「育児」と「子育て」。よく似た二つの言葉の違いを、①広辞苑で解説されている意味、②対象年齢、③一般的な使い分け方の三つの視点で整理すると次の通りです。
育児 | 子育て | |
①広辞苑で解説されている意味 | 乳幼児を育てること | 子を育てること |
②対象年齢 | 小学校入学まで | 制限なし |
③一般的な使い分け方 | 乳を与えるなど具体的な行為全般を表す言葉として使う | 抽象的・概念的な言葉として使う |
このページでは「育児」と「子育て」の意味の違いと使い分け方の三つの視点について、さらに詳しく解説しています。
「育児」と「子育て」の意味の違いと使い分け方、三つの視点
【1】広辞苑で解説されている意味
【育児】乳幼児を育てること。
【子育て】子を育てること。
出典:岩波書店『広辞苑』
上に引用した『広辞苑』。そして日本語の国語辞典としては最大級の語彙数が掲載されている『日本国語大辞典』の両者で、育てる対象は次のように解説されています。
- 【育児】乳幼児
- 【子育て】子
「育児」と「子育て」の使い分けは、育てる対象によることがわかりました。では「育児」の育てる対象が「乳幼児」、「子育て」の育てる対象が「子」です。
では、乳幼児と子は、具体的に何歳なのでしょうか。
【2】対象年齢
「乳幼児」の年齢は大半の国語辞典が年齢を具体的に解説しています。「乳幼児」とは、小学校の入学するまでの子供のこと。
学齢前の子供。日本国内の場合、義務教育を子供に受けさせる義務を保護者が負っている期間の子供の年齢です。
一方の「子」は、年齢に特段のきまりごとはありません。一般的には、新生児が一人前になるまでの間が「子」です。
しかし、何歳になったら一人前になれるのか成長のスピードには個人差があるので、一人前になるタイミング、すなわち「子」のが何歳までなのかを特定するのは困難です。
育児期間中の労働者に与えられる休暇は、その子供が生後一年未満の乳児と定められています。
【3】一般的な使い分け方
乳児期の乳を与える行為やおむつを交換する行為。幼児期の言葉を教える行為ややしつけをする行為。
「育児」は、これら乳幼児期の具体的な行為の総称として使われることが多い言葉です。
一方の「子育て」は、上に記したような子供を育てる際の具体的な行為にはじまり、子供とのコミュニケーションなど抽象的な事柄まで幅広く使われるケースが多い言葉です。
また「仕事と子育ての両立」「子育て世代」などのように概念的に使われる場合も少なくありません。
「育児」と「子育て」の意味の違い、まとめ
「育児」と「子育て」というよく似た二つの言葉は、普段づかいの中では使い分けを意識しなくても差し支えないでしょう。
しかし、「育児」や「子育て」などのイベントを行うときになどは、使われ方の曖昧さから要らぬ誤解を生じかねません。
以下のように国語辞典の意味に沿った使い方をすることで、誤解を防ぎたいものです。
- 【育児】小学校入学までの乳幼児を育てること。
- 【子育て】新生児から一人前になるまでの子を育てること。