「時期」「時季」「時機」。同じ読み方をするけれど、意味が微妙に異なるこれら三つの言葉の使い分け方に迷う人が少なくありません。
このページでは、「時期」「時季」「時機」を正しく使い分けられるよう、言葉の違いのポイントをシンプルにお伝えしつつ、詳しい解説も行なっています。
このページの目次
[時期,時季,時機]の違いをシンプルに理解するポイント
- 【時期】ある区切られた時
- 【時季】季節の特徴があらわれる時
- 【時機】ある事を行うのに最適な時
「時期」「時季」「時機」の違いと使い分け方を言葉の意味から理解する
「時期」「時季」「時機」の違いはどこにあるのか。どのように使い分けたら良いのか。大半の国語辞典では納得のゆく答えを得ることができません。
そこで、すでに絶版になっている日本一の国語辞典と呼ばれる辞書にその答えを探し求めたところ発見したのが上に挙げた「ポイント」です。
普通の国語辞典ではクリアに理解しきれなかった言葉の意味の違いを、以下にさらにくわしく解説します。
【時期】ある区切られた時
【時期】
時代、期間、期限など、ある区切られた時をいう。時分。ころあい。季節。
引用:小学館『日本国語大辞典』
「時期」という言葉の意味を際立たせているのは「ある区切られた時」という部分です。区切られているということは、始まりと終わりがあるということです。
開始日時と終了日時が具体的に決められている場合もあれば、日時は決まっていないものの始まりと終わりがある「季節」も「時期」の意味の一つに含まれています。(暦の上では季節も始まりと終わりの日が決められています)
始まりと終わりによって区切られていれば、入学式や卒業式などのイベントから季節まで、はば広く使うことができる汎用性の高い便利な言葉が「時期」です。
【時季】季節の特徴があらわれる時
【時季】
季節。特に、一年のうちで、物事のある特色が現れる季節。
引用:小学館『日本国語大辞典』
「時期」と「時季」はともに「季節」という意味を含んでおり意味も似通っているため、その違いを区別するのが難しい一対の言葉です。
区別するのが難しい「時季」と「時期」を比べた際に、「時季」という言葉の意味を際立たせているのは「物事のある特色が現れる季節」という点です。
「季節の特徴があらわれる時」と言い換えた方がわかりやすいかも知れません。
ところで和歌の世界には「季語」というものが存在します。季節を連想できるような言葉のことで、例えば「入学式」と言えば「春」を連想するような言葉です。
この「季語」のように季節を連想できる時には「時季」、季節を連想できない時には「時期」。このように区別すれば使い分けは容易になります。
季節を連想できない:引退の時期、世紀末の時期
季節を連想できる:入学式の時季、お花見の時季
※このようにも使える:入学式の時期、お花見の時期
【時機】ある事を行うのに最適な時
【時機】
ある事を行うのに適当な機会。時宜。
引用:小学館『日本国語大辞典』
「時期」と「時季」の違いが不明瞭なのに対して、その違いが理解しやすいのが「時機」です。「時機」は「チャンス」と言い換えることも可能です。
「チャンス」と言い換えることができる場合は「時機」を使い、「チャンス」と言い換えると不自然になる場合は「時期」か「時季」を使う。
このように使い分けのポイントを理解してみてはいかがでしょうか。
ところで、「時期」と「時季」が、ほとんどの人に平等にめぐって来るのに対して、「時機」は滅多にめぐって来るものではありません。
また、よほど注意していないとせっかくめぐってきた「時機」を見逃してしまいかねないのもこの言葉の特徴です。
「時期」「時季」「時機」の違いと使い分け方をシンプルに理解するポイント、まとめ
「時期」「時季」「時機」の違い、おわかりいただけましたでしょうか。このページでお伝えしたことを以下にまとめますので、頭の中の整理にご活用ください。
- 【時期】ある区切られた時、始まりと終わりがある
- 【時季】上の「時期」の中でも、特に季節の特徴があらわれる時
- 【時機】ある事を行うのに最適な時、チャンスと言い換えられる