「ため息」「吐息」「嘆息」。どれも失望や落胆したときに吐く息を表す言葉です。
しかし三つの言葉には、それぞれの言葉だけが持つ特別な使い方があり、それが「ため息」「吐息」「嘆息」の違いを区別するポイントです。
特別な使い方とは次の通りです。
- 【ため息】感心してつく息
- 【吐息】安心してつく息
- 【嘆息】深く嘆いてつく息
このページでは「ため息」「吐息」「嘆息」の言葉の意味の違いと使い分け方について、さらに詳しく解説しています。
【ため息、吐息、嘆息】意味の違いを解説
【ため息、吐息、嘆息】それぞれの意味
「ため息」「吐息」「嘆息」それぞれの言葉の意味は『広辞苑』では次のように解説されています。以下、引用です。
【ため息】失望・心配または感心したときなどに長くつく息。長息。大息。
【吐息】落胆したり、安心したりしてつく息。
【嘆息】なげいてため息をつくこと。甚だしくなげくこと。
出典:岩波書店『広辞苑』
一見すると三つともほぼ同じ意味に見えますが、それぞれの言葉だけが独自に持っている「息をつく理由・タイミング」があることにお気づきでしょうか。
【ため息、吐息、嘆息】それぞれの言葉だけが独自に持つ使い方
『広辞苑』による意味の解説のうち、次に示す点が独自の使い方、独自の「息をつく理由・タイミング」です。
【ため息】失望・心配または感心したときなどに長くつく息。長息。大息。
【吐息】落胆したり、安心したりしてつく息。
【嘆息】なげいてため息をつくこと。甚だしくなげくこと。
出典:岩波書店『広辞苑』
文字を赤くした箇所が独自の使い方、独自の「息をつく理由・タイミング」です。
以上のことから「ため息」「吐息」「嘆息」三つの言葉は、人の心が失望・心配・落胆・悲嘆などネガティブな感情に支配されているときに吐く息という共通点を持っています。
しかしその一方で、「ため息」「吐息」「嘆息」それぞれの言葉に限定された理由・タイミングで吐く息を表す意味を持っています
【ため息】感心してつく息
ポジティブな出来事や人の姿に心を動かされたときにつく息。
【吐息】安心してつく息
緊張やストレスから解放され、ほっと胸をなでおろすときにつく息。
【嘆息】深く嘆いてつく息
失望や落胆をはるかに超える深いネガティブな感情に心が支配されたときにつく息。
これらが三つの言葉を区別するポイントと言えます。
【ため息、吐息、嘆息】意味の違い、まとめ
「ため息」「吐息」「嘆息」は、区別がつきにくい言葉ですが、失望や落胆したときに吐く息は「ため息」や「吐息」。失望や落胆があまりにも深く涙が出るほどのときは「嘆息」。
ポジティブな人や出来事に感心したときは「ため息」。ネガティブな感情から解放されてほっとしたときは「吐息」。
このように使い分けてみてはいかがでしょうか。
最後に、「ため息」「吐息」「嘆息」の共通点と相違点を一覧表形式でまとめてみました。頭の中の整理にお役立てください。
ため息 | 吐息 | 嘆息 | |
落胆してつく息 | OK | OK | OK |
感心してつく息 | OK | NG | NG |
安心してつく息 | NG | OK | NG |
深く嘆いてつく息 | NG | NG | OK |