「足」「脚」の違いと使い分けの例文

「足」「脚」は、どちらも「動物の体を支えたり、動かしたりするときに用いる器官」のことですが、以下のような違いがあります。

 誰の/何のどこその他
主に人間の足首から下慣用表現にも使う
人間や動物・昆虫・物の骨盤から足首まで(人間)
体や物を支える部分の全体(動物、昆虫、物)
 

このページでは「足」「脚」の違いについて、詳しい意味と具体的な使い方とともにわかりやすく解説しています。

「足」「脚」の意味と例文

まず、「足」「脚」の辞書での意味を確認しておきましょう。

【足・脚】

1.動物の胴に付き,歩行や体を支える部分。特に,足首から先の部分。
2.下方にあって物を支える部分。
3.本体から分かれ出た部分。
4.〔数〕垂線が直線または平面と交わる点。
5.歩くこと。行ったり来たりすること。
6.交通の手段。
7.物事の動きや推移。
8.お金。銭。おあし。

出典:『ハイブリッド新辞林』

辞書では「足・脚」は同じ項目で説明されています。そのため、辞書だけでは意味の違いや使い分け方がわかりません。以下でより詳しい意味や例文を見ながらそれぞれの違いを確認していきましょう。

「足」「脚」の漢字の意味

言葉の意味を知るときには、漢字の意味を知るとよりわかりやすくなりますので一つ一つ見ていきたいと思います。

まず、「足」からです。上の部分の「口」は人の胴体を表し、下の部分は「止」で「立ち止まる足」を表しています。ここから「足」は、人や動物を止まって支える部分を指すようになりました。

次に「脚」です。「脚」は「月+却」から出来ていて、「月」は肉体のことを表しています。「却」の「去」の部分は、蓋つきのくぼんだ容器を描いたもので「くぼむ」という意味を持っています。「卩」は人がひざを曲げて後ずさりをする様子です。この二つが組み合わさった「脚」は、後ずさりするときに使う肉体を指す言葉で、胴体の下にあるひざを含む全体を指します。

では、それぞれの漢字の意味がわかったので、「足」「脚」について詳しく見ていきましょう。

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「足」の意味と例文

「足」は「人や動物を止まって支える部分」のことですが、止まるということは一歩踏み出さないことです。この一歩は、足首より下の部分を一つ分前へ出すことですから、「足」は足首から先までの部分を指すときに使います。例文を見てみましょう。

・足が大きいので靴を探すのが大変だ。
・歩き過ぎて足の裏が痛い。
・山道で足を滑らせてしまった。

このように足首から下、つまり靴を履く部分のことを言いたい場合には「足」を使います。靴を数える時には「一足、二足」と言いますよね。ここから「足=足首より下の部分」と覚えておくといいと思います。

また、以下のように慣用表現では「足」が使われることが多く、「脚」は使われません。

・足を伸ばす:今来ている所より、さらに遠くまで行く。
・足が遠のく:今までよく行っていた所に行かなくなる。
・足が奪われる: 移動手段が利用できない状況になる。
 
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「脚」の意味と例文

「脚」は「胴体の下にあるひざを含む全体」で、人間で言えば骨盤の下の辺りから足首までの部分です。また、「脚」は人や動物だけではなく昆虫や物にも使われ、上部を支える細いものの全体を指します。例文を見てみましょう。

・脚の線が美しいモデルを探している。
・昆虫の脚は六本だ。
・机の脚がガタガタしている。
 

「脚」は「足」のように慣用的に使われることはなく、肉体の一部や部品そのものを指すときに用いられます。

「足」「脚」が混在している場合と理由

「足」「脚」の意味や使い分けについて見てきましたが、以下のような文では「足」「脚」のどちらも使われているのを見たことがあるのではないでしょうか。

・あの人は足/脚が長い。
・足/脚が速くなりたい。
・足/脚を組んだら怒られた。
 

実は、「足」と「脚」には混在して使われている例がたくさんあります。それは、「足」と「脚」という漢字が常用漢字表に登録されるまでの歴史が関係しています。

常用漢字とは文化庁によって定められた、一般の社会生活において、現代の国語を書き表す場合の漢字使用の目安を示すものです。常用漢字ではないものは法令、公用文書、新聞、雑誌、放送などでは使われません。

常用漢字表はこれまで何度か改定されているのですが、もともと「あし」には「足」という漢字しか登録されておらず「脚」はありませんでした。そのため、どのような場合にも「足」を使うことが主流でした。

しかし、その後「脚」が登録され、使い方の例として「机の脚」が示されたことから「足」と「脚」が使い分けられるようになったのです。使い分けが始まってまだ50年足らずのため、今でもまだまだ混在される例は多いというわけです。

先ほどの例で言うと、「あの人は脚が長い。」「足が速くなりたい。」「脚を組んだら怒られた。」がより適切な使い方ということになるので、今後は意識して使い分けてみてください。

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「足」「脚」の違い、まとめ

「足」「脚」の違いと正しい使い分け方、このページの解説でおわかりいただけましたでしょうか。最後にもう一度、正しい使い分けのポイントを以下に記します。頭の中の整理にお役立てください。

 誰の/何のどこその他
主に人間の足首から下慣用表現にも使う
人間や動物・昆虫・物の骨盤から足首まで(人間)
体や物を支える部分の全体(動物、昆虫、物)