「赤」「朱」「紅」。どれも英語でいう「レッド」系統の色を指す三つの言葉は次のように使い分けるのが一般的です。
- 【赤】最も一般的に使われている赤系統の色を表す言葉
- 【朱】黄ばんだ赤、オレンジ色に近い赤
- 【紅】赤い色の鮮やかさを強調するときに使う
ちなみに、それぞれの色の違いは次の通りです。

このページでは、「赤」「朱」「紅」、三つの「レッド」の意味の違いについてさらに詳しく解説しています。
【赤、朱、紅】三つの「あか」の色と意味の違い
【赤】
「赤」の語源は「あか(明)」「あきらか(明)」「あけいろ(明色)」など、夜が明けて明らかな意味を表す言葉から転じたものと言われています。
また一説には「赤」は日本で最古の色名のひとつとも言われています。
もう一つの最古の色名で黒や白は灰色、緑色などの寒色を意味していた「青」に対する色として、「赤」は朱、橙、桃色などの暖色を意味する言葉でした。
なお「赤い」「朱い」「紅い」と書いて、いずれも「あかい」と読みますが、常用漢字表では「赤い」だけにしか「あかい」という読み方は認められていません。
言葉の正当性が求められる文書などでの使い分けにはご注意ください。
【朱】
「朱」は、黄ばんだ赤。またはオレンジ色に近い赤で、漆(うるし)塗りのうつわなどで日本人には古くから馴染みのある色のひとつです。
ちなみに縄文時代にはすでに漆塗りの器が存在していたことが確認されており、朱色で塗られた土器などが多数出土されています。
なお、現代で朱色と呼ばれる色の正式な名前は「銀朱」。
一方、縄文時代の漆器に使われ、『万葉集』の中でもその名が確認できるのは「真朱」。
また、日本古来の「朱」だけでなく、中国から伝わった「朱」もあり、その中でも珍重されていた「朱」のひとつは「珊瑚朱」と呼ばれる色です。

【紅】
「紅」は鮮やかな赤い色という意味を持ち、「紅葉」など赤の鮮やかさを強調したい時に使われることが多い言葉です。
紫色の色調が加わることで赤い色の鮮やかさが際立つ「紅」という美しい色は、江戸時代の庶民の女性の憧れでした。
しかし、金や真鍮などの貴金属と同じくらい高価な「紅」の代わりとして愛されたのが「紅赤(べにあか)」という「紅」よりもやや明るい色でした。
また、赤い色系統を表す語のひとつに「緋色」という言葉がありますが、この「緋色」は「紅」の一種で「紅緋(べにひ)」と言います。
なお、非常に貴重な「紅」の中にあって、原料となる高価な紅花だけをふんだんに使い、その贅沢さから「禁色(きんじき)」とまで言われたのが「真紅(しんく)」。
他の原料を一切混ぜない「真紅」は、「紅」の頂点に立つ色です。

【赤、朱、紅】三つの「あか」の違い、まとめ

「赤」「朱」「紅」、三つの「あか」の違いはこのページの解説でおわかりいただけましたでしょうか。
最後にもう一度、三つの言葉の使い分けのポイントを以下に記しますので、頭の中の整理にお役立てください。
- 【赤】最も一般的に使われている赤系統の色を表す言葉
- 【朱】黄ばんだ赤、オレンジ色に近い赤
- 【紅】赤い色の鮮やかさを強調するときに使う