「行き詰まる」と「煮詰まる」。この二つの言葉の違いと使い分け方はいたって簡単。何故なら「行き詰まる」と「煮詰まる」は以下の通り意味が正反対だからです。
- 【行き詰まる】結論が出ない状態
- 【煮詰まる】結論が出る状態
ともに「詰まる」で終わる言葉であることから「行き詰まる」の類義語と思われがちな「煮詰まる」ですが、それは誤用です。
このページでは「行き詰まる」と「煮詰まる」の違いについて解説しています。
「行き詰まる」と「煮詰まる」の違いを解説
「行き詰まる」と「煮詰まる」。それぞれの言葉の意味を国語辞典で確認しながら、二つの言葉の違いと「煮詰まる」の誤用について解説いたします。
【行き詰まる】結論が出ない状態
【行き詰まる】
①行ってその先がつまる。行き止まりとなる。
②物事が困難に出会ってその先へ進まなくなる。
出典:岩波書店『広辞苑』
「行き詰まる」という言葉は、字面通りに解釈できる言葉なので間違った使い方をされるケースはそれほど多くはありません。
物理的な障害による行き止まり・行き詰まりから転じた「行き詰まる」という言葉は、何らかの障害や障壁のためにその先に進めなくなった状態です。
【煮詰まる】結論が出る状態
【煮詰まる】
①煮えて水分がなくなる
②転じて、議論や考えなどが出つくして結論を出す段階になる。
出典:岩波書店『広辞苑』
語尾が「詰まる」となっていることから「行き詰まり」の類義語と思い込んでいる人が少なくない「行き詰まる」という言葉ですが、類義語というのは勘違い。誤用です。
会議などの席で議論が出つくして結論がまったく見出せない状態を「行き詰まる」と言いますが、その反対にようやく結論が見えてきた状態、すなわち「行き詰まる」とは正反対の状況をあらわす言葉が「煮詰まる」です。
ともに「詰まる」で終わり語感の似ている一対の言葉ながら、その意味するところは正反対なのです。
【煮詰まる】の誤用が多い理由
鍋料理の一つ「おでん(関東煮)」。煮すぎて汁が蒸発したり、味が染み込みすぎると決して美味しいものとは言えなくなります。
そんなネガティブな状態の「煮詰まる」を連想するため、「煮詰まる」を「行き詰まる」と混同する方が少なくないようです。
しかし「煮詰まる」のもとの言葉は「煮詰める」。
この「煮詰める」とは意図して水分がなくなるまで煮ることです。不味くなった「おでん」のように、うっかりミスで汁を蒸発させてしまった状況とはまったく異なります。
「煮詰まる」は、汁が蒸発してしまう料理上のうっかりミスではなく、水分がなくなる状態まで煮る料理の完成した状態、つまりゴールインした状態です。
ゴールインした状態が「煮詰まる」なので、「煮詰まる」という言葉は結論が出るというゴールへの到達を意味しています。
「行き詰まる」と「煮詰まる」の違い、まとめ
「行き詰まる」と「煮詰まる」の違い、このページの情報でご納得いただけましたでしょうか。最後にもう一度、このページで述べたポイントをまとめておきます。
- 【行き詰まる】結論が出ない状態
- 【煮詰まる】結論が出る状態
- 【誤用注意】「行き詰まる」 = 「煮詰まる」 ではない