ビジネスシーンでの敬語や謙譲語の誤用は、あなた自身やあなたの会社にとって大きな損失につながるリスクをはらんでいます。
誤用されるケースが多い敬語や謙譲語の中でも特に誤用が目立つのが「了解」と「承知」の違いと使い分けです。
ところで「了解」と「承知」の違いと使い分け方については、ネット上でも諸説入り乱れ時に怪情報が拡散されるため、それが誤用を増やす結果につながっています。
このページでは、怪しいネット上の情報を遮断し、伝統的な紙媒体の情報源からの情報収集に徹した調査結果によって、ビジネスシーンでの「了解」と「承知」の正しい使い分け方をご案内しています。
「了解」と「承知」の違い/目上の人に使うべき敬語・謙譲語はこれだ!
ビジネスシーンでご活躍される方の貴重な時間が無駄にならぬよう、まずは「了解」と「承知」の違いと使い分けの要諦のみをお伝えいたします。
- 【了解】同僚と部下など目下の者に対してのみ使う
- 【承知】上司や敬意を表すべき者に対して使うのはこちら!
- 【承知】は敬語、謙譲語としての意味を持っている
「承知」を敬語、謙譲語とする理由
ネット上の匿名で投稿できる掲示板などでは「承知」は単なる名詞であり、敬語や謙譲語ではないとする説が拡散されています。
にもかかわらず、このページでは「承知」を敬語、謙譲語とみなしています。「承知」を敬語、謙譲語とみなすその理由は以下の通りです。
国語辞典の王様で調べた結果
「了解」と「承知」それぞれの言葉の意味を国語辞典の王様『広辞苑』で調べると以下に引用する意味が記載されていました。
【了解】
①さとること。会得すること。
②は哲学用語のため、ここでは省略。【承知】
①旨をうけたまわって知ること、知っていること。
②聞き入れること。承諾。
出典:岩波書店『広辞苑』
二つの言葉の意味を比較してみると「承知」の「旨をうけたまわって知ること」の箇所に敬語や謙譲語の「ニュアンス」を感じ取ろうとすれば出来ないこともありません。
しかし、ビジネスシーンでの重要な言葉の使い分けのための基準を、漠然とした「ニュアンス」などに求めるのは脇が甘いと言わざるを得ません。
そこで「王様」から一歩進めて「神様」による調査を行いました。
国語辞典の神様で調べた結果
国語辞典の王様では埒が明かないため国語辞典の神様『日本国語大事典』で調べてみると、「了解」と「承知」それぞれの言葉の意味は次の通りです。
【了解】
①はっきりとよくわかること。よく理解すること。また、理解して承認すること。【承知】
①目上の人の命令などをうけたまわること。拝承。領命。
②相手の願い、要求などを聞き入れること。納得すること。許すこと。
出典:小学館『日本国語大事典』
「承知」の①が、この言葉に敬語、謙譲語の意味が含まれていることを明確に示しています。ビジネスシーンでの使い分けの基準として充分な情報と言って差し支えないのではないでしょうか。
「了解」と「承知」ビジネスシーンでの使い分け方、まとめ
ここまでお伝えしたように『日本国語大事典』による定義づけを、ビジネスシーンにおける「了解」と「承知」の使い分けの基準として採用し、以下のように区別してみてはいかがでしょうか。
- 【承知】敬語、謙譲語としての意味が明確に示されている「承知」を、上司や取引先などの敬意を表す必要がある相手に用いる言葉。
- 【了解】敬語、謙譲語としての意味が示されていない「了解」は部下や同僚などに対して使う言葉として使い分ける。
このページの情報が、あなたの職場のコミュニケーションがより一層円滑になるようお役に立てれば幸いです。
このページは、言葉の使い方の成否の議論を行うことではなく、多忙を極めるビジネスシーンにおいて「了解」と「承知」の使い分け方を最速で理解していただくことが目的です。よって、ビジネスシーンでご活躍される方の貴重な時間が無駄にならぬようシンプルにまとめています。言葉の使い分けに関する成否の議論がお好きな方は対象としておりませんのでご了承ください。