「警察庁」と「警視庁」の違い

「警察庁」と「警視庁」の間には様々な違いがありますが、その中でも一番大きな違いは赤い文字で示した次の一点です。

  • 【警察庁】日本国の機関。都道府県警の管理が任務
  • 【警視庁】東京都の機関。道警・府警・県警と同じ

「警察庁」と「警視庁」と最も大きな違いは、国の機関か東京都の機関かという一点です。しかし「警察庁」と「警視庁」との間には、これ以外にも様々な違いがあります。

このページでは「警察庁」と「警視庁」の違いについて解説しています。



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【警察庁】と【警視庁】の違い

【警察庁・警視庁】任務の違い

市民の安全を守るのが都道府県警の任務です。警視庁も例外ではありません。

日本国内で最多の人口と、そして日本の中枢神経ともいえる首都機能を守るため、警視庁は他の道府県警と異なる組織編成を有しています。

しかしその任務は「現場」で都民の安全を守ること。事件などの捜査を行うことです。

一方、国の機関である警察庁の任務に、捜査・逮捕などの警察権を執行する職務は含まれていません。

警察庁の任務は、警察制度の企画立案、関連法令の調査研究、犯罪防止策の企画立案、そして各都道府県警の監督・指揮などデスクワークが中心です。

非常にざっくりとした分け方をすると、現場の任務に当たっているのが「警視庁」。現場を管理するデスクワークが任務なのが「警察庁」ということです。

なお、警察庁と警視庁そして道府県警、それぞれの警察官の人数は次の通りです。

警察庁 2,112人
警視庁 43,072人
道府県警 257,953人
参考:警視庁ホームページ(平成28年1月1日現在)
コラム:皇居の警察官の所属はどこ?
皇居を警備する警察官がいることをご存知でしょうか?皇居という「現場」にはいますが、皇居を警備する警察官の所属は国の機関である「警察庁」です。「警察庁」の附属機関の一つである「皇宮警察本部」に、皇居を警備する警察官は所属しています。

【警察庁・警視庁】階級とキャリア・ノンキャリアの違い

警察庁・警視庁問わず警察組織は階級社会です。そして、警察警察法第62条により、警察官の階級は次の九の階級に分類され、この階級によって絶対的な命令系統が保たれています。

第五章 警察職員
(警察官の階級)
第六十二条 警察官(長官を除く。)の階級は、警視総監警視監警視長警視正警視警部警部補巡査部長及び巡査とする。
出典:警察法第六十二条

しかし、地方公務員である警視庁の警察官と、国家公務員である警察庁の警察官が上記の階級を同じようにステップアップできるわけではありません。

俗に、国家公務員である警察官はキャリア。地方公務員である警察官はノンキャリアと呼ばれています。

このノンキャリアで占められる警視庁とキャリアで占められる警察庁のそれぞれの組織の特徴も、警視庁と警察庁の大きな違いの一つです。

  • 【キャリア】国家公務員総合試験合格者。幹部候補生。
  • 【準キャリア】国家公務員一般職試験合格者。地方機関の幹部候補生。
  • 【ノンキャリア】各都道府県の公務員試験合格者。

 

【警察庁・警視庁】階級ステップアップの違い

警察庁・警視庁、それぞれの警察官は同じ階級制度のもとで上下関係が決まるものの、その階級を同じようにステップアップできるわけではないと上に述べました。

では、どのようにステップアップの仕方が違うのでしょうか。

キャリア・ノンキャリアの階級ステップアップモデルを以下にまとめてみました。(いずれも大卒、22歳で採用され最速級で昇進したケースです)

キャリア ノンキャリア 人数・割合
警視総監 50歳台後半  1人
警視監 48-51歳 0.2%
警視長 42-44歳
警視正 34-35歳 50歳
警視 25-26歳 40歳 2.5%
警部 23-24歳 30歳 5%
警部補 22歳 26歳 28%
巡査部長 24歳 29%
巡査 22歳 30%
(注)割合の母数には警察官以外の一般職員が含まれています。

ご覧の通り、キャリアが採用早々警部補からスタートし昇進スピードも早いのに対して、ノンキャリは最下層の巡査からスタートします。

またノンキャリにとっては「警視正」が、昇進の実質的な上限です。

特にノンキャリアの警部以上の昇進スピードはキャリアの昇進スピードとは比較にならないほどの遅さです。

またキャリアが勤続年数に応じて階級をステップアップするのに対して、ノンキャリアは予備試験から二次備試験まである三回の昇任試験を受けてようやくステップアップができるのです。

三回ある昇任試験の内容は次の通りです。

予備試験 警察法規(憲法・刑法・刑事訴訟法)、警察実務(警務・警備・刑事・生活安全・交通)、一般常識など。すべて5択問題。
一次備試験 刑法、刑事訴訟法、専務警察など。論述問題。
二次備試験 逮捕術、集団討論、拳銃操法など実技。面接。

昇任試験の受験資格も、大学卒と高校卒とで次のように区別されています。

大学卒 高校卒
警視長 選考 選考
警視正 選考 選考
警視 警部の実務経験が6年以上 警部の実務経験が6年以上
警部 警部補の実務経験が4年以上 警部補の実務経験が4年以上
警部補 巡査部長の実務経験が1年以上 巡査部長の実務経験が3年以上
巡査部長 巡査の実務経験が1年以上 巡査の実務経験が4年以上
コラム:巡査長とは架空の階級?
漫画『こち亀』の主人公・両津勘吉や、ドラマ『踊る大捜査線』でいかりや長介さんが演じていた数々の名言を残した老刑事の和久平八郎。二人とも「巡査長」でしたが、警察法第六十二条で定められた階級に「巡査長」の記載がありません。「巡査長」とは漫画やドラマの中の架空の階級なのでしょうか?
「巡査長」は実在します。ただし警察法で定めている階級ではありません。巡査から巡査部長にステップアップするための昇任試験は半強制的に受験させられるのですが、当然のことながら失格者も出ます。失格者の中で実力と実務経験が認められた者に付与されるのが「巡査長」というポジションなのです。

【警察庁・警視庁】役職の違い

民間企業や警察以外の省庁の組織には、役割に応じて部長、課長、係長、主任などの役職がありますが、警察組織にも同様の役職が存在します。

そして、警察組織の役職は上記の階級と深い関わりを持っています。階級に応じて、就ける役職が変わってくるのです。

以下の一覧表が、警察の階級と役職(役割)の関係です。警視庁と警察庁の間でも、階級に応じて就ける役職が異なります。

警察庁 警視庁
警察庁長官
警視総監 警視総監
警視監 次長・局長・部長・審議官など 副総監・部長
警視長 課長など 部長
警視正 室長・理事官 参事官・課長
警視 課長補佐 課長・管理官
警部 係長 係長
警部補 主任 主任
巡査部長
巡査

ちなみに、同じ都道府県警でありながらも警視庁、大規模な県警本部、小規模な県警本部によって階級と役職の関係は以下の通り違いが存在します。

警視庁 県警本部(大) 県警本部(小)
警視総監 警視総監
警視監 副総監・部長 本部長
警視長 部長 部長 本部長
警視正 参事官・課長 部長 部長
警視 課長・管理官 課長 課長
警部 係長 課長補佐 課長補佐
警部補 主任 係長 係長
巡査部長 主任 主任
巡査

【警察庁・警視庁】組織の違い

「警察庁」と「警視庁」は組織(機構)も異なります。以下に、それぞれの組織の骨格に当たる部分を一覧表にまとめてみました。

警察庁 警視庁
内閣総理大臣 東京都知事
国家公安委員会 東京都公安委員会
警察庁 警視庁
警察庁長官 警視総監
次長 副総監
内部機関
情報通信局、警備局、交通局、刑事局、生活安全局、長官官房
総務部、警務部、交通部、警備部、地域部、公安部、刑事部、生活安全部、組織犯罪対策部、サイバーセキュリティ対策本部、オリンピック・パラリンピック競技大会総合対策本部、人身安全関連事案総合対策本部、警視庁警察学校、方面本部(各警察署、交番・駐在所)、犯罪防止対策本部
地方機関
各地方管区警察局、北海道警察情報通信部、東京都警察情報通信部
附属機関
皇宮警察本部、科学警察研究所、警察大学校

【警察庁】と【警視庁】の違い、まとめ

刑事ドラマなどに出てくる警察官の大半は「警視庁」に所属しています。一方、ニュースなどではよく「警察庁」という言葉を耳にします。

「警察庁」と「警視庁」。たった一字違いということもあり「警察庁」と「警視庁」を混同したり、両者の区別がつかない方も少なくありません。

しかし、東京都の隣県から東京都内に通勤している方ならお気付きのはずです。

家の周辺には神奈川県警、埼玉県警、千葉県警などと大書されたパトカーが走っているのに、会社の周辺には東京都警と大書されたパトカーが走っていないことを。

冒頭でも述べましたが「東京都警」に当たる警察組織が「警視庁」です。日本全国の都道府県警を指揮・管理している国の機関である「警察庁」とは全く異なる組織なのです。

  • 【警察庁】日本国の機関。都道府県警の管理が任務
  • 【警視庁】東京都の機関。道警・府警・県警と同じ



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