【歪み】と書いて「ゆがみ」とも「ひずみ」とも読みますが、両者に共通する意味と、それぞれの読み方だけが持つ独自の意味・使い方は以下にまとめた通りです。
【歪み】 | ゆがみ | ひずみ |
共通する意味 | 本来の形が変形していびつになること | |
主な使われ方 | 直線や平面のものが変形した場合 | 変形によって生じたズレ |
独自の比喩表現 | 心や性格がゆがむ | 社会に現れた悪影響(○○制度のひずみ) |
独自の使われ方 | 苦痛で顔がゆがむ | スピーカーの音声がひずむ 外圧や温度変化で生じる変形(物理学) ギター、エフェクターのひずみ(ロック特有の音) |
以上が一覧形式にまとめた「ゆがみ」と「ひずみ」の違いです。このページでは、「ゆがみ」と「ひずみ」の違いと使い分け方についてさらに詳しく解説しています。
【歪】「ゆがみ」と「ひずみ」の違いと使い分け方
【ゆがみ・ひずみ】共通する意味
「ゆがみ」と「ひずみ」という二つの言葉は、ともに【歪み】という同じ漢字で表記することもあり、共通している意味を持っています。
物本来が持っていた形、正しい形、あるべき形が、外からの力や温度が加わるなどして、くずれたり、曲がったり、ねじれたりすることを意味します。
しかし、その一方で「ゆがみ」と「ひずみ」は、それぞれ一方だけにある独自の意味・使い方も持っています。
【ゆがみ】独自の意味・使い方
「ゆがみ」が主に使われるのは、本来の形が直線や平面であったものが、何らかの作用によって変形する場合です。
直線であったものの例を一つあげると鉄道の線路があります。「地震によって線路がゆがむ」とは言いますが「地震によって線路がひずむ」とは言いません。
さらに「ゆがみ」は、比喩表現として心や性格に使われる場合があります。
直線が変形することを「ゆがむ」と言い表すことから転じて、真っ直ぐ(直線)であるべき心が曲がったり正しくない状態になることを「心がゆがむ」「性格がゆがむ」などと表現します。
なお「ひずみ」も過去には心や性格に対して使われていましたが、最近では使われる例が激減しているようです。
また「ゆがみ」特有の慣用表現として「苦痛で顔をゆがめる」というものがあります。
【ひずみ】独自の意味・使い方
「ゆがみ」が主に使われるのは、ある物の形がゆがんだ結果として生じたズレを言い表す場合です。
大規模な地震によって地殻にズレが生じた場合に「地殻のひずみ」と表現するのが、「ひずみ」とうい言葉の使われ方の代表例です。
「ゆがみ」と同様「ひずみ」にも独自の比喩表現もあります。
行政や経済など、社会のシステムに不調和が生じた場合に「○○制度のひずみが生じる」などと言われるのが「ひずみ」だけが独自に持っている比喩表現です。
また、物理学の分野などでは、ある物体が外から力を受けたり温度変化によって生じる形や体積の変化のことを「ゆがみ」とは言わず「ひずみ」と言います。
そのため「歪み」という漢字を「ゆがみ」と発音する人は文系、「ひずみ」と発音する人は理系と見分けることが出来るというジョークが存在します。
さらに「ひずみ」は音声にも用いられ「ラジオやテレビのスピーカーの音声がひずむ」などという表現も「ゆがみ」にはない「ひずみ」独自の使い方です。
エレキギターの出すサウンドに変化を加えるエフェクターという機器をご存知でしょうか。エフェクターには様々なタイプのものがありますが、その中でも本来の音程がわからなくなるほど変化を加えるエフェクターは「歪み(ひずみ)系」エフェクターと呼ばれています。ヘヴィーメタルなどで、本来の音程がわからなくなるような音をエレキギターが発することがありますが、あの音は「歪み(ひずみ)」と呼ばれています。
【歪】「ゆがみ」と「ひずみ」の違い、まとめ
「ゆがみ」と「ひずみ」は同じ漢字、同じ送り仮名の言葉ですが、両者の間には大きな意味の違いがあることをこのページの解説でおわかりいただけましたでしょうか。
日常生活の中で特に頻繁に使い分けが求められる「ゆがみ」と「ひずみ」の違いのポイントを最後にまとめますので、頭の中の整理にご活用ください。
- 【ゆがみ】直線や平面のものが変形した場合に使う
- 【ひずみ】変形によって生じたズレに対して使う