「配布」「配付」の違いと使い分けの例文

「配布」「配付」は、どちらも「それぞれに行き渡るように分けて届ける」という意味ですが、誰に、どのように配るかという点で違いがあります。その違いを簡潔にまとめると以下のようになります。

 誰にどのように
配布不特定多数の人に広く行き渡るように配る
配付特定の人に確実に届くように配る

このページでは「配布」「配付」の違いについて、詳しい意味と具体的な使い方とともにわかりやすく解説しています。

Advertisement(広告)

「配布」「配付」の意味と例文

まず、「配布」「配付」の辞書での意味を確認しておきましょう。

【配布】
多くの人に行き渡るように配ること。

【配付】
一人一人に配って渡すこと。

出典:『明鏡国語辞典』

辞書の説明だけでは使い分けの仕方まではわからないので、より詳しい意味や例文を見ながら、それぞれの違いを確認していきましょう。

「配」「布」「付」の意味

言葉の意味を知るときには、漢字の意味を知るとよりわかりやすくなりますので一つ一つ見ていきたいと思います。

まず、「配布」「配付」のどちらにも使われている「配」からです。

「配」の左側の「酉」はお酒を入れる器を、左側の「己」は人を表しています。「配」は人が酒器を並べる様子で、そこから「並べる、それぞれの人にものを割り当てる」という意味になりました。

では、次に「布」です。「布」の上の部分は木槌を手に持った様子を表しています。下の「巾」は、頭に巻く布にひもをつけて帯に差し込む様子です。この二つから「布」の漢字は「木槌で叩いてやわらかくした布」を表すのですが、平らに伸ばした布がものの表面にぴたりとくっつく様子から、「布陣」「公布」のように「広く行き渡らせる」という意味でも用いられるようになりました。

続いて「付」の意味も見てみましょう。「付」の左側は「人」で、右側の「寸」は手を表しています。「付」は、手をぴたりと他人のからだにくっつける様子を表しており、「つく、くっつく」という意味を持っています。そこから、「付与」「交付」のように「手渡す」という意味でも用いられるようになりました。

では、それぞれの漢字の意味がわかったので、「配布」「配付」について詳しく見ていきましょう。

Advertisement(広告)

「配布」の意味と例文

「配布」は、それぞれの漢字の意味を組み合わせると「それぞれの人にものを割り当てる+広く行き渡らせる」となります。「配布」は、「あるものが不特定多数の人にあまねく行き渡るように配る」という意味です。では、例文を見てみましょう。

・道を行く人にチラシを配布する。
・各戸にパンフレットを配布する。

チラシやパンフレットのように多くの人に知ってほしいものや、届けたいものを配る場合には「配布」を用います。

Advertisement(広告)

「配付」の意味と例文

次に、「配付」の意味を見てみましょう。「配付」は、「それぞれの人にものを割り当てる+手渡す」となります。「配付」は、「あるものがそれぞれの人の手に確実に渡るように配る」という意味です。確実に相手に届く必要があるのですから、配る相手は特定の人ということになります。例文を見てみましょう。

・試験の問題用紙を配付する。
・会議の出席者に資料を配付する。

問題用紙や会議資料は、受験者や参加者の手元にきちんと届く必要があるので「配付」を用います。

公用文での「配布」「配付」の使い方

「配布」「配付」には上記のような意味の違いがありますが、公用文では原則「配布」に統一されています。公用文とは、国や公共団体が出す文書や法令などの公式文書に用いる文章のことです。そのため、市役所や教育委員会などの公的機関からの文書には「配布」が使われています。なお、法令文では以下の通り「配付」が使われる特別な場合があります。

配 付・配 布(「配付」は交付税及び譲与税配付金特別会計のような特別な場合についてのみ用いる。それ以外の場合は 「配布」を用いる。)

出典:「法令における漢字使用等について」

Advertisement(広告)
Advertisement(広告)

「配布」「配付」の練習問題

ここまでの説明で「配布」「配付」の違いがわかったと思いますので、練習問題をしてみましょう。以下の場面に合うように「配布」「配付」を選んでください。答えは、記事の一番最後にあります。

①後ほど各人にIDとパスワードを(  )しますが、取り扱いには注意してください。
②公職選挙法では、選挙期間中に(  )できる文書の種類・枚数などが規定されている。
③書類には機密事項も含まれるため、関係者のみに(  )するものとし、関係者以外への(  )は一切禁止します。
Advertisement(広告)

「配布」「配付」の違い、まとめ

「配布」「配付」の違いと正しい使い分け方、このページの解説でおわかりいただけましたでしょうか。最後にもう一度、正しい使い分けのポイントを以下に記します。頭の中の整理にお役立てください。

 誰にどのように
配布不特定多数の人に広く行き渡るように配る
配付特定の人に確実に届くように配る

<練習問題の答え>
①配付:IDとパスワードは特定の人に確実に届く必要があるため「配付」
②配布:「公職選挙法」は選挙方法を決めた法律なので「配布」
③配付、配布:関係者という特定の人のみに確実に渡すため「配付」、それ以外の不特定多数に行き渡ってはならないため「配布」