「呼吸」も「息」。共通する意味を持つため違いがわかりにくい二つの言葉の違いは実は簡単に区別がつきます。
「呼吸」にはなく「息」だけが持っている意味。この一点が「呼吸」と「息」の違いです。
「息」だけが持っている意味とは次の通りです。
このページでは「呼吸」と「息」の違いを詳しく解説し、「吸う空気」と「吐いた空気」の意外な事実をお伝えしています。
【呼吸と息】の違い
【息】吸う空気と吐いた空気も意味する
「呼吸」も「息」も、ともに空気を吸ったり吐いたりすることを意味しますが、「息」には吸ったり吐いたりする空気そのものを指す言葉としても使われます。
- 「呼吸」は気体を吸ったり吐いたりすることだけ。
- 「息」は気体を吸ったり吐いたりすること。そしてその気体。
これが「呼吸」と「息」の決定的な違いです。
参考までに、『日本國語大辞典』で解説されている「呼吸」と「息」の意味を以下に引用します。
【呼吸】
①息を吐いたり吸ったりすること。息の出し入れ。息をすること。【息】
①口や鼻を通して吐いたり吸ったりする気体。呼気と吸気。特に、呼気をさす場合が多い。
②空気を吐いたり吸ったりすること。呼吸。
出典:小学館『日本國語大辞典』より抜粋
『日本國語大辞典』の「呼吸」と「息」の解説を整理すると次の通りです。
- 「呼吸①」=「息②」
- 「息①」これが両者の違い!
吸う空気と吐いた空気の意外な事実
多くの人から信頼されている国語辞典の定番『広辞苑』では「呼吸」という言葉の意味は次のように解説されています。以下、引用です。
【呼吸】
①(respiration)生物が外界から酸素を取り入れ、二酸化炭素を外界に放出する現象。特に動物が、そのために行う筋肉運動。
出典:岩波書店『広辞苑』より抜粋
『広辞苑』が解説しているように、多くの人は「呼吸」とは酸素を吸い二酸化炭素を吐き出すことだと考えています。筆者もそのように信じ込んでいました。
しかし、吸う息と吐く息に含まれる気体には意外な事実があるのです。
実は、吸う息と吐く息に含まれる気体に含まれる酸素の比率はそれほど大きくは変わりません。また吐く息に含まれる二酸化炭素の量はごくわずかしかありません。
数値にすると以下のような比率です。
気体の種類 | 吸う息 | 吐く息 |
窒素 | 78% | 78% |
酸素 | 21% | 16% |
二酸化炭素 | 0.04% | 5% |
その他 | 1% | 1% |
酸素と二酸化炭素の完全な入れ替えではないというこの点が、「呼吸」と「息」の意外な事実です。
【呼吸と息】の違い/吸う空気と吐いた空気の意外な事実
「呼吸」と「息」の違い、このページの解説でおわかりいただけましたでしょうか。
このページでは特に「呼吸」と「息」の違いを際立たせるポイントに焦点を絞って解説しましたが。
しかし「呼吸」と「息」には他にも様々な意味や使い方がありますので、お時間のある時に国語辞典を開いてボキャブラリーを豊かにしてみてはいかがでしょうか。