「感染」と「伝染」という言葉の意味の違い。「感染症」と「伝染病」という言葉の意味の違い。それぞれの違いをまとめると以下のようになります。
- 【感染】①病原体が体内に入ること ②他者の性質に染まること
- 【伝染】①病原菌による病気がうつること ②悪いことがうつること
- 【感染症】病原微生物が原因で起こる病気
- 【伝染病】感染症のうち、うつる病気
このページでは「感染」と「伝染」、「感染症」と「伝染病」それぞれの意味と違いについてさらに詳しく解説しています。
【「感染」と「伝染」】【「感染症」と「伝染病」】の違いを解説
「感染」と「伝染」の違い
【感染】
①細菌やウィルスが体内に入ること。
②他のものの影響を受けて、その性質の染まること。【伝染】
①悪いことがうつること。
②病原菌による病気がうつって同じ症状をあらわすこと。出典:小学館『新選国語辞典』
病気に関する「感染」と「伝染」の違い
細菌、ウィルス、寄生虫などの病原体が体内に入ることを「感染」といいます。そしてそれら病原体によって病気が起きると「感染症」。その感染症がうつることが「伝染」です。
病気以外の「感染」と「伝染」の違い
病気以外の「感染」と「伝染」は、他者の性質がうつる・染まるという点で共通した意味を持っています。
しかし「感染」がうつる・染まる性質の良し悪しをそれほど問わずに使うのに対して「伝染」は主に悪い性質がうつる・染まることを意味します。
「感染症」と「伝染病」の違い
「感染症」と「伝染病」の言葉の意味の違い
体内に入った病原体(感染した病原体)がもとで起こった病気を「感染症」と呼び、「感染症」のうちで生物から生物へとうつるものを「伝染病」と呼びます。
よって感染はしても伝染しない食中毒や、細菌感染が原因の盲腸炎など他者にうつらない病気は「感染症」と呼んでも「伝染病」とは呼びません。
「感染症」の法律上の定義の違い
「感染症」は『感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律』通称「感染症法」の第六条によって次のように定義されています。
第六条
この法律において「感染症」とは、一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症、五類感染症、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症及び新感染症をいう。出典:『感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律』
画像出典:厚生労働省『厚生労働白書』
「伝染病」の法律上の定義の違い
現在、法律上での「伝染病」は主に家畜の伝染病を指しています。
1999年に施行された感染症法によって「伝染病予防法」が廃止され「伝染病」の文言はすべて「感染症」に変更。
2009年には『旧・学校保健法』の「学校伝染病」も「感染症」に改められ、一般には「学校感染症」と呼ばれるようになりました。
これらの改定以降「伝染病」は主に家畜の伝染病を指すようになり、『家畜伝染病予防法』によって「伝染病」が定義されています。
学校の出席停止が求められる「学校感染症」のことを、「法定伝染病」と呼ぶ人が少なくありません。これは完全な誤用です。そもそも「法定伝染病」とは「家畜伝染病予防法」という法律によって定められた家畜の病気のこと。人間の病気を指す言葉ではないのです。
【「感染」と「伝染」】【「感染症」と「伝染病」】の違い、まとめ
【「感染」と「伝染」】【「感染症」と「伝染病」】の違い。このページの解説でおわかりいただけましたでしょうか。
最後にこのページの解説のポイントをまとめますので頭の中の整理にご活用ください。
- 【感染】①病原体が体内に入ること②他者の性質に染まること
- 【伝染】①病原菌による病気がうつること②悪いことがうつること
- 【感染症】病原微生物が原因で起こる病気
- 【伝染病】感染症のうち、うつる病気
- 【法律:感染症】7分類で定義されている
- 【法律:伝染病】主に家畜に用いられる