「体験」と「経験」は実際に身をもって行動する点は同じです。
しかし「体験」が実際の行動を通して感じた印象に重点が置かれるのに対して、「経験」は実際の行動によってたくわえられた知識や技術に重点が置かれる点で異なります。
一方「見聞」は文字通り見たり聞いたりしたことが中心で、自分で身をもって行動するという要素はほとんどありません。
「体験」「経験」「見聞」、三つ言葉の違いを一覧形式でまとめると次の通りです。
体験 | 経験 | 見聞 | |
実際に行動する | ○ | ○ | × |
実際に見聞きする | ○ | ○ | ○ |
行動で感じた印象 | ○ | △ | × |
見聞きして感じた印象 | ○ | △ | ○ |
行動でたくわえた知識 | × | ○ | × |
見聞きでたくわえた知識 | × | ○ | ○ |
「体験」「経験」「見聞」、それぞれの言葉の意味や違いと使い分け方の区別について、さらに詳しい解説を以下に行なっています。どうぞご覧ください。
「体験、経験、見聞」の違いと使い分け方を解説
「体験」「経験」「見聞」、三つの言葉の意味を確認しながら、それぞれの違いと使い分け方の区別について以下に詳しく解説いたします。
【体験】実際の行動を通して感じた印象に重点が置かれる
【体験】
行動を通して実際に感じたり覚えたりすること。また、その時の印象。
出典:小学館『新選国語辞典』
実際に自分で身をもって行動してみた行為そのもののことも「体験」と言いますが、その行動を通して感じたり覚えたりした印象、強く残った印象の意味合いをあらわしている点が「体験」という言葉の特徴を際立たせています。
また「体験」という言葉は、実際に行動を試みたという能動的でチャレンジングな意味を持っていることも特徴の一つです。
珍しい体験をした、海外留学の体験談、体験学習、戦争体験、体験談
【経験】実際の行動によってたくわえられた知識や技術に重点が置かれる
【経験】
自分で実際に見聞きしたり行動したりすること。また、それによってたくわえられた知識や技術。(「経験」は「体験」にもとづくが、その印象が記憶として残るところに重点がある)
出典:小学館『新選国語辞典』
「体験」「経験」「見聞」、これら意味の似通った三つの言葉の中で最も広く使うことができるのが「経験」という言葉です。
「体験」と同様、「経験」も実際に自分で身をもって行動してみた行為そのもののことを意味しますが、「経験」を通して蓄積された知識や技量の意味合いが強い点が「体験」と大きく異なる点です。
また「体験」が能動的でチャレンジングな行動を意味するだけなのに対して、「経験」は上司からの命令などにより自分の意思とは無関係に行う受動的な行動をも意味します。
英会話を教えた経験がある、海外留学を経験する、経験を積む、人生経験、経験を生かす、経験が浅い
【見聞】見たり聞いたりしたことが中心で行動の要素は希薄
【見聞】
見たり聞いたりすること。知識。
出典:小学館『新選国語辞典』
上に述べた「体験」と「経験」が両方とも実際の行動をともなうのに対して、「見聞」に行動の要素は少なく、見たり聞いたりすることやそこから得られた知識・知見を意味します。
また「見聞する」「見聞を広める」「見聞が広い」などといった使い方に限定され、「体験」や「経験」と比べて用法は限定的です。
見聞を広めるために海外留学する、現地で見聞したことをまとめる、見聞録
「体験、経験、見聞」の違いと使い分け方、まとめ
「体験」「経験」「見聞」の違いと使い分け方、おわかりいただけましたでしょうか。上に述べた解説の要点を、最後にまとめますので理解の一助としていただければ幸いです。
- 【体験】実際の行動を通して感じた印象に重点が置かれる。
- 【経験】実際の行動によってたくわえられた知識や技術に重点が置かれる。三つの言葉の中で最も広く使われる。
- 【見聞】見たり聞いたりしたことが中心で行動の要素は希薄。