「頑固」のビジネス・メール等での言い換え

頑固の読みは言うまでもなく「がんこ」です。

その意味としては、「頑固おやじ」や「頑固な職人気質」のように使われる「かたくなで、簡単に自分の考えや態度を改めようとしないことや、そのさま」との意味が挙げられます。

また、もう一つの意味としては「頑固な油汚れ」や「頑固な皮膚病」のように使われる、「とりついて容易に離れないことや、そのさま」との意味があります。

頑固の熟語を構成する「頑」の漢字の訓読みは「かたくな」で、「ゆうずうがきかない」や「かたくな」との意味を持つ漢字です。

一方の「固」の漢字の訓読みは「かたい・かためる・かたまる」で、「かたい」や「かたくな」といった意味を持ちます。

すなわち、似た意味の「頑」と「固」を重ねることで、その程度が大きいこと、ひどいことの熟語となり、先に記した意味の熟語となるのです。

「頑固」を使用する際の注意点について

「頑固」の意味は先に記した通りですが、二番目の意味のモノに対して使う場合は、特別注意すべきことはないでしょう。

しかし一番目の意味の、人に対してこの言葉を使う場合、「かたくなで助言などを受け入れないこと」や「融通が利かないこと」とのマイナスのニュアンで使われることが多いといえます。また一方で、この言葉は時として「信念が強い」や「意思が強固」といったプラスイメージとして使われることもあります。

したがって、メールなどの書き言葉で使われている場合、マイナス(否定的)のニュアンスで使われているのか、プラス(肯定的)のニュアンスで使われているのか、どちらのニュアンスで使われているかを理解する必要があります。

また、自分がメール等の書き言葉として「頑固」を使う場合、前後の文章を踏まえてもニュアンスが分かりにくいと思う場合は、誤解を招かないように、後述するニュアンスが取り違えられることの少ない言い換え表現を使う等の注意が必要と言えます。

ビジネスシーン等でマイナス(否定的)のニュアンスで使う場合は、注意を促し改善を求める際に使われる厳しい言葉となります。また、逆にプラス(肯定的)のニュアンスでは、相手の方を褒めたり励ましたりする際に使われ、マイナスイメージと誤解されないように、言い換え表現を使ったり、言い換えの言葉を添えて使う方がベターと言えます。

「頑固」の言い換えについて

頑固のプラスイメージ(肯定的)の言い換え

【信念が強い】

自分の信じるものをしっかりと持っており、安易に他の人の意見等に流されることのない人やそのさま

  • 彼が大きな成果を上げられたのは、誰よりも信念が強かったからといえるでしょう。
  • 努力すれば必ず報われるという信念が強かったことが、彼が成功した秘訣です。
  • この伝統の技を途絶えさせてはいけないとの信念が強かったことが、彼を人間国宝級の伝統工芸士としたといえます。
  • いくら信念が強くても、その信念に添って努力しなければ成功はおぼつかない。
  • 彼にはプロならではの信念の強さがあります。
  • 信念が強いので、きっと彼はやってくれるでしょう。

【意志が固い】

こうと決めたことを、他人の意見等でゆるぐことなく、貫く強い気持ち・思いのこと。目標や価値観に対する強い気持ちを持っている表現として使われます。

  • 彼はどんなに厳しくても、この道を行くという意思が固い。
  • 意思が固くなければ、この難しいプロジェクトに立ち向かえません。
  • この件に対しては、普段の彼とは違った意思の固さが感じられます。
  • プロジェクトの成功のためには、成功させるとの全員の意思の固さが重要です。
  • いくら経済的に苦しくても、この伝統を守り抜くとの意思が固いといえます。
  • 大きな権力に一人で立ち向かう意思の固さが感じられます。

【粘り強い】

困難に対して諦めることなく、努力を続けるという前向きな頑固さを表現する言葉です。

  • 成功するまで諦めないという頑固なまでの粘り強さが、成功の要因といえます。
  • 粘り強く努力しても、不運にも成功しないこともあります。
  • 粘り強いプロジェクトメンバーの努力こそ、この成功をもたらせました。
  • 決して器用ではなかったが、粘り強く努力したことで、老舗を支える職人となった。
  • 得意先の購買部長を粘り強く説得することで、商談を成功させることができた。
  • 彼の信条は粘り強さであり、きっとやり遂げてくれるでしょう。

【同調圧力に屈しない】

周囲の考えや意見の大勢に流されることなく、自分の意思を貫くこと。ビジネスシーン等でよく使われる表現です。(かっこいい表現として使われることも多い)

  • 同調圧力に屈しない彼の言動は素晴らしいと思います。
  • 優しい感じの彼女が、ここまで同調圧力に屈せずに自分の意思を貫いていることに感心させられました。
  • 信念がなければ、同調圧力に屈しない強さは持てません。
  • 多くの人は少し違うと思っていても、同調圧力に屈しないで自分の意思を通そうとする人は少ない。
  • どんな組織においても、同調圧力に屈しないのは難しいことです。
  • 同調圧力に屈しないで、間違いは間違いだと言えるのが彼の強さです。

【その他の言い換え】

頑固の肯定的なニュアンスの言い換えとして、上記以外に「周囲に流されない」「決断力がある」「芯が強い」「信念がある」「意志が強い」「最後までやり抜く」「周囲に流されない」「他人に左右されない」等、より具体的で意味が理解しやすい言い換え表現もあります。

頑固のマイナスイメージ(否定的)の言い換え

【強情】

強情は自分の考えや意見を頑として変えない様を表現する言葉で、頑固とほぼ同義ですが、頑固よりも否定的なニュアンスの強い言葉と言えます。

  • 彼の強情さには、いつも手を焼かされます。
  • 自分の意見が間違いだと分かっても、その間違いを認めようとしない強情な人です。
  • この期に及んでも間違いを認めない強情な人物です。
  • 彼の強情な性格にあきれて、近寄る友人も少なくなっています。
  • 素直に人の意見を聞けない強情な人は、社会人として成長することはできません。
  • 目に余る強情さに、周囲の人も彼を見放しています。

【意固地(いこじ)】

意地を張って相手の意見や説得を聞かないことを指す言葉です。頑固よりも否定的なニュアンスが強く、説得すればするほど、頑固さを増すような際によく使われます。

  • 絶対に自分の意見を曲げない彼の意固地さには、あきれるばかりです。
  • 自分の意見が誤りであると認識しているにもかかわらず、意固地になって認めようとしない。彼の頑固さには辟易とする。
  • 説得しようとすればするほど、意固地になって反発しているとしか思えない。
  • 皆の協力を得るためには、意固地にならずに多くの意見を聞くべきです。
  • 時には良い意味の頑固さが必要だか、彼の場合は意固地になり過ぎていて見苦しい。
  • 今は意固地になっているので、しばらく冷却期間を取った方が良いでしょう。

【固執】

ある物事や考えにこだわり過ぎることを意味する言葉です。頑固の類語の中でも、特にしつこさや執着が強い場合に使われる言葉です。

  • 彼女がそこまで自分の考えに固執する理由が分からない。
  • 何度説得を試みても、彼は自分の考えに固執して聞く耳を持たない。
  • そこまで固執して反対するなら、代案を出すべきでしょう。
  • これ以上、自分の意見に固執していても、意味がないことがなぜ分からないのか。
  • 自分の考えに固執する人が多過ぎて、意見が全くまとまりません。
  • 一旦こうだと思い込むと、それに固執して絶対に意見を変えない。

【協調性がない】

周囲の人と波風を立てずに共に行動できる能力がないことを指す表現です。ビジネスシーンでは、時として信念を貫くことが必要な場合もありますが、チームとして成果を上げるために、この協調性は欠かせない能力とされています。

  • 彼は一匹オオカミ気取りで全く協調性がなく、チーム活動を阻害する人物です。
  • ビジネスの世界では、一般的に協調性はなくてはならない能力です。
  • 協調性がないメンバーでは、プロジェクト活動が成功することはあり得ない。
  • 彼は協調性がないけれど、専門能力はピカイチで、上司が上手く使いこなせれば、大きな戦力ともなり得ます。
  • 会社組織では、協調性のない人は嫌われます。
  • 職場に協調性のない人がいると、雰囲気さえも悪くなります。

【その他の言い換え】

頑固の否定的なニュアンスの言い換えとしては、上記の他に「柔軟な対応ができない」「人の話を聞かない」「石頭」等、具体的でより分かりやすい言い換え表現もあります。

まとめ

頑固は「かたくなで、簡単に自分の考えや態度を改めようとしないことや、そのさま」を意味する言葉です。

一般的にはマイナスイメージ(否定的)で使われることが多いが、プラスイメージ(肯定的)で使われることもあり、そのニュアンスを取り違えないようにすることが大切です。

肯定的に使われる場合の言い換えとしては、「信念が強い」「意思が固い」「粘り強い」「同調圧力に屈しない」等が挙げられ、また逆に否定的に使われる場合の言い換えとしては「強情」「意固地」「固執」「協調性がない」等が挙げられます。状況と言葉の強さを意識して上手に言い換えの言葉を使うのが良いでしょう。