日本の三大中型辞典と言われる「広辞苑」「大辞林」「大辞泉」。このページでは、これら三種類の辞典の違いと特徴、最新版の情報などをまとめています。
【広辞苑,大辞林,大辞泉】最新版の収録語数と価格の違い
辞典を選ぶにあたって最も気になるの収録語数と価格です。「広辞苑」「大辞林」「大辞泉」それぞれの最新版データは次の通りです。
広辞苑 | 大辞林 | 大辞泉 | |
出版社 | 岩波書店 | 三省堂 | 小学館 |
最新版 | 第7版 (2018年1月) | 第3版 (2006年10月) | 第2版 (2012年11月) |
収録語数 | 約25万語 | 約24万語 | 約25万語 (書籍版) 約30万語 (デジタル版) |
価格 | 9,180円 | 8,424円 | 16,200円 |
なお、『大辞林』は第4版の出版に向けて改定中。2017年には第4版が出版されるという噂もありましたが、三省堂の発表によればまだ出版時期を発表できる段階には至っていないとのことです。
【広辞苑,大辞林,大辞泉】特徴の違い
「広辞苑」「大辞林」「大辞泉」の、辞典機能の最大の違いは「語釈の順序」です。
語釈とは語句の意味の解釈のことで、語句の解釈の古い順に掲載するか、新しい順に掲載するかが三つの辞典の違いを際立たせています。
【広辞苑】の特徴「国語も百科もこの一冊」
「広辞苑」の語釈の順序は、古い時代の言葉の解釈からはじまっています。よって、現代人には馴染みのない解釈が冒頭に登場するケースが少なくありません。
また、1955年(昭和30年)に発行された初版に掲載の言葉もほぼ削除せずそのまま残し、今では使われなくなった言葉や古語が多数収録されていることが特徴です。
ちなみに「広辞苑」のキャッチフレーズは「国語も百科もこの一冊」です。
【大辞林】の特徴「現代へのこだわり」
「広辞苑」を超える辞典を目指してつくられた「大辞林」の語釈の順序は、最近の言葉の解釈からはじまるスタイルをとっています。
今、最も使われている語句の解釈から語釈が掲載するという「現代」にこだわるコンセプトのもと、「広辞苑」に載らない文化人やサブカルチャーの人名も多数収録しています。
【大辞泉】の特徴
中型辞典では最後発の「大辞泉」の語釈の順序は「大辞林」と同じです。
語釈の順序が同じ「大辞林」と「大辞泉」の違いを際立たせているのは、豊富に収録されたカラー図版にあります。
また、最近になって生まれた語句や流行語、言葉の誤用や解釈の変化なども掲載され、「大辞林」と同様に「現代」が追求されているのが特徴です。
【広辞苑,大辞林,大辞泉】の特徴一覧
広辞苑 | 大辞林 | 大辞泉 | |
語釈の掲載順序 | 古い時代の解釈から開始 | 現代の解釈から開始 | 現代の解釈から開始 |
特徴 | 発行部数が最大 | 現代へのこだわり | カラー図版を収録 |
【広辞苑,大辞林,大辞泉】歴史
【広辞苑】の歴史
1935年(昭和10年)、国語学者の重鎮・新村出氏が編集し博文館から出版された『辞苑(辭苑)』が『広辞苑』の原点です。
『辞苑』は先の大戦中まで改定が続けられるものの、大戦後は博文館での改定ができなくなり、『辞苑』は博文館から岩波書店に移譲。岩波書店での約7年にわたる改定の末、1955年(昭和30年)に『広辞苑』として出版されました。
初版から第6版までの累計発行部数は約1200万部。国民の辞典の名に恥じないロングセラーです。
【大辞林】の歴史
『広辞苑』を超えるものをつくろう。そのような目的のもとに1959年(昭和34年)にプロジェクトが発足した『大辞林』が出版されたのは約30年後の1988年(昭和63年)。
第2版までの累計発行部数として100万部。
第3班では、既往の紙媒体とインターネットを融合させた「デュアル大辞林」というコンセプトが話題になりました。
【大辞泉】の歴史
1966年(昭和41年)にプロジェクトが立ち上がった『大辞泉』の初版出版は、上記『大辞林』と同様、約30年の月日が経過した1995年(平成7年)のこと。
インターネット上の辞典サイト「goo辞書」や「コトバンク」に『大辞泉』のコンテンツが提供されており、すべて無料で使用することが可能です。
【広辞苑,大辞林,大辞泉】の歴史データまとめ
広辞苑 | 大辞林 | 大辞泉 | |
初版発行 | 1955年 | 1988年 | 1995年 |
企画の開始 | 1948年 | 1959年 | 1966年 |
初版の収録語数 | 20万語 | 23万語 | 22万語 |
累計発行部数 | 1200万部 | 100万部 | 58万部 |