ビジネスメールやビジネス文書などで「自分(一人称)」のことを言い表すのに「小職」や「小生」という言葉を使っていいものかどうか迷うことはありませんか?
このページでは「小職」と「小生」の違いと本来の意味、そして恥ずかしい思いをしないための正しい使い方をお伝えしています。
「小職」と「小生」違いを区別する2つのポイント
- 【小職】元々は官職(国家公務員)の謙称だが民間企業に普及しつつある
- 【小生】男性及び社会的地位のある人限定の謙称のため使わないのが無難
【小職】元々は官職(国家公務員)の謙称だが民間企業に普及しつつある
官職についている人の謙称。
引用:岩波書店『広辞苑』
「小職」という言葉はもともとは官職、すなわち公務員が使う言葉です。しかし、昨今では民間にも普及し民間企業の役職者がこの言葉を使うケースが増えています。
IBMの役職者が「小職」という言葉を使うことはよく知られていますが、ほとんどの人にその名を知られている某大手商社の社内文書でも「小職」という言葉が極めて高い頻度で使われている現場を筆者はこの目で目撃しています。2007〜2008年の頃のことです。
以上のように広く普及しつつある「小職」という言葉ですが、「小職」という言葉を使うことに違和感を感じる人も少なくありません。
もしあなたの会社ですでに「小職」が普及しているのであれば社内限定で「小職」を使うことは差し支えありません。しかし取引先に普及しているかどうか定かでない場合は「小職」という言葉は使わないでおくのが無難と言えましょう。
「小職」という言葉は本来は官職のための言葉であっため、民間企業で「小職」を用いるのは誤用と言い切る方も少なくありません。本来の意味から逸脱した使い方を誤用とするその考え方はまったくもって正論です。その一方で誤用の比率が正用を上回った時、誤用は正用になると指摘する学者もいます。民間企業での「小職」も、いつか正用になる日が来るかもしれません。
【小生】男性及び社会的地位のある人限定の謙称のため使わないのが無難
主に手紙で男子が自分を指して使う謙称。
引用:岩波書店『広辞苑』
「小生(しょうせい)」は男性限定の言葉なので女性は使うことができません。しかも、目上の人が目下の人に対して使う言葉なので注意が必要です。
「小生」はまた、目上の人の中でも特に社会的に高い地位にある方が自分のことをへりくだって言い表す際によく用いられる言葉です。
下手な使い方をすると失笑を買うことになりかねません。「小生」は決して使わない。そう決めてしまうのが無難です。
筆者はこれまでに何度か「小生」という言葉を使ったメールや手紙を受け取ったことがあります。いずれもその主は、ある分野や組織の中で重鎮と呼ぶにふさわしいポジションにある方ばかりでした。筆者がその高すぎるポジションにプレッシャーを感じぬよう配慮するために「小生」という言葉を使われたようで、その心遣いが文面のそこかしこに現れていました。それは、違和感のない「小生」という言葉の使い方を理解した瞬間でした。
「小職」と「小生」違い、まとめ
このページで述べたことを再びまとめます。
「小職」は民間企業にも普及しているものの、普及が不徹底なので取引先に対しては使わないのが無難。「小生」は使わないと決めてしまう。
どうしても迷いが生じるなら「私(わたくし)」を使えば間違いありません。「私」に違和感を感じる人はほぼいませんからね。
- 【小職】民間企業に普及しつつあるが取引先には使わないのが無難
- 【小生】使わないと決めてしまうのが無難
- 【私】迷ったら「私」を使えば間違いない