川と湖沼の中間的存在と位置づけられ、環境省は【池】に区分しています。

【湖】【沼】【池】の三者は条件が入り組み区別するのが困難です。そこで、それぞれの違いをわかりやすくすべく一覧表示にしたのが以下の表です。

水深5m以上5m以内5m未満
沈水植物生育なし生育あり
成立要因天然天然人工
コラム:【沼】や【池】の仲間だった【沢】
【沢】は、現代ではもっぱら幅の狭い川を意味する言葉として用いられていますが、かつては【沢】も【沼】や【池】の仲間でした。京都市嵯峨広沢町にある「広沢池」など景勝地として名高い三つの【池】を【日本三沢】と呼んでいるところにその名残が残されています。

国土交通省、環境省の定義

国土交通省や環境省は【湖、沼、池、泉、潟】の違いを定義づけてはいません。しかし、一般的な慣例に従い【湖、沼、池】については次のように区別しています。

国土交通省ホームページの解説

辞書や辞典では、湖は、深く、岸には植物が生えていますが、中央の深いところには植物がないものを、沼(ぬま)は、湖より浅く、深いところにも植物が生えているものを、池は、地面にできたくぼみに水のたまったところ。ふつう、湖沼(こしょう)より小さいもの。人工的(じんこうてき)に作られたもの。となっています。
参考: 国土交通省ホームページ

環境省の解説

「みずうみ」四面を陸地でかこまれて中に水をたたえたもの。池・沼などより大きく中央部に沿岸植物の侵入を許さない深度(5~10 メートル以上)を持つもの。
「ぬま」一般に、深さ五メートル以下で底は泥ぶかく、クロモ・フサモなどの沈水沿岸植物が生えている湖沼をいう。湖とは厳密には区別されていない。
「湖沼」四方を陸地に囲まれ海とは離れた静止した水隗。湖は沿岸植物が侵入しない深度をもつもの。沼は浅く沈水植物の生育するものとする。人工湖は成因としては湖沼と異なるが水隗の性格は河川と湖沼の中間的。(出典:平凡社「地学辞典」)
「人工湖」河川を堰き止めることにより造成したダム貯水池等や造成池に用水等を導入したため池等に区分される。
出典:環境省『人工湖沼の湖沼類型指定について』

【湖、沼、池、泉、潟、浦】の違い、まとめ

【湖、沼、池、泉、潟、浦】の違い、このページでご納得いただけましたでしょうか。それぞれを区別する手順の概要を以下にまとめますので、頭の中の整理にお役立てください。

  1. 【湖、沼、池、泉、潟】と【浦】:【浦】だけが海岸・湖岸の地形を指す
  2. 【湖、沼、池、泉】と【潟】:【潟】だけが海と密接な関わりを持つ
  3. 【湖、沼、池】と【泉】:【泉】だけが地中から水が湧き出ているところ
  4. 【湖】と【沼】と【池】:水深や沈水植物の有無などで区別する
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